スギケン先生のモーターライブラリー|ブラシレスモータードライバーとは

~ブラシレスモータードライバーとは~

2025.09.17

この記事では、3相ブラシレスモーターのモータードライバーの役割や種類、仕様について技術的視点を交えて説明していきます。この記事から、モータードライバーの選定に必要な基礎知識が学べます。

「ブラシレスモータードライバーとは」は、“これから3相ブラシレスモーターを回してみよう”、”モータードライバーってなに?“ というモーター初心者向けに、ブラシレスモーターを回すために必要となるモータードライバーとはどのようなものか、どのような種類がありそれぞれの特徴はなにか、などのモータードライバーの基礎を解説していきます。

ここに書くのは、モータードライバーを選ぶ際やそれを使う場合に、前もって知っておいたほうが良い知識です。モータードライバーの特徴や仕様を理解するために必要な基礎知識を学んでおきたいという方に、お読みいただきたいと思います。なお、モーターの回る原理や、回すためになにをしているかなどのモーターの基礎部分を知っておきたい方は、この記事がある「スギケン先生のモーターライブラリー」内にある別記事、「はじめてのモーター」を先にご確認ください。

「ブラシレスモータードライバーとは」の内容

  • ・3相ブラシレスモーターに求められること
  • ・モータードライバーの役割
  • ・モータードライバーの構成(形態)
  • ・コントローラー(通電波形)
  • ・コントローラー(位置検出と制御機能)
  • ・パワートランジスタ
  • ・ゲートドライバー
  • ・用途と特徴
  • ・モータードライバーの例
  • ・最後に

それでは、まず“3相ブラシレスモーターに求められること”から説明していきます。

3相ブラシレスモーターに求められること

モーターは、産業用途から車載、家電、玩具といったさまざまなものを動かすために使用されています。そのため一般にモーターは、「効率」、「振動騒音」、「制御性/使いやすさ」、「信頼性」、「コスト」を満足することが求められます。本記事で扱う3相ブラシレスモーター(以降、ブラシレスモーター若しくはモーター)は、これらの項目を総合的に高いレベルで達成できるため、近年広く用いられています。

これらの項目について説明します。

効率

ここでの効率とは、モーターへの入力(電力)に対するモーター出力の割合です。効率の高いモーターは、損失が少ないモーターであり、省エネに貢献できるモーターといえます。

効率

振動騒音

モーターは発生するトルクに脈動があると振動します。モーターが搭載される機器にこの振動が伝わると騒音が発生することがあります。また、モーター自体が音を発することもあります。静音性を求められる機器には、低振動低騒音のモーターが搭載されます。

振動騒音

制御性/使いやすさ

ここでの制御性は、目的の回転動作や回転数の調整のしやすさ、俊敏性、指令に対する追従性のことです。モーターは単に回るだけでなく、回転数とトルクを制御することも求められます。また、その制御の指令のしやすさ、自動性、ばらつき範囲など、モーターを機器に搭載する際の簡易さも着目されます。

制御性/使いやすさ

信頼性

信頼性は、モーターが簡単には壊れないこと、特性が変わらないこと、誤動作をしないこと、危険動作をしないことが求められます。電気的ノイズ及び電磁ノイズに関しては、ノイズを受ける場合の耐量と共に、出すノイズも許容範囲内にしなければなりません。

信頼性

コスト

コストは、原材料費や部品の価格ですが、材料や部品点数の削減は環境対策にもつながる重要な観点です。

コスト

モーターは、搭載機器からの要望性能を満足するように設計します。ただ、コストや資源のことを含めたすべての項目を最高レベルとするのは困難、若しくは過剰性能ともいえます。通常、要望性能には優先順位があり、それは搭載される機器によって変わってきます。よって設計者はモーターを含めた搭載機器全体を把握した設計が求められます。

そして、モーターの性能はメカ性能(ここでは磁石や鉄板などの材料や構造から決まるモーター性能)と制御性能(モータードライバーの機能や特性から決まるモーター性能)の両方が関係して決まります。モータードライバーにさまざまな種類があるのは、モータードライバーがモーター特性に影響し、かつ全体設計をしたときに求められることが変わってくるからといえます。

