電気回路設計|基礎編
電流連続モード(CCM)PFC:ダイオードによる効率向上の例
2018.03.27
この記事のポイント
・電流連続モード(CCM)PFCではダイオードのtrrが損失に大きな影響を与えVFの影響は少ない。
・電流連続モード制御のPFCではtrrの小さいダイオードを選択することで回路効率を改善できる。
前回の臨界モードPFCの例に続いて、今回は電流連続モードPFCでの、ダイオードの特性の違いによる効率の違いを示します。
ダイオードによる電流連続モードPFC回路の効率改善の例
これは、以前にPFCの説明をした際に使った簡略化したPFCの回路例です。PFCの出力段の基本となるダイオードとMOSFETの組み合わせ部分において、ダイオードの特性が効率にどのような影響を与えるかを考察します。ダイオードはFRD(ファストリカバリダイオード)を用い、特性の異なる3種類での効率を測定した結果を示します。

右のグラフは、各FRDによる回路効率に対しFRDのtrr(逆回復時間)を重ねてあります。グラフから読み取れるように、最も効率が高いのはtrrが最も低いFRDを使った場合です。以下に、各FRDの主要特性と効率の測定値を示します。
| FRD | IF (A) | VF (V) Typ. @IF max |
trr (ns) Typ. @IF max, VR=400V |
効率 (%) |
|---|---|---|---|---|
| RFNL10TJ6S | 10 | 1.1 | 100 (dIF/dt=-100A) | 89.10 |
| RFV8TG6S | 8 | 2.3 | 25 (dIF/dt=-200A) | 93.59 |
| RFVS8TG6S | 8 | 2.5 | 20 (dIF/dt=-200A) | 93.87 |
回路条件:連続モード、Po=300W、fsw=200kHz、Vin=115Vrms、Vo=390V
RFNL10TJ6SとRFV08TJ6Sは、前回の臨界モードPFCの損失シミュレーションに使ったFRDで、RFNL10TJ6SはVFが低いことから臨界モードPFCでは最も高い効率をマークしたFRDです。逆にRFV08TJ6Sは、VFがRFNL10TJ6Sとの比較において高いことから、臨界モードPFCでの効率は低い結果となりました。
しかしながら、電流連続モードPFCの効率に関しては、VFの影響はほとんどなくtrrの影響が支配的です。trrが遅いことで効率が低下する理由は、波形図でわかります。

FRDの波形は、FRDがオンして5A程の順電流IFが流れ、その後オフすると18A程の逆電流IRが流れています。このIRはtrr期間に流れるもので、連続モードPFCでは、これがMOSFETのスイッチングに影響を与えます。波形が示す通り、MOSFETのオン時にはスパイク状の大電流が流れ、これが損失となって回路全体の効率を低下させます。FRDのtrrの詳細についてはこちらを参照願います。
結論としては、電流連続モードPFCにおいては、ダイオードのtrrが高速なほど効率は高くなります。VFには基本的に影響されません。
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