トランジスタ|評価編

インバータ回路におけるスイッチング素子の逆回復特性の重要性 インバータ回路におけるスイッチング素子の逆回復特性の重要性 -まとめ-

2022.11.29

インバータ回路におけるスイッチング素子の逆回復特性の重要性 -まとめ-

三相変調インバータ回路では、MOSFETのスイッチング回数が多いため、スイッチング損失が支配的になる軽負荷時の効率が悪化します。特にMOSFETターンON時の逆回復損失の影響が大きいため、これを低減することが非常に重要です。

PrestoMOS™のダブルパルス試験結果から、軽負荷(2A)と重負荷(10A)ともに、ターンON時の損失低減効果を確認することができました。これより、PrestoMOS™はインバータ回路の効率向上に有効であると言えます。

以下に、ここまで説明してきた各記事へのリンクとキーポイントをまとめました。

インバータ回路におけるスイッチング素子の逆回復特性の重要性 -はじめに-

この記事のキーポイント

・インバータ回路は、電力変換回路の1つであり、直流(DC)から交流(AC)に変換する回路のこと。

・インバータ回路がよく使用されるのは、モーター駆動アプリケーション。

・インバータ回路の動作上、内蔵ダイオードの逆回復特性が損失に大きく影響する。

インバータ回路の種類と通電方式について

この記事のキーポイント

・インバータ回路は主に単相インバータ回路と三相インバータ回路の2つに分類することができる。

・モーター駆動に関しては、トルクが安定し振動や騒音を抑えることができるので三相インバータが用いられる。

・三相インバータでモーターを駆動するための通電方式としては、矩形波駆動(120°通電)、正弦波駆動(三相変調、二相変調)などがあり、それぞれにメリット・デメリットがある。

・本章では、モーター駆動でよく用いられる正弦波駆動(三相変調)方式を例にとる。

三相変調インバータ回路の基本動作

この記事のキーポイント

・インバータ回路では動作上ボディダイオードの逆回復電流が発生する。

・逆回復時間や逆回復電流が大きいと損失増加につながるので、インバータ回路においてデメリットとなる。

・逆回復時間と逆回復電流ピークの小さいMOSFETを用いることにより、インバータ回路での損失を低減し、MOSFET破壊リスクの低減が可能。

ダブルパルス試験によるPrestoMOS™と通常のSJ MOSFETの損失比較(実測定結果)

この記事のキーポイント

・インバータ回路における逆回復損失を評価するために、ダブルパルス試験を用いた。

・PrestoMOS™と通常のSJ MOSFETの比較において、逆回復特性が優れるPrestoMOS™の方が、スイッチング損失が小さいことが確認された。

・これは、インバータ回路の損失を低減する上での、PrestoMOS™の優位性を示している。

三相インバータ回路によるPrestoMOS™と通常のSJ MOSFETの効率比較(シミュレーション)

この記事のキーポイント

・三相変調インバータ回路の回路効率とMOSFET 1個あたりの損失確認のためにシミュレーションを用いた。

・三相変調インバータ回路において、PrestoMOS™と通常のSJ MOSFETを比較すると、逆回復特性が優れるPrestoMOS™を使用した方が、効率が高く(損失が小さく)なることが確認された。

・三相変調インバータ回路において、逆回復特性が優れるPrestoMOS™の効率面でのメリットは明確である。

参考文献:「ダブルパルス試験を用いたPrestoMOS™のデバイス特性の優位性実証」, アプリケーションノート(No.60AN116J), ローム株式会社

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