コスト

これらのことを踏まえて、次に、モータードライバーの役割について説明していきます。

モータードライバーの役割

ブラシレスモーターは、コイル(電磁石)を用いた回転磁界の生成を、電気回路によるコイルへの電圧/電流の印加で行うため、電気回路(モータードライバー)が必須のモーターです。

この回転磁界の生成は最も基本の動作です。モーターはその動作以外にも下図に示すような性能や機能が求められます。

モーターの性能/機能

これらの性能や機能を実現するために、モータードライバーは次に示すような役割を担っています。モータードライバーは出力する電圧値を自在に調整できるので、その性能を活かしてモーターの出力調整はもちろんのこと、トルク脈動を抑えることでの静音性の向上、トルクを効率よく得るために電圧印加のタイミングを調整して損失を減らす制御、さらに回転ムラを抑えた回転数制御や位置センサを装備できない環境に対応するセンサレス制御なども行います。

モータードライバーの役割

上記のような役割は一例です。また、これらの役割を実現する手段もさまざまです。よって、モータードライバーを選ぶ際には、求められる機能と実現手段の双方を理解しておく必要があります。

つづいて、これらの役割を担うモータードライバーの回路構成を説明していきます。

モータードライバーの構成(形態)

モータードライバーの基本的な回路構成を下図に示します。モータードライバーの役割であるモーターのコイルへの電力供給は、パワートランジスタと呼ばれる電子部品(電子部材)を使って行います。パワートランジスタとは、比較的大電力を扱えるトランジスタのことです。下図はNチャネルのMOSFETの回路記号で示していますが、PチャネルのMOSFETやIGBT(Nチャネル、Pチャネル)やバイポーラトランジスタ(PNP、NPN)が使われることもあります。このパワートランジスタが電源とつながり電気的なスイッチの役割をします。電源のプラス側とつながるパワートランジスタは、上側トランジスタやハイサイドトランジスタなどと呼ばれます。マイナス側(グランド側、Gnd側)とつながるパワートランジスタは下側トランジスタやローサイドトランジスタなどと呼ばれます。この上側と下側のトランジスタのどちらかがオンすることで、コイルにかかる電位が決まります。3相のブラシレスモーターは3対(つい)、6個のパワートランジスタを使用します。

このパワートランジスタのオン/オフの制御をおこなうのが、コントローラーです。IC(集積回路:Integrated Circuit。ここではソフトウェアを使用しないもののこと。)やマイコン(マイクロコントローラー。ここではソフトウェアを使用するもののこと。)が使われます。コントローラーは、ローターの位置と外部からの指令を考慮しながらコイルにかける電圧を決めて、パワートランジスタのオン/オフの指令信号を生成します(下図は、ローター位置の把握をホール素子で行う場合の回路イメージです。ホール素子はローターの磁束を検出できる場所に配置されます)。

これらの回路のほかに、コントローラーとパワートランジスタをつなぐゲートドライバーが使用されます。ゲートドライバーの主な役割は、コントローラーからの指令信号の電位や極性を、パワートランジスタを動作させるのに十分な電位や極性、電流量にすることです。
これらの回路の詳細は後述します。

モータードライバーの構成(形態)

これらの回路部は、下の表に示すような単機能若しくは複数機能を内蔵するものとしてIC化されています。よって、モータードライバーは、これらのICの1つ若しくは複数を組み合わせたものになります。

組み合わせをどうするかは、使い勝手や設計変更の自由度、パッケージの大きさ、基板上の配線数(配線の難易度)、周辺電子部品の数、各回路ブロックの耐電圧差、温度上昇(放熱具合)などの観点で考えます。したがって、どの組み合わせが良いかは一概には言えません。下図に示す構成例の特徴については、この記事がある「スギケン先生のモーターライブラリー」内の別記事、「スギケン先生のモータードライバー道場」の「第10話 モータードライバーの形態」に掲載していますので参考にしてください。

モータードライバーの構成(形態)

