この記事のキーポイント
・各検出用端子に必要な部品はデータシートや設計マニュアルに従って設定する。
・検出用端子にノイズが入ると誤動作などの原因なるので、コンデンサやRCフィルタの付加を検討する。
今回は、電源ICが降圧および安定化制御を行うための各検出用端子に必要な部品についてです。
電流検出抵抗:R19
R19は、スイッチングトランジスタQ1により一次側に流れる電流を電圧に変換します。その電圧はCS端子がモニタし、出力の過負荷保護ポイントを設定します。R19の値は、一次側の最大電流Ippk(0.66A)が流れた時にCS端子の過電流検出電圧Vcs=1Vになるようにします。
→1.5Ωとする
また、R19の損失P_R19は、
耐パルス性を考慮して、R19は1W以上とします。
耐パルスについては、同じ電力定格でも抵抗の構造等によって変わる場合があります。使用する抵抗メーカーに確認してください。
CS端子ノイズ保護用抵抗およびコンデンサ:R22、C13
ブランキング機能でノイズが収まりきらない場合に、このRCフィルタを追加します。フィルタが不要の場合でも、サージ対策としてR22(1kΩ程度)を挿入することを推奨します。C13は47pF程度です。
ZT端子電圧設定抵抗:R21
R21はZT端子でのボトム検知電圧を設定します。ZT端子でのボトム検知電圧は、Vzt1=100mV typ.(ZT端子電圧下降時)、Vzt2=200mV typ.(ZT端子電圧上昇時)です。また、ZTOVP(min)=3.30Vより、目安として、Vzt=1~3V程度に設定します。R20は、「過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗」にて100kΩに設定しました。巻線数は、「トランスT1の設計 その2」で算出した通り、Nd、Nsともに8ターンです。
と設定すると、
→12kΩとする
ZT端子コンデンサ:C11
C11はZT端子の安定用とボトム検知のタイミング調整用コンデンサです。ZT端子波形、ボトム検知タイミングを確認して設定します。この回路例では47pFを選択しています。
FB端子コンデンサ:C12
C12はFB端子の安定用コンデンサです。1000pF~0.01µF程度が推奨です。この回路例では2200pFを選択しています。
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