モーター|基礎編
ハイブリッド型ステッピングモーターの構造と動作原理
2019.05.28
この記事のポイント
・ハイブリッド形ステッピングモーターは、VR型とPM型の両方の利点を備えたステッピングモーター。
・VR型の構造を利用して細かいステップ角を実現し、永久磁石を組み合わせることで大トルク化が可能。
・2対のコイルの通電状態を切り替える(4ステップ)ことで、ロータの歯1つ分を回転させる。
ここまでは、PM型ステッピングモーターを例に動作を説明してきました。今回は、今日幅広い用途を持つハイブリッド型ステッピングモーターの構造と動作原理を説明します。
ハイブリッド型ステッピングモーターの構造
ハイブリッド形ステッピングモーターは、VR型とPM型の両方の利点を備えたステッピングモーターです。VR(Variable Reluctance)型は、ロータ(回転子)として歯車状の鉄心を使用します。機械加工によりステップ角を小さくできるメリットがありますが、トルクがやや低く小型化と大トルク化の両立は難しいというデメリットがあります。PM(Permanent Magnet)型は強力な永久磁石によって小型化してもトルクを得られますが、ステップ角を小さくするには限界があります。
ハイブリッド型は、VR型の構造を利用して細かいステップ角を実現し、永久磁石を組み合わせることで大トルク化が可能で、多くのアプリケーションに利用されています。
ロータの基本構造は、軸方向に着磁した円筒形磁石を2枚の鉄製ロータで挟んだ形になっています。ロータには円周上に歯が刻まれています。2枚のロータは、軸方向から見て歯が1/2ピッチ分ずれるように取り付けられます。ステータ(固定子)には、励磁コイルを持つ複数の極があり、それぞれの極にもロータと同じような歯があります。

この図ではステータ巻線が4つあり、ロータを挟んで互いに向かい合うコイルが組みとして結合されており、図では上下のコイルがA相、左右のコイルがB相として示されています。コイルは、通電により相対する2つの極が互いにN極とS極になるよう結合されています。
図のロータには15枚の歯があります。白の方を手前のロータとし永久磁石によりN極に磁化されているとすると、青のロータは奥に位置しS極に磁化されているといった構造になります。
ハイブリッド型ステッピングモーターの動作原理
下図を使って、ハイブリッド型ステッピングモーターの動作原理を説明します。初期状態(前出「初期状態」の図参照)は、A相(上下)の上極がSに、下極がNになるよう通電されています。白い方の歯はNなのでA相のS極と引き合い、青い方の歯はSなのでA相のN極と引き合っています。この状態から、コイルの通電状態を①~⑤の順で変化させます。

①~⑤で動作説明を行います。
- ①B相(左右)に右極がSに左極がNになるよう通電されている。手前にある白い歯(N)は右極(S)と、奥にある青い歯(S)は左極(N)と引き合っている。
- ②A相(上下)の上極がNに、下極がSになるように通電すると、手前の白い歯(N)は下極(S)と、奥の青い歯(S)は上極(N)と引き合い、ロータはさらに反時計方向に移動する。
- ③B相(左右)に①と逆向きに通電すると、手前の白い歯(N)は左極(S)と、奥の青い歯(S)は右極(N)と引き合い移動する。
- ④A相(上下)に②と逆向きに通電すると、手前の白い歯(N)は上極(S)と、奥の青い歯(S)は下極と引き合い移動する。上極がS、下極がNになるよう通電すると同様に移動し、ロータは初期状態(前出「初期状態」の図参照)に対して歯1つ分回転したことになる。
- ⑤B相(左右)に①と同じように右極がS、左極がNになるように通電すると、同様に移動しロータは①に対しては1つ分回転したことになる。
このように、①~⑤の4ステップで、ロータは反時計方向に歯1ピッチ分移動し、これを繰り返すことでモーターは連続的に回転します。逆の時計方向に回転させるには、⑤~①の順に通電を制御します。
画像出典
Fig_1:小型・高分解能・高剛性ハイブリッド型ステッピングモーター、「25□(かく)1.8°」(外形寸法25mm角、ステップ角1.8度)の製品化
【資料ダウンロード】 ステッピングモーターと駆動方法の基礎
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