モータードライバー搭載イメージ

ここで、モータードライバーの回路各部にかける電圧について説明しておきます。まず、ブラシレスモーターのコイルにかける電圧は、モーターのメカ部分の特性が影響します。低いものでは3.3V、高いものでは340V以上を必要とするモーターもあります。コイルにその電圧をかけるためには、パワートランジスタはそれ以上の耐圧が必要となります。

そのパワートランジスタを動かす回路であるゲートドライバーは、パワートランジスタと同等かそれ以上の電圧がかかります。例えば上側のNチャネルのMOSFETをオンさせるた めには、パワートランジスタにかける電圧以上の電圧が必要となるからです。

モータードライバーの構成(形態)

上記の2つの回路部とは異なり、コントローラーはモーター特性に依存せず、比較的低電圧で使用します。

これらのことからモータードライバーに印加する電源の電圧は、高電圧と低電圧の2系統を使う場合と、比較的低電圧の1系統のみの場合があります。この電圧の違いも、回路部の構成(1パッケージとするか、複数部品を組み合わせるか)の判断材料の1つとなります。

なお、モーターのコイルにかける電圧の大きさは、搭載される機器の電源環境や電力変換効率、配線の許容電流、モーター特性、信頼性などを総合して設計されています。

次に、それぞれの回路部の仕様について大まかな特徴を説明していきます。

コントローラー(通電波形)

ブラシレスモーター用のモータードライバーにおいて注目すべき仕様の1つに通電波形があります。ここでの通電波形とは、コイルに印加する電圧の波形です。ブラシレスモーターはこの印加された電圧によってコイルに電流が流れ、回転磁界をつくります。この回転磁界の動作がモーターの出力トルクに影響するため、通電波形は重要な仕様といえます。この通電波形はコントローラーが指令を生成し、パワートランジスタをオン/オフさせてつくります。よって、コントローラー部分を搭載したモータードライバー部品には通電波形の仕様が示されています。

下に示すのは、モータードライバーの基本的な通電波形です。

120度通電は、通電パターンの1周期を360度とした場合に120度の区間を上側オン、若しくは下側オンし、60度(2ヵ所)はオフしている通電波形です。120度矩形波と呼ばれることもあります。制御回路の視点では、この通電波形は比較的簡単に生成できますが、出力トルクに脈動があります。

150度通電は、150度の区間を上側オン、若しくは下側オンし、30度(2ヵ所)はオフしている通電波形です。広角通電と呼ばれることもあります。この通電波形は制御回路が複雑になりますが、後述の正弦波通電よりは簡単に生成でき、出力トルクの脈動を抑制できる特徴があります。また、トルク脈動を更に抑えるために、単純な矩形(方形)とせずに形を変えているものもあります。そのような波形のものは、台形波通電など他の呼ばれ方をすることもあります。

正弦波通電は、正弦波の形状をしています。180度通電と呼ばれることがありますが、180度矩形波(ここには記載していません)と混同することがあるため、確認が必要です。この通電波形は、制御回路は複雑になりますが電流波形が正弦波となり、理論上はトルク脈動をなくすことができます。

通電波形イメージ

ここで、通電波形生成の基礎技術といえるPWM制御について説明します。PWM制御はパルス幅変調(Pulse Width Modulation)と呼ばれる印加電圧の調整方法の1つです。所定の時間内での上側と下側のパワートランジスタのオンとオフの比率を調整することで、電源電圧に対して所望の割合の電圧を平均電圧としてコイルに印加します。例えば、所定の時間を50usとし、40usを上側オン、10usを下側オンとすれば平均電圧は80%となります。なお、上側と下側のパワートランジスタをオン/オフさせる動作にはいくつかの種類があります。比率に応じて上側と下側を相補にオンさせるもの(どちらかがオンならもう片方はオフ。ただしデッドタイムは設けます。)、上側だけをオン/オフさせて下側はオフのもの、反対に上側はオフで下側をオン/オフさせるものがあります。これらの制御の特徴については、この記事がある「スギケン先生のモーターライブラリー」内の別記事、「モーター関連用語集」の「相補PWM」「片側PWM」「デッドタイム」の各用語で説明していますので参考にしてください。

