IGBTパワーデバイス|基礎編

実際のIGBT IPMの例:パッケージ

2022.10.25

この記事のポイント

・実際のIPMの例に、パッケージタイプ、外形寸法、端子配置、標印、ヒートシンクの取り付け方法を示した。

今回は、IGBT IPMのパッケージについて説明します。IGBT IPMの例としては前回同様に、ローム第3世代のIGBT IPMであるBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズを用います。

実際のIGBT IPMの例:パッケージ

BM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズには、HSDIP25とHSDIP25VCの2種類の端子形状がラインアップされています。HSDIP25は長尺タイプ(サフィックス:-VA)、HSDIP25VCは制御側千鳥タイプ(サフィックス:-VC)です。端子を含まないパッケージサイズはどちらも38.0mm×24.0mm×3.5mmです。また、どちらも端子数は25です。以下に、外形寸法、端子配置、標印、ヒートシンクの取り付け方法を示します。

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:HSDIP25、HSDIP25VCの外観。

外形寸法図:HSDIP25(長尺タイプ、サフィックス:-VA)※寸法図をクリックすると拡大します。

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:HSDIP25パッケージの外形寸法。

外形寸法図:HSDIP25(制御側千鳥タイプ、サフィックス:-VC)

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:HSDIP25VCパッケージの外形寸法。

端子配置

端子配置、端子数はどちらのパッケージも同じです。以下、端子番号に対する記号と機能の一覧です。

端子番号 記号 機能
1 NC ノンコネクション(GND電位)
2 VBU U相フローティング制御電源
3 VBV V相フローティング制御電源
4 VBW W相フローティング制御電源
5 HINU U相上側IGBT制御入力
6 HINV V相上側IGBT制御入力
7 HINW W相上側IGBT制御入力
8 HVCC HVIC制御電源
9 GND グラウンド(Note 1)
10 LINU U相下側IGBT制御入力
11 LINV V相下側IGBT制御入力
12 LINW W相下側IGBT制御入力
13 LVCC LVIC制御電源
14 FO アラーム出力
15 CIN 短絡電流トリップ電圧検出
16 GND グラウンド(Note 1)
17 VOT 温度出力
端子番号 記号 機能
18 NW W相下側IGBTエミッタ
19 NV V相下側IGBTエミッタ
20 NU U相下側IGBTエミッタ
21 W W相出力
22 V V相出力
23 U U相出力
24 P インバータ電源
25 NC ノンコネクション(Noet 2)

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズの端子配置図。

Note 1:GNDが9番端子と16番端子の2本あるが、IPM内部で接続されているので、外部ではどちらか一方のみ接続(16番推奨)し、他方はオープン状態で使用すること。
Note 2:IPM内部での電気的接続なし。

標印

標印の位置と意味を示します。標印は放熱板の反対側であるボトム側に表示されています。

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズの標印位置および意味。

絶縁距離

絶縁距離(空間および沿面)は以下の通りです。

項目 空間距離[mm] 沿面距離[mm]
充電部異電極端子間 2.50 3.00
端子-ヒートシンンク間 1.45 1.50

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:凸型ヒートシンク使用例。

ヒートシンクの取り付け方法

IPMをヒートシンクに取り付ける際、規定トルク以上での締め付けや極端な片締めをした場合、IPM内部のチップや放熱面セラミックにストレスが加わり、破壊、クラックまたは劣化を招く可能性があります。

締め付け順序を下図左側に示します。締め付け時はトルクドライバーを使用し規定のトルクで締めます。仮締めの締付けトルクは規定最大値の20~30%を目安に設定してください。

IPM放熱面とヒートシンクとの接触面には熱伝導性の良いグリースを100µm~200µm程度、均一に塗布して使用してください。塗布するグリースは、使用動作温度範囲内で変質せず、経年変化のないものをご使用ください。IPMとヒートシンクの接触面に異物が混入しないようにしてください。

グリース塗布後に直接ヒートシンクにネジ止めすることを推奨しますが、IPM放熱面とヒートシンクの間に放熱シートを挟んで使用する場合、シート材の厚みや弾性率によってはIPM内部のチップや放熱面セラミックにストレスが加わり、破壊、クラックまたは劣化を招く可能性があります。放熱シートを使用する際は、下図右側に示すようにIPMの標印面が+側へ反ることがないよう十分評価した上で使用してください。

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:ネジ締め付け順序例。/ヒートシンク取り付け後のIPM平面度(放熱シート使用時)。

下記は、締め付けトルクと外付けヒートシンク平面度の規格値です。

項目 規格値 単位 条件
最小 標準 最大
締付けトルク強度 0.59 0.69 0.78 N・m 取り付けネジM3Note 1、推奨値0.69N・m
外付けヒートシンク平面度 -50 +100 µm 下記「外付けヒートシンク平面度測定位置」の図参照

Note 1:取り付けネジには、平座金(推奨:JIS B1256)を使用すること。

最大限の放熱効果を得るには、その接触面積をできるだけ大きくし接触熱抵抗を最小にする必要があります。外付けヒートシンクの平面度(反り/凹凸)は、IPM取り付け面において下図が示す通りとします。

ローム第三世代IGBT IPMのBM6337xS-xx/BM6357x-xxシリーズ:外付けヒートシンク平面度測定位置。

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