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リニアレギュレータの熱シミュレーション パラメータ設定と熱シミュレーションモデル

2022.09.27

この記事のポイント

・ROHM Solution Simulator(RSS)を使ったリニアレギュレータの熱シミュレーション用回路が用意されている。

・本章では、リニアレギュレータの熱シミュレーションにおいて、パラメータの設定や熱シミュレーションモデルの説明、プリント基板(PCB)を変更する方法などを紹介する。

パラメータ設定と熱シミュレーションモデル

「リニアレギュレータ熱シミュレーションの回路と方法」に続く2項目目の、「パラメータ設定と熱シミュレーションモデル」について説明します。

なお、この記事のもとになっている「User’s Guide リニアレギュレータBD4xxMxシリーズの熱シミュレーション」は下記からダウンロードできます。
https://fscdn.rohm.com/jp/products/databook/applinote/ic/power/linear_regulator/bd4xxmx_thermal_simulation_ug-j.pdf

初期値パラメータの設定

シミュレーション時間や収束オプションなどのシミュレーション設定は、前回の“Simulation Settings”から設定可能で、下表はシミュレーションの初期設定を示しています。シミュレーションの収束に問題がある場合は、詳細オプションを変更して解決することができます。電気回路のシミュレーション温度と各種パラメータは“Manual Options”で定義されています。

Simulation settingsの初期値
パラメータ 初期値 備考
Simulation Type Time-Domain シミュレーションタイプは変更しないでください
End time 1000 secs
Advanced Options More Speed
Manual Options .PARAM Ta 周囲環境温度を設定

温度パラメータの設定

ROHM Solution Simulator(RSS)を使ったシミュレーション。リニアレギュレータの熱シミュレーション:コンポーネントのパラメータ定義コンポーネントのパラメータ定義

上図の青色で示したコンポーネントは、周囲環境温度を設定する必要があるため、マニュアルオプションでパラメータを定義します。下表に、パラメータの初期値を示します。この値は、下図に示すようにシミュレーション設定の“Manual Options”にテキストボックスに書き込みます。

シミュレーション条件
パラメータ 変数名 初期値 単位 説明
Temperature Ta 20 周囲環境温度

ROHM Solution Simulator(RSS)を使ったシミュレーション。リニアレギュレータの熱シミュレーション:パラメータの定義パラメータの定義

熱シミュレーションモデルの説明

下図の”BD433M2EFJ“シンボルは、リニアレギュレータの熱シミュレーションモデルです。また、このモデルの端子説明を下表に示します。下図の赤色配線(BD433M2EFJ_TJ)のノードでジャンクション温度が確認できます。

ROHM Solution Simulator(RSS)を使ったシミュレーション。リニアレギュレータの熱シミュレーション:BD433M2EFJ-C 熱シミュレーションモデルBD433M2EFJ-C 熱シミュレーションモデル

熱シミュレーションモデルの端子説明
端子名 説明
Pc リニアレギュレータの損失の入力
Ta 周囲環境温度

熱シミュレーションモデルの選択

選択可能なコンポ―ネントリスト
コンポーネント名 SpiceLib Part名 説明
BD433M2EFJ 1s_footprint 1層基板、表層Footprintのみ
1s_100mm2 1層基板、表層銅箔面積100mm2
1s_600mm2 1層基板、表層銅箔面積600mm2
1s_1200mm2 1層基板、表層銅箔面積1200mm2
2s_100mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積100mm2
2s_300mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積300mm2
2s_600mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積600mm2
2s_1200mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積1200mm2
2s_2000mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積2000mm2
2s_5500mm2 2層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積5500mm2
2s2p 4層基板、表層Footprintのみ、裏層銅箔面積5500mm2

熱シミュレーションモデルは上表に示すコンポーネントが用意されており、その中から選択できます。下図に選択方法を示します。

ROHM Solution Simulator(RSS)を使ったシミュレーション。リニアレギュレータの熱シミュレーション:熱シミュレーションモデルの選択方法熱シミュレーションモデルの選択方法

まず、BD433M2EFJ コンポーネント上でマウスを右クリックし、Propertyを選択します。Property EditorのSpiceLib Part値を上表から選択した名称に設定することで、熱シミュレーションモデルが変更されます。つぎに、熱シミュレーションを実行すると、設定した条件でのリニアレギュレータの温度グラフなどが更新されます。各モデルの基板詳細については「User’s Guide リニアレギュレータBD4xxMxシリーズ の熱シミュレーション」を参照してください。
同様に電圧源、コンデンサや、抵抗などの各部品を右クリックしてProperty Editorで値を変更することができます。変更できる数値は白色の入力欄に、変更できない数値は灰色の入力欄になっています。

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