Siパワーデバイス|評価編

LLCコンバータの共振外れに対するMOSFETのリカバリー特性の重要性

2022.03.29

この記事のポイント

・LLCコンバータでは、想定していた共振条件から外れると、MOSFETボディダイオードのリカバリー電流による貫通電流が発生し、スイッチング損失の増加や最悪の場合MOSFETの破壊を招く可能性がある。

・この破壊リスクを低減するには、ボディダイオードのリカバリー特性が優れているMOSFETを選定し、貫通電流値を小さくすることが有効。

4回目となる今回は、この章の最重要ポイントとなる「LLCコンバータの共振外れに対するMOSFETのリカバリー特性の重要性」について説明します。

LLCコンバータの共振外れに対するMOSFETのリカバリー特性の重要性

前回説明した領域(2)におけるLLCコンバータの波形や電流経路を確認すると、ボディダイオードに電流が流れている期間は存在します。しかし定常動作状態においては、この期間にボディダイオードがオフすることはありませんので一般的にリカバリー電流は発生しません。

次に領域(3)におけるLLCコンバータの動作の一例として、過負荷状態におけるLLCコンバータの動作波形を図5に示します。図5のQ1、Q2のドレイン電流波形を見ると、ZVS動作ではなくZCS動作になっていることがわかります。そのため、ボディダイオードのリカバリー電流による貫通電流が発生し、MOSFETのスイッチング損失が増大し、最悪の場合MOSFETが破壊に至る恐れがあります。

図5:LLCコンバータの共振外れに対するMOSFETのリカバリー特性の重要性。過負荷条件でのLLCコンバータの動作波形。
図5.過負荷条件でのLLCコンバータの動作波形

このように領域(3)では、想定していた共振条件から外れることによって貫通電流が発生します。図5は過負荷状態における波形ですが、他にも入力電圧が低い場合、負荷条件の変動が急峻な場合、電源起動時などに共振外れが起き、貫通電流が流れます。したがって、共振外れによるMOSFETの破壊を防ぐには、ボディダイオードのリカバリー特性が優れているMOSFETを選定し、貫通電流値を小さくすることが有効です。

この要件に適したMOSFETとして、R60xxVNxシリーズがあります。R60xxVNxシリーズは最新世代のPrestoMOSで、高速リカバリー特性が特長のスーパージャンクションMOSFETです。高速リカバリー性能によって、貫通電流による損失を低減できるため、LLCコンバータの一次側MOSFETに非常に適しています。R60xxVNxシリーズおよびPrestoMOSに関してはこちらを参照願います。
https://www.rohm.co.jp/support/super-junction-mosfet

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