この制御方法を用いることで、120度通電では印加電圧の大きさの調整ができます。また、360度の区間で正弦波状に比率を変化させれば、正弦波通電を実現できます(正弦波通電の制御回路が複雑になる理由の1つです)

オンオフで電圧を調整する制御

PWM制御の種類(120度通電でのイメージ)

上記の正弦波通電の波形は正弦波の形状をしていますが、正弦波通電には別の通電波形もあります。

正弦波通電仕様のモータードライバーICの多くに採用されている形状に、下図の2相変調正弦波があります。図は、ブラシレスモーターのU相とV相のコイルへの印加電圧波形と、U-V相間(線間)の電圧波形を示しています。2相変調正弦波の各相の電圧は正弦波形状となっていませんが、線間では正弦波となっています。通常の正弦波(純正弦波)と比べて、PWM制御によるパワートランジスタのスイッチングを行っている範囲が狭いこと(スイッチング損失の抑制)、線間電圧の振幅を大きくできること(電圧利用率の向上)が特徴です。

正弦波通電波形イメージ

正弦波通電では波形の分割数(分解能)も仕様を示す指標となります。ここでの分割数とは、360度の中での波形の変化の回数に相当します(下図参照)。分割数が多いほど、滑らかな正弦波形状となりますが、制御回路が複雑になります。なお、分割数が多い場合でも、前述したPWM制御のパルスごとに再現できる印加電圧比率以上の性能の波形生成はできません。

コントローラー(通電波形)

コントローラー(位置検出と制御機能)

ブラシレスモーター用のコントローラーは、ローター位置の検出方法や指令の仕様、搭載する制御機能などでさまざまな種類があります。ここでは下記の項目について説明します。

コントローラー(位置検出と制御機能)

位置検出

一般にコントローラーは、ローターの位置を把握(考慮)して通電波形を生成しています。そのローター位置の検出には、ホール素子を使う方法と、誘起電圧を検出する方法があります。後者は直接的な位置検出センサを使用しないことからセンサレスと呼ばれます。なお、ホール素子の動作については、前述の「モーター関連用語集」の「ホール素子、ホールIC」の項目を、また、誘起電圧によるローター位置の把握については、この記事がある「スギケン先生のモーターライブラリー」内の別記事、「モーターの疑問解説コーナー」の「なぜ誘起電圧からローターの位置がわかる」で説明していますので参考にしてください。

この仕様の違いにより、コントローラーの信号入力端子の数が変わります。下図は端子のイメージです。ホール素子を使うコントローラーには入力端子が6つか3つ、センサレスにはホール素子の信号を入力する端子はありません(代わりに、モーターのコイルの電圧を入力する端子があることがあります)。

位置検出

ホール素子を使うコントローラーに2種類あるのは、ホール素子を用いた電子部品に2つの種類があるからです。ここでは、1つをホール素子(電子部品としての名称)、もう1つをホールICと呼ぶことにします。

ホール素子は、磁気検出素子としてのホール素子の入出力がそのまま4つの端子となっている電子部品です。下図の①と③の端子間に電圧をかけて電流を流すと、ICを通る磁束に応じて②と④の端子に図のような電圧が表れます。一般に、ホール素子仕様のコントローラーではこの2つの端子の電圧差を磁束検出結果として使用します。そのため、この仕様のコントローラーには、U、V、Wの相ごとにPとNの2つの入力端子が用意されています(上図)。

ホールICは、磁気検出素子としてのホール素子の出力電圧をIC内部の回路で信号処理し、HighとLowの2つの電位を出力するようにした電子部品です。出力信号は1つとなるので、ホールIC仕様のコントローラーの信号入力端子は3つとなります。(ホール素子、ホールICなどの名称は一例です。また、端子名もH1+、H1-やH1、H2など、数字や+/-の場合もあります。)

位置検出

ホール素子(電子部品)を使う仕様のコントローラーは、ホールICの使用に対応していることがあります。その場合、入力端子のどちらか空いている方には基準電圧を入力します(例えば、HUPにHigh電圧5V、Low電圧0VのホールIC信号を入力するなら、HUNには2.5Vを入力する、など)。ただし、コントローラーの端子には入力電圧の範囲が規定されているので、使用の際には確認が必要です。

