電気回路設計|基礎編
LED照明回路 : MOSFETによる効率向上とノイズ低減の例
2018.04.24
この記事のポイント
・PFC部およびDC-DCコンバータ部のスイッチであるMOSFETの特性の違いにより効率が変わるので、MOSFETの特性は十分に検討する。
今回から、具体的なアプリケーションにおける効率などの改善例を示します。
LED照明回路(臨界モードPFC+DC-DC):MOSFETによる効率向上とノイズ低減の例
以下の回路は、実際のLED照明回路の該当部分を抜粋したものです。このLEDドライブ回路は、臨界モード(BCM)のPFCを通してDC-DCコンバータがLEDに電力供給をしています。

この回路において、PFC部のスイッチであるMOSFETと、DC-DCコンバータ部のスイッチであるMOSFET、そしてそのゲート抵抗RGを変更して、効率とノイズを比較していきます。
元の設計に使用されていたスーパージャンクションMOSFET(以下SJ MOSFET)はOriginalと表記してあります。OriginalのRGはノイズを考慮して100Ωでした。これに対して、PFCおよびDC-DCコンバータのスイッチを3種類の
SJ MOSFETに置き換え、RGも100Ωと50Ωの両方を試しました。MOSFETはR5207ANDが高速スイッチングタイプ、R6004ENDとR6004ENDは次世代品で低ノイズ化されています。
表において、黄色のハイライトがOriginalより高い効率を示しており、緑のハイライトは最も高い効率を示しています。結果として、PFCにR5207AND、DC-DCコンバータにR6004ENDの組み合わせが一番効率がよく、RGは50Ωのほうが高い効率が得られました(3種類での組み合わせは9通りだが結果がよくないものは省いた)。Originalとの比較では、1%前後の改善となります。効率は回路全体の効率です。

また、DC-DCコンバータ部のノイズ特性を示します。データは、Originalと一番効率がよかったR6004END/50Ωの比較です。

Originalは比較的スイッチングスピードが速いので、ノイズ対策として100ΩのRGが妥当な選択でしたが、低ノイズのR6004ENDはRGを50Ωにしてスイッチングスピードを早くしてもOriginalよりノイズは低く、効率の改善と同時にノイズも低減できています。
この理由を確認するために、PFC部とDC-DCコンバータ部の波形を比較してみます。以下はPFC部の波形です。

PFC部ではR5207ANDが最も高効率でしたが、このレンジでは判別できないので拡大します。

オンへの遷移時間は、Originalに対してR6004ENDとR5207ANDは若干遅い程度です。次はオフへの遷移です。

オフへの遷移は、R6004ENDとR5207ANDが早く急峻であることがわかります。この点でのスイッチング損失が低減されていることが、効率向上に貢献していると考えられます。続いてDC-DCコンバータ部のスイッチング波形です。

Originalと効率がよかったR6004ENDとR5207ANDを比較しています。R6004ENDに関しては、RGが50Ωの波形も示してあります。同様に、オン、オフの波形を拡大します。

オンへの遷移は、R6004ENDが一番早く、RG=50Ωではさらに速くなっています。

オフへの遷移は、RG=100ΩではR6004ENDが一番遅いですが、RG=50Ωでは最も速くなっています。この比較では、R6004END+RG=50Ωの遷移が一番速く、これによってスイッチング損失が減少し効率向上に貢献していると考えられます。
PFCにR5207AND、DC-DCコンバータにR6004ENDを使用すると、若干ですがスイッチング損失が減少し両方で1%程の効率向上を図ることができました。また、スイッチング損失を減らしながらノイズも改善されています。このように、スイッチのMOSFETの特性とゲート抵抗を見直すことで、効率とノイズの両方を改善できることがありますので、前回、前々回で示したダイオード同様に、MOSFETの特性も十分吟味することが必要です。
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