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2021.09.14 Siパワーデバイス

SOA(Safety Operation Area)破壊とは

MOSFETの破壊メカニズム

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この記事のキーポイント

・SOAとは、Safety Operation Areaの略で、安全動作領域を意味する。

・MOSFETなどはSOAの範囲内で使う。

・SOAを制限する5つの要件があり、いずれかを超えることで破壊に至る可能性がある。

SOA(Safety Operation Area)とは

SOAとは、Safety Operation Areaの略で、安全動作領域を意味しています。MOSFETを安全に使用するには、SOA範囲内で使用する必要があり、この範囲を超えると破壊に至る可能性があります。このSOAの範囲外で動作させた場合の破壊をSOA破壊と呼んでいます。例として、SJ MOSFET(Super Junction MOSFET)のR6024KNXのSOAを以下に示します。

SJ MOSFET(Super Junction MOSFET)のR6024KNXのSOA
SJ MOSFET R6024KNXのSOA

SOAは、縦軸がドレイン電流ID、横軸がドレイン‐ソース間電圧VDSで表されます。つまり、VDS、IDおよびそれらの積である電力損失PD、そして二次降伏領域によって、MOSFETが安全に動作できる範囲が決まります。また、電力印加パルス幅PWもSOAを決める重要な要素です。SOAには、図に示す(1)~(5)の領域があります。

SOAの各領域と制限および破壊との関連

図の(1)~(5)の領域について説明します。

■領域(1):MOSFETのオン抵抗RDS(ON)によってドレイン電流IDが制限される領域
印加しているVDSが絶対最大定格未満でも、RDS(ON)によってIDが制限される領域です。オームの法則I=V/RからIDは赤色の線までしか流すことができません。  ※図の領域はVGS=10V時の例

■領域(2):パルス印加におけるドレイン電流の絶対最大定格IDPによって決定される領域
(2)の緑色の線は、仕様書に定められている絶対最大定格IDPの値です。当然のことながら絶対最大定格は超えてはいけない値なので、この値を超えたIDPでは使用できません。この値を超えた領域(電流値)で使用すると、動作保証範囲外ですので破壊の恐れがあります。

■領域(3):熱制限領域
MOSFETの許容損失PDによって決定される領域です。電力印加パルス幅PWと過渡熱抵抗により制限されます。この範囲内であれば、一般的にTjは絶対最大定格Tj MAXを超えないので安全に使用することができます。ただし、このラインは、周囲温度やMOSFETの実装条件、放熱条件などによって変動しますので注意が必要です。また、MOSFETをスイッチングさせて使用する際は瞬間的に高電圧、大電流が印加されることがあるので、スイッチングの過渡状態においても領域(3)の制限を超えないように注意が必要です。

■領域(4):二次降伏領域
高電圧印加状態で電流を流すと、素子内で局所的に大電流が流れて破壊することがあり、これを二次降伏と言います。このラインは、二次降伏状態に陥らないための制限ラインになります。二次降伏領域も、領域(3)の熱制限領域と同様に、周囲温度等の影響を受けます。

■領域(5):MOSFETのドレイン‐ソース間電圧の絶対最大定格VDSSによって決定される領域
仕様書に定められているVDSSによる制限領域で、これを超えるとブレークダウンが発生し破壊の原因になります。フライバック電圧や寄生インダクタンスによる起電によって、瞬間的にこの制限を超える可能性があるので注意が必要です。

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