IGBTパワーデバイス|応用編
IGBT IPM:保護機能と動作シーケンス IGBT IPMの制御電源電圧低下時誤動作防止機能(UVLO)
2023.01.10
この記事のポイント
・制御電源電圧低下時誤動作防止回路(UVLO)は、制御電源電圧が低下し既定の電圧以下となった場合に作動する。
・HVIC(High Side Gate Driver)とLVIC(Low Side Gate Driver)の両方に搭載されているが、FO信号(エラー出力)は、LVICのUVLO作動時のみ出力する。
今回は2つ目の、一般にUVLOの略称で呼ばれる、制御電源電圧低下時誤動作防止機能についてです。
- 短絡電流保護機能(SCP)
- 制御電源電圧低下時誤動作防止機能(UVLO)
- 熱遮断保護機能(TSD)*BM6337xSのみ搭載
- アナログ温度出力機能(VOT)
- エラー出力機能(FO)
- 制御入力(HINU、HINV、HINW、LINU、LINV、LINW)
制御電源電圧低下時誤動作防止機能(UVLO)
制御電源電圧が低下すると、IGBTゲート電圧が低下し、IGBT能力低下などの弊害が発生するため、推奨電源電圧内でご使用する必要があります。制御電源電圧が低下し、既定の電圧以下となった場合、制御電源電圧低下時誤動作防止回路(UVLO:Under Voltage Lock Out)が作動します。
HVIC(High Side Gate Driver)のフローティング電源VBS、LVIC(Low Side Gate Driver)の制御電源VCCの両方にUVLO回路を搭載していますが、LVICのUVLO作動時のみFO信号(エラー出力)を出力します。下表に各制御電源電圧範囲でのIPM動作状態を示します。
| 制御電源電圧範囲[V](VCC、VBS) | 動作状態 |
|---|---|
| 0~4.0 | HVIC、LVICの正常動作電圧領域ではないため、UVLO、FO信号などの各種保護機能の動作は保証されない。 外来ノイズなどによりIGBTが誤オンする可能性があるので、制御電源より先にDC-LINK電圧を立ち上げてはいけない。 |
| 4.0~VCCUVR(VCC)、VBSUVR(VBS) | UVLOが動作し、FO信号を出力する。 |
| VCCUVR~13.5(VCC) VBSUVR~13.0(VBS) |
スイッチング動作するが、推奨動作電圧範囲外のためVCESATやスイッチングロスが増大し、接合部温度が上昇する可能性がある。 |
| 13.5~16.5(VCC) 13.0~18.5(VBS) |
推奨動作電圧範囲内であり、正常動作する。 |
| 16.5~20.0(VCC) 18.5~20.0(VBS) |
スイッチング動作するが、推奨動作電圧範囲外のためスイッチングが高速となりノイズが増加する。 また短絡耐量が不足し、破壊する可能性がある。 |
| 20.0~ | HVIC、LVICが破壊する可能性がある。 定格を越える可能性がある場合は、1W程度のツェナーダイオード(20~22V)の配置を推奨する。 |
LVCC制御電源電圧低下時誤動作防止機能の動作シーケンス(LVICに搭載)
以下は、LVIC側に搭載されているLVCC制御電源電圧低下時誤動作防止機能の、動作シーケンスとタイミングチャートです。動作説明のb1~b8は、タイミングチャートに示されたそのポイントの動作になります。
- b1:LVCCが立ち上がり、VCCUVRでリリースし、次のLIN立ち上がりエッジで動作開始(各相へのLIN入力で相ごとに通常状態に復帰する)
- b2:通常動作においてIGBTがオンすると、出力電流Icが流れる
- b3:LVCCが低下しVCCUVT下回ると保護動作を開始
- b4:下側アーム全相のIGBTをオフ(LINの入力に関わらずオフ)
- b5:FO出力(90µs(Min))、UVLO=H期間90µs以下の場合。UVLO=H期間90µs以上では、UVLO=H期間(LVCCが復帰するまでの間)、FOを出力(FO=L)
- b6:LVCCが復帰すると、VCCUVRでリリース
- b7:LIN=H(点線)でリリースされても、次のLIN立ち上がりエッジまではIGBTはオフ状態
- b8:通常動作。IGBTがオンし、出力電流Icが流れる

VBS制御電源電圧低下時誤動作防止機能の動作シーケンス(HVICに搭載)
続いて、HVIC側に搭載されているVBS制御電源電圧低下時誤動作防止機能の、動作シーケンスとタイミングチャートです。動作説明のc1~c7は、同様にタイミングチャートに示されたそのポイントの動作になります。
- c1:VBSが立ち上がり、VBSUVRでリリース、次のHIN立ち上がりエッジで動作開始
- c2:通常動作においてIGBTがオンし、出力電流Icが流れる
- c3:VBSが低下しVBSUVTを下回ると保護動作を開始
- c4:該当相のIGBTのみオフ(HINの入力に関わらずオフ)、FOは出力しない(Hのまま)
- c5:VBSが復帰すると、VBSUVRでリリース
- c6:HIN=H(点線)でリリースされても、次のHIN立ち上がりエッジまではIGBTはオフ状態
- c7:通常動作。IGBTがオンし出力電流Icが流れる

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