エンジニアに直接聞く
13.56MHz(NFC)ワイヤレス給電のアドバンテージとは 内径6.5mmのペンに収まるワイヤレス受電モジュールとアンテナ
2019.09.10
-では、13.56MHzワイヤレス給電を電子ペンに実装した例があるということなので、見せていただけますか?
写真になりますが、2例ほどお見せできるものがあります。実装と申し上げましたが実際は実装試行で、既存の電子ペンや想定したサイズの筐体に搭載したものです。このチップセットによる回路が電子ペンに対して十分小さくスマートに実装できることがわかると思います。
まずは各モジュールの写真をご覧ください。これは、受電モジュールの基板でML7630が搭載されており、サイズは4.0mm×8.5mmです。アンテナはΦ4mmのコイルアンテナです。

回路図も参考までにお見せしますが、意図は、これらが電子ペンの中に収まらなければならず、実際収まることをイメージいただくことです。
-基板の短辺が4mmで、コイルアンテナの径が4mmなので、例えば円柱型の電子ペンなら内径が4mm以上あれば入ってしまうということですよね。
そうですね。さすがに内径4mmでは無理ですが、今回の実装試行では内径6.5mmの電子ペンの中に収まっています。それでこれが送電モジュールです。送電側なので搭載する筐体に若干の余裕があることもあり、ML7631が載るボードは28mm×22mmで、送電用のコイルアンテナはΦ16mmです。

そしてこちらが、コイルアンテナを使用した実装試行です。

ペン本体の径は8mmで、先程言ったように内径はわずか6.5mmです。写真でわかるようにこの内径のペンの中にアンテナと受電モジュール基板が入っています。この受電モジュールは先にお見せしたタイプではなく、10.5mm×5.7mmの少し大きなものが入っています。黄色い背景の写真にある「超小型受電ボード」が先にお見せしたもので、これだと余裕で収まるかと思います。
-直径8mmのペンと言うと、鉛筆並みですね。確か、鉛筆の太さはJIS規格で最大Φ8mmと決められていて、実際は7~8mmの間くらいの径だと聞いたことがあります。昔ながらの細身のシンプルな単芯のボールペンもΦ8mmぐらいかと思いますので、この電子ペンはペンとしてまったく違和感のない太さですね。それに収まるというのは、ほとんどのペンをワイヤレス充電の電子ペンにできると言っても言い過ぎではないと思います。
大袈裟な話ではなくて、ペンとして違和感のないワイヤレス充電電子ペンを念頭において開発したのは事実です。
-送電モジュールもペン立てに難なく収まっていて、普通に電子ペンをペン立てに挿せば充電される感じです。
もう1つ例があります。こちらは、フレキシブルアンテナの実装試行です。タブレットなどの側面にペンを収めるイメージで、ペンは少し扁平な7mm×10mmの角型です。このペンの内径は5mm×8mmで、受電モジュールボードは8.5mm×4.0mmの超小型タイプ、受電アンテナは4mm×30mmのフレキシブルタイプです。写真の通り、難なく収まっています。

-送電側はノートPCやタブレットを想定し模擬したアクリルの筐体で、フレキタイプの送電アンテナが側面に配置されているわけですね。
はい。電子ペンが付属しているタブレットなどのイメージです。電子ペンは側面のホルダーに収めるか吸着するようなイメージで、使用後はそこに収容して充電する想定です。
送電ボードは受電ボードに比べて大きく思えるかも知れませんが、タブレットなどに内蔵されることを考えており最小限のサイズになっています。また、送電アンテナも5mm×32mmのフレキシブルタイプで、極力場所を取らない実装になっています。
-わかりました。実装試行とは言え、ペンとして違和感のない実用的な電子ペンにワイヤレス充電を十分搭載可能なことが実感できました。
-続いて、ユーザーが実際に設計や評価を行うためにどんなサポートなどがあるかお聞きしたいのですが。
わかりました。
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