なお、ホール素子を使用するコントローラーには、ホール素子を1つ、若しくは2つしか使用しない仕様のものもあります。

センサレスでは、誘起電圧の位相を検出してローター位置を把握します(他のセンサレスの方法もありますが、ここでは誘起電圧検出の説明をします)。誘起電圧は、モーターが回っている状態で、なおかつ対象のコイルに電流が流れていないときに、コイル端子の電圧として検出できます。そのため、コイル端子がもともとモータードライバーにつながっていれば、他の信号入力の端子を必要としません。

センサレス仕様

誘起電圧を検出する方式のセンサレスでは、モーターが回っていないときの対応(誘起電圧が発生していないときの対応)と、誘起電圧を検出するためにコイル電流をゼロとしなければならないことへの対応の2点について、その仕様を確認する必要があります。特に、前者はモーターの回転開始方法、後者は正弦波通電の場合の通電波形がコントローラーによって違いがあるので、目的に応じて最適なコントローラーを選ぶようにします。

なお、正弦波通電のコントローラーにおいて、フル正弦波などと呼ばれる通電方法が記載されていることがありますが、これは誘起電圧検出のために正弦波波形が乱れるセンサレスのモータードライバー(コントローラー)に対して、通電波形が乱れることなく正弦波形状をしていることを意味する表現です。

指令

コントローラーが受け取る指令信号には、出力電圧の大きさや回転数などの調整値の指令があります。その指令信号には主に3つの仕様があります。その3つとは、アナログ電圧、パルスのHigh/Lowの比率(Duty)で指令するパルス信号、周波数(周期)で指令するパルス信号です。以下にそれぞれの信号について説明します。

・アナログ電圧指令

コントローラーは、電圧値を指令として受け取ります。指令電圧値の上限値と下限値が設定されており、その設定値と指令の電圧値との相対比較で指令の情報が決まります。例えば上限値を5V、下限値が1Vの仕様の場合、1V以下の指令を0(ゼロ)、5V以上の指令を100(%)とし、その間で値が決まります。この場合3Vを入力したら50(%)、4Vなら75(%)などとなります。

これが出力電圧の大きさの指令であれば、3Vなら50%の電圧、4Vなら75%の電圧を駆動回路が出力するのが一般的です。回転数指令の場合は、コントローラーなどのデータシート(仕様書)などに記載されている指令値と、回転数の関係を示す特性データ(グラフなど)を確認し使用します。

アナログ電圧

・Dutyパルス指令

Dutyパルスを指令として受け取ります。ここでのDutyパルスとは、下図のような一定周波数のパルス信号において、Highの割合が変わる(HighとLowの比率が変わる)信号で、この比率が指令となります。信号のHighとLowを識別する電圧のレベル(しきい値)や、入力できる周波数の範囲は使用するコントローラーのデータシート(仕様書)などを確認する必要があります。

この指令が出力電圧の大きさの指令であれば、指令の比率がそのまま反映されるのが一般的です。回転数指令の場合は、コントローラーのデータシート(仕様書)などに記載されている指令値と回転数の関係を示す特性データ(グラフなど)を確認し使用します。

Dutyパルス

・周波数パルス指令

周波数パルスを指令として受け取ります。ここでの周波数パルスとは、下図のようなパルス信号において周波数が変わる信号で、その周波数が指令となります。この周波数をゼロから100の指令に変換し、出力電圧の大きさや回転数指令として使用することもありますが、この周波数パルス指令をそのままモーターの回転数情報パルスと比較する制御が一般的です。具体的には、コントローラーが生成するモーター回転数情報信号(モーターの回転数に応じて周波数が変化する信号。ホール素子の信号などから生成します)と指令信号の周波数(周期)を比較し、指令信号の周波数と一致するようにモーターの回転数を制御する方式です。指令信号の周波数と実際のモーターの回転数との関係を把握するには、コントローラーのデータシート(仕