電気回路設計|基礎編

並列回路の抵抗・電流・電力の求め方

2026.10.21

並列回路とは、複数の枝路の両端が同じ一対のノード間に接続された回路です。各枝路には同じ電圧が加わり、電源から流れる全電流は複数の枝路へ分かれます。抵抗器だけで構成した純並列回路では、各抵抗の逆数和から合成抵抗を求めることができ、電源電圧が分かれば枝路電流、全電流、各抵抗の消費電力まで計算できます。
ここでは、理想直流電圧源に2~10個の理想抵抗器を接続した定常状態を扱い、計算ツールの使い方だけでなく、合成抵抗の式が成り立つ理由、純並列接続の見分け方、計算結果の検算、実回路へ適用する際の確認項目まで説明します。

並列回路の合成抵抗計算ツール

計算ツールには、並列に接続する抵抗値を2~10個入力します。電源電圧は任意です。抵抗値だけを入力した場合は合成抵抗を計算し、電源電圧も入力した場合は電流と電力の結果を追加します。

並列に接続する抵抗 2 / 10

2~10個。値と単位を枝路ごとに入力します。

電流・電力も計算する (任意)

空欄のままでも合成抵抗を計算できます。

計算結果

計算結果はここに表示されます

R1とR2を入力し、計算を選択してください。

対象は、0 Ωより大きい理想抵抗器を同じ二つのノード間へ接続した定常DCの純並列回路です。直並列混在回路、ブリッジ回路、交流回路、LEDなどは対象外です。

この計算ツールは、0 Ωより大きい抵抗値を持つ抵抗器が、同じ一対のノード間に接続された純並列回路を対象とします。直並列混在回路、ブリッジ回路、交流回路、コンデンサ、インダクタ、LEDなどは対象に含みません。
枝路電流や消費電力まで求める場合は、電源電圧を入力します。合成抵抗だけを求める場合、電源電圧は不要です。

並列回路の合成抵抗を求める公式

純並列回路では、各枝路の電圧が電源電圧VS と等しくなります。抵抗Ri を流れる枝路電流Ii は、オームの法則から次のように表せます。

\(I_i=\displaystyle \frac{V_S}{R_i}\)

キルヒホッフの第1法則(KCL:Kirchhoff’s Current Law)より、電源から流れる全電流Itotal は枝路電流の和です。

\(I_{total}=\displaystyle\sum_{i=1}^{n}I_i=\displaystyle\sum_{i=1}^{n}\frac{V_S}{R_i}=V_S\displaystyle\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{R_i}\)

一方、回路全体を一つの合成抵抗Req へ置き換えると、全電流は次の式になります。

\(I_{total}=\displaystyle \frac{V_S}{R_{eq}}\)

二つの式が同じ全電流を表すことから、並列回路の合成抵抗は次の一般式で求められます。

\(\displaystyle \frac{1}{R_{eq}}=\displaystyle\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{R_i}\)

\(R_{eq}=\displaystyle\frac{1}{\sum_{i=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{R_i}}\)

R1、R2、R3が同じ二つのノードを共有し、全電流が各枝路へ分かれる純並列回路。図1:R1 、R2 、R3 が同じ二つのノードを共有し、全電流が各枝路へ分かれる純並列回路。

図1では、分岐前の全電流Itotal がI1 、I2 、I3 へ分かれます。R1 、R2 、R3 は同じノードA・B間に接続されるため、各枝路の電圧は共通です。
ここで、Ri は各枝路の抵抗、nは並列に接続する抵抗の個数です。計算では、抵抗値の単位をそろえます。例えば1 kΩ、2.2 kΩ、470 Ωを代入する場合は、すべてΩ又はkΩへ換算します。計算ツールでは、選択した単位を内部でΩへ換算します。

2個の並列抵抗は「和分の積」で計算できる

抵抗が2個の場合は、一般式を整理すると次の式になります。

\(R_{eq}=\displaystyle\frac{R_1 R_2}{R_1+R_2}\)

分子が2抵抗の積、分母が2抵抗の和になるため、「和分の積」と呼ばれることがあります。2個の抵抗を手計算するときには便利ですが、3個以上の抵抗にはそのまま適用できません。3個以上では、逆数和の一般式を使います。

同じ抵抗を複数個並列にした場合

同じ抵抗R をn個並列に接続すると、逆数和はn/R になります。したがって、合成抵抗は次の式で求められます。

\(R_{eq}=\displaystyle\frac{R}{n}\)

同じ抵抗を2個並列に接続した場合は、Req =R /2となります。例えば1 kΩを4個並列に接続した場合、合成抵抗は250 Ωです。同じ抵抗を使う純並列回路では、各枝路の電流と消費電力も理想値では等しくなります。

合成抵抗の範囲から計算結果を確認する

正の抵抗が2個以上ある純並列回路では、合成抵抗は最小の枝路抵抗より小さくなります。

\(R_{eq}<\min(R_1,R_2,\ldots,R_n)\)

並列枝路を追加すると、新たな電流経路が加わって全コンダクタンスが増えるため、その逆数である合成抵抗は小さくなります。計算結果が最小の抵抗値以上になった場合は、単位の換算、式の選択、入力値を確認します。

電源電圧から枝路電流・全電流・電力を求める

電源電圧を入力すると、合成抵抗に加えて、各枝路の電圧と電流、全電流、各抵抗の消費電力、電源供給電力を求められます。

各枝路の電圧と電流

純並列回路では、すべての枝路が同じ二つのノードへ接続されています。各枝路の両端電位が共通になるため、枝路電圧Vi は電源電圧VS と等しくなります。

\(V_i=V_S\)

各枝路には同じ電源電圧が加わりますが、枝路電流は抵抗値によって変わります。

\(I_i=\displaystyle\frac{V_S}{R_i}\)

同じ電源電圧では、抵抗値が小さい枝路ほど電流が大きくなります。各枝路の抵抗値が電流配分を決めるためです。

全電流と枝路電流の割合

電源から流れる全電流は、すべての枝路電流の和です。合成抵抗を使って求めた電流とも一致します。

\(I_{total}=\displaystyle\sum_{i=1}^{n}I_i=\displaystyle\frac{V_S}{R_{eq}}\)

全電流に占める枝路電流の割合は、枝路電流を全電流で割って求めます。一般式へ置き換えると、各枝路のコンダクタンスが全コンダクタンスに占める割合と同じです。

\(\displaystyle \frac{I_i}{I_{total}}=\frac{\displaystyle \frac{1}{R_i}}{\sum_{j=1}^{n}\displaystyle \frac{1}{R_j}}\)

2抵抗間の電流比を求める分流公式については、「分流の法則とは何か?」の記事で詳しく説明します。

消費電力と計算結果の検算

各抵抗の消費電力Pi は、枝路電圧と枝路電流の積で求めます。純抵抗では、電源電圧と抵抗値を使った式でも同じ値になります。

\(P_i=V_SI_i=\displaystyle \frac{V_S^2}{R_i}\)

電源が回路へ供給する電力Psource は、電源電圧と全電流の積です。理想回路では、各枝路の消費電力の合計と一致します。

\(P_{source}=V_SI_{total}=\displaystyle \frac{V_S^2}{R_{eq}}=\displaystyle \sum_{i=1}^{n}P_i\)

計算結果は、次の三つの関係で検算できます。

\(V_i=I_i R_i=V_S\)

\(\displaystyle\sum_{i=1}^{n}I_i=I_{total}=\frac{V_S}{R_{eq}}\)

\(\displaystyle \sum_{i=1}^{n}P_i=P_{source}=V_SI_{total}\)

計算ツールでは、表示用に丸める前の値を使って、共通電圧、電流収支、電力収支が許容誤差内で一致するかを確認します。この検算は、入力値から得た計算結果の整合性を確かめるためです。抵抗許容差、配線抵抗、電源内部抵抗、温度変化を含む実回路の測定値を保証するものではありません。

計算例:12 V電源に3.3 kΩと6.8 kΩを並列接続する

12 Vの直流電源に、R1 =3.3 kΩとR2 =6.8 kΩを並列接続する例を計算します。

入力項目 値
電源電圧VS 12 V
抵抗R1 3.3 kΩ
抵抗R2 6.8 kΩ

2V電源に3.3kΩと6.8kΩを並列接続し、枝路電流と全電流を示した回路。図2:2 V電源に3.3 kΩと6.8 kΩを並列接続し、枝路電流と全電流を示した回路。

合成抵抗を求める

2個の並列抵抗には、和分の積を使えます。

\(R_{eq}=\displaystyle \frac{R_1R_2}{R_1+R_2}\)

値を代入すると、次のようになります。

\(R_{eq}=\displaystyle \frac{3.3 kΩ×6.8 kΩ}{3.3 kΩ+6.8 kΩ}=2.2217 kΩ\)

計算ツールの表示値は、

\(R_{eq}≈2.222 kΩ\)

です。合成抵抗は3.3 kΩと6.8 kΩのどちらよりも小さく、並列合成抵抗の範囲と一致します。

枝路電流と全電流を求める

枝路電流は、電源電圧を各抵抗値で割って求めます。

\(I_1=\displaystyle \frac{12 V}{3.3 kΩ}≈3.636 mA \)

\(I_2=\displaystyle \frac{12 V}{6.8 kΩ}≈1.765 mA \)

全電流は枝路電流の和です。

\(I_{total}=I_1+I_2≈5.401 mA \)

合成抵抗から求めても、同じ値になります。

\(I_{total}=\displaystyle \frac{12 V}{2.222… kΩ}=5.401 mA \)

全電流に占める割合は、R1 枝路が67.33%、R2 枝路が32.67%です。

消費電力を求め、三つの関係で検算する

各枝路の消費電力は、電源電圧と枝路電流の積で求めます。

\(P_1=12 V×3.6364 mA≈43.64 mW \)

\(P_2=12 V×1.7647 mA≈21.18 mW \)

電源供給電力は、次の値になります。

\(P_{source}=12 V×5.4011 mA≈64.81 mW \)

共通電圧は、各枝路の電流と抵抗値の積から確認できます。

\(I_1R_1=12 V、I_2R_2=12 V \)

枝路電流の合計は5.401 mA、枝路電力の合計は64.81 mWです。それぞれ、合成抵抗から求めた全電流と電源供給電力に一致します。

枝路 抵抗値 枝路電圧 枝路電流 全電流に占める割合 消費電力
R1枝路 3.3 kΩ 12 V 3.636 mA 67.33% 43.64 mW
枝路 抵抗値 枝路電圧 枝路電流 全電流に占める割合 消費電力
R2枝路 6.8 kΩ 12 V 1.765 mA 32.67% 21.18 mW
回路全体 2.222 kΩ(合成抵抗) 12 V 5.401 mA 100.0% 64.81 mW

表には丸めた計算ツールの表示値を示しています。検算には、丸め前の値を使います。

抵抗が純並列かどうかをノードで見分ける

抵抗の並列接続は、回路図の形ではなく、各抵抗の両端がどのノードへ接続されているかで判定します。回路図上で抵抗が離れて描かれていても、両端が同じ二つのノードにつながっていれば並列です。反対に、抵抗同士が横に並んで見えても、両端ノードが一致しなければ純並列ではありません。
図1では、R1 、R2 、R3 の上端がノードA、下端がノードBへ接続されています。この条件を満たすため、3個の抵抗を一般式へそのまま入力できます。

直並列混在回路を純並列として扱わない

R1と、R2・R3の直列枝路が並列になっている直並列混在回路。図3:R1 と、R2 ・R3 の直列枝路が並列になっている直並列混在回路。

図3では、R1 はノードAとノードBの間にあります。一方、下側はR2 とR3 を直列に接続した枝路であり、R2 の右端は中間ノードCです。したがって、R1 とR2 を個別の並列抵抗として計算ツールへ入力することはできません。
この回路では、最初にR2 とR3 の直列合成抵抗を求め、その合成値とR1 が並列であるとして計算します。ブリッジ回路のように、直列・並列だけでは単純化できない回路もあります。各抵抗の両端ノードを確認してから、計算方法を決めます。

直列回路と並列回路の違い

直列回路では各抵抗を同じ電流が流れ、並列回路では各抵抗の両端電圧が等しくなります。接続条件と共通する電気的な量を確認すると、適用すべき計算式を判断できます。

直列回路と並列回路の接続形態、及び共通する電気量の違い。図4:直列回路と並列回路の接続形態、及び共通する電気量の違い。

比較項目 直列回路 並列回路
接続条件 一つの経路上へ抵抗を順に接続する 各抵抗の両端を同じ一対のノード間に接続する
共通する電気的な量 電流 電圧
合成抵抗 各抵抗の和 各抵抗の逆数和の逆数
抵抗を追加したとき 合成抵抗が大きくなる 合成抵抗が小さくなる
一つの抵抗が開放したとき 電流経路が切れるため、回路全体の電流が流れなくなる 電源と共通配線が保たれていれば、開放した枝路以外には電流が流れる

直列回路の式と計算例は、「直列回路とは」の記事で説明しています。

抵抗を並列接続する主な目的

抵抗の並列接続は、単体より小さい抵抗値を得る場合と、消費電力を複数の抵抗へ分担する場合に使われます。いずれの目的でも、各抵抗が同じ一対のノード間に接続され、個別に定格を満たしていることが前提です。
単体より小さい合成抵抗を得る。並列接続した抵抗の合成抵抗は、最小の枝路抵抗より小さくなります。標準抵抗値を組み合わせて、単体では得にくい抵抗値へ近づけることができます。合成値の精度が必要な場合は、各抵抗の許容差と温度係数を含めて評価します。
消費電力を複数の抵抗へ分担する。同じ抵抗値の抵抗を同じ電気条件で並列にすると、理想値では各枝路の電流と消費電力が等しくなります。ただし、実回路では抵抗許容差、温度差、基板上の放熱条件によって分担が偏ります。定格電力を単純に合計するのではなく、各抵抗の枝路電力と温度条件を個別に確認します。
並列接続では、各抵抗に電源と同じ電圧が加わります。したがって、抵抗器全体の許容電圧を高める目的には使えません。各抵抗の定格電圧は個別に満たす必要があります。

計算結果を実回路へ適用する前の確認

計算ツールの計算結果は、理想抵抗、理想電圧源、定常状態、公称抵抗値を前提としています。実回路へ適用するときは、電源から各枝路までの電流経路、抵抗器ごとの電力・電圧・温度条件、抵抗値のばらつき、故障時の挙動を確認します。

電源と共通配線の許容電流

並列枝路を追加すると合成抵抗が下がり、同じ電源電圧では全電流が増えます。電源の出力電流能力だけでなく、全電流が通る共通配線、コネクタ、スイッチ、保護素子の定格を確認します。
配線抵抗や接触抵抗が無視できない場合は、枝路に加わる電圧が理想値からずれることがあります。大電流を扱う回路では、配線幅、配線長、接続部の電圧降下と発熱も評価対象になります。

抵抗器ごとの電力・電圧・温度条件

同じ電圧が加わるため、抵抗値が小さい枝路ほど電流と消費電力が大きくなります。各抵抗について、計算した枝路電力と定格電力、印加電圧と定格電圧、周囲温度又は端子温度に対するディレーティング(使用条件を考慮した定格)条件を照合します。
定格やディレーティング条件は製品ごとに異なります。具体的な許容値は、使用する抵抗器の最新データシートと公式資料で確認します。

許容差・温度変化・故障時の挙動

実際の抵抗値は、公称値から許容差の範囲で変化します。要求精度によっては、温度係数、自己発熱、配線抵抗、接触抵抗を含めた最悪値計算又は実測が必要です。
一つの枝路が開放状態になると、その枝路の電流はゼロになります。電源と共通配線が保たれていれば、ほかの枝路には引き続き電流が流れます。
一方、枝路が短絡すると、理想電圧源では電流が無限大になるため、この計算ツールでは 0 Ωを入力できません。実回路では電源内部抵抗や配線抵抗により電流は有限になりますが、安全な値に収まるとは限りません。保護回路が動作しない場合は、配線や部品の過熱・損傷につながるおそれがあります。

確認対象 計算ツールで得られる値 実回路で追加する確認
電源・共通配線 全電流Itotal 電源容量、配線幅、コネクタ、スイッチ、保護素子の定格
各抵抗 枝路電流Ii 、枝路電力Pi 、Vi 定格電力、定格電圧、ディレーティング、実装時の温度条件
計算精度 公称抵抗値による計算結果 抵抗許容差、温度係数、自己発熱、配線抵抗、接触抵抗
故障時 対象外(正常条件のみ) 開放・短絡時の電流経路、保護回路の動作条件、故障モード

まとめ

並列回路は、複数の枝路の両端が同じ一対のノードに接続された回路です。各枝路の電圧は共通になり、電源から流れる全電流は各枝路の電流の和になります。抵抗器だけで構成した純並列回路では、各抵抗の逆数和から合成抵抗が求められます。合成抵抗は、並列に接続した抵抗のうち最も小さい抵抗値よりも小さくなります。
電源電圧が分かれば、オームの法則を使って各枝路の電流、全電流、各抵抗の消費電力を計算できます。計算結果は、各枝路の電圧が電源電圧と一致すること、枝路電流の合計が全電流と一致すること、枝路電力の合計が電源供給電力と一致することによって検算できます。
実回路へ適用する際は、計算結果だけで判断せず、電源と共通配線の許容電流、各抵抗器の定格電力・定格電圧、ディレーティング、抵抗許容差、温度条件も確認します。また、計算前に各抵抗の両端ノードを確認し、直並列混在回路やブリッジ回路を純並列回路として扱わないことが重要です。
計算ツールを使用すると、2~10個の抵抗から合成抵抗を求められます。電源電圧を入力した場合は、枝路電流、全電流、消費電力、及びそれらの検算結果も確認できます。

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