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無線に取り組む機器設計者のための基礎知識無線通信モジュールの有効性

2016.12.06

-これから無線を手掛けるという前提では、電波法認証とアライアンス認証の取得をゼロから始めるのはかなり難しいので、モジュールというソリューションを利用するということでしたが。

そうです。まったく無理とは言いませんが、ノウハウ、時間、費用などの面から相当大変だと思います。それに対して、無線通信モジュールを使うことには、大きなメリットがあります。わかりやすいように、実際のモジュールを例に使わせてください。モジュールが、先ほど説明したプロファイル選定ファームウェア開発電波法認証アライアンス認証という各フェーズに対してどのように対応しているかがわかれば、モジュールのメリットを理解いただけると思います。

-わかりました。

現在、ラピスセミコンダクタには、Bluetooth v4.0準拠のMK71050-03と、先日リリースしたばかりのv4.1準拠MK71251-01およびMK71251-02がありますが、すでに多くの機器で利用されているMK71050-03で説明します。まず、このブロック図を見てください。

block

MK71050-03は、ラピスセミコンダクタのBluetooth v4.0無線通信LSIのML7105をコアとしています。青色で囲まれた機能ブロックがLSIの機能ですが、見ての通りLSIにほとんどの機能が集積されています。黄緑のブロックはLSI以外のモジュールを構成しているデバイスです。LSIの動作に必要なマスタクロック生成用の水晶発振子、BDアドレス等の無線デバイス情報を格納するEEPROM、そして、アンテナとマッチング回路を搭載しています。このモジュール構成をもって、前述の電波法認証、Bluetooth SIG認証を得ています。

-先ほど説明していただいた、「無線特性が一意に決定された単位」、つまり、認証の最小単位である「アンテナを含んだ無線モジュール」ということですね。

その通りです。次にプロトコルスタックですが、これも図にまとめてあります。

bt_ptstack

最上層のアプリケーション層は、制作する機器に依存するので実装されませんが、それ以外はすべて実装済みで、Bluetooth SIGのプロトコル認証を取得済みです。

-これで、電波法認証と、アライアンスの物理層認証とプロトコル認証が済んでいることになりますね。

無線機器の開発において、プロトコル認証物理層認証を取得済みの無線モジュールを使用する場合、モジュールで取得済みの認証登録番号QDIDを参照するだけで、該当のアライアンス認証試験が免除されます。同様に、電波法認証を取得済みであれば、電波法認証の試験も、その登録番号を参照することで免除されます。

-そう言う意味で、このモジュールは「簡単導入、すぐにアプリケーション開発ができる」をキャッチフレーズにしているのですね。

そのキャッチフレーズにある「すぐにアプリケーション開発ができる」という文言なのですが、図で説明した通り最上層のアプリケーションとプロファイルは、このモジュールには含まれていないので、誤解のないように補足させてください。

「ファームウェア開発」のところで、「標準化にともない関連のソフトウェアが提供されている」と言う話をしましたが、これはそのことを言っているんです。弊社もアプリケーションとプロファイルに関する、すぐに使えるソフトウェアを積極的に提供しています。これは、そのイメージなんですが、この無線モジュールをベースにした評価キットに搭載されているローパワーマイコンに、いくつかのプロファイルがアプリケーションソフトウェアのサンプルとともに実装されています。

これらを利用すると、評価キットに添付されている評価ツールをパソコンにインストールし、評価キットをパソコンのUSBに差し込むだけで、無線通信動作が可能となります。また、Bluetooth v4を利用した最もな接続先であるスマートフォン側のサンプルアプリケーションソフトウェアも用意されているので、スマートフォンとの接続評価も簡単にできます。

appli

-なるほど。このモジュールの例では、無線機器開発のかなりの部分がカバーされていますね。確認のために、整理していただけますか。

無線機器開発には、プロファイル選定、ファームウェア開発、電波法認証、アライアンス認証という工程を経ることになりますが、このBluetooth v4無線通信モジュールの例では、電波認証とアライアンス認証は取得済みであり、フォームウェア開発もかなりのレベルでサポートされていますので、非常に迅速に開発が進みます。この点から、無線機器の製作には、Bluetoothにかかわらずモジュールを利用するのは、非常に能率的な手段だと思います。

補足になりますが、実は、この例の設定は話の論理が前後しています。無線機器製作に必要な作業の前提として、「モジュールを使う設計」で話を始めました。もう、お気づきかもしれませんが、販売されているモジュールを使う前提であれば、基本的には電波法認証とアライアンス認証は取得済みが普通ですので、これに関しては手順を説明するためとご理解ください。

-今回は、「無線に取り組む機器設計者のための基礎知識」というテーマのインタビューでしたが、最後に全体的なまとめをお願いします。

無線の種類と分類を知ることが第一歩で、必然的に無線通信の規格や構成要素、ネットワークトポロジーなどを理解して行くことになります。特に、これから無線に取り組む方の多くがターゲットにするIoTに関連する近距離無線は、しっかり理解する必要があります。近距離無線の例として、Bluetooth v4とSub-GHz/Wi-SUN無線通信について、おおよその特徴はわかっていただけたかと思います。そして、無線機器製作の手順と必要なことの説明に関しては全体像をイメージできればよいでしょう。最後の無線通信モジュールの有効性については、もしかしたら、これから無線に取り組む方にとっては、一番実務的な話だったのでないでしょうか。

インタビューの冒頭で、基礎知識としても概略的な内容になってしまうと申し上げましたが、実際にその通りです。モジュールが便利だと話しておいて恐縮ですが、このインタビューをヒントに、可能な限り基本的なことはしっかり勉強し、経験も積んでほしいというのが、長く無線に携わってきた者の正直な思いです。

-むずかしいテーマへの対応、ありがとうございました。

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