トランジスタ|評価編
効率の評価
2021.04.27
この記事のポイント
・効率の比較においてはPrestoMOS™が最も優れていた。
・SJ MOSFET採用したPSFB回路の効率向上には、trrが極力小さく、優れたスイッチング特性を持つSJ MOSFETを選択することが重要。
本章の主題である変換効率関して、実際の電源回路を用いて評価した結果を示します。具体的には、Q1~Q4のMOSFETに、オン抵抗0.2Ω前後の5種類の高速リカバリー型SJ MOSFETを用いて比較しました。測定条件は、入力電圧Vin=390V、出力電圧Vout=12V、出力電流Iout=10A~50A、スイッチング周波数fsw=100kHzです。

図が示す通り、R6020JNX(赤実線)が、全負荷領域において最も効率が良いという結果が得られました。R6020JNXは最新世代のPrestoMOS™で、業界トップクラスの高速trrを実現しており、寄生容量も最適化されています。
また、比較したR6020FNX(前世代に該当)や他のMOSFETと比べてゲートしきい値電圧VGS(th)が高く、これにより誤ONによる貫通電流が流れにくくなっています。一般的にVGS(th)が高い場合、ターンON損失が増加しますが、PSFB回路では、軽負荷時はDead Timeの調整で、重負荷時ではZVS動作で、それぞれターンON損失を低減できるため、VGS(th)が高いことによるデメリットは小さくなります。
これらの点から、SJ MOSFET採用したPSFB回路の効率向上には、trrが極力小さく、優れたスイッチング特性を持つSJ MOSFETを選択することが重要であると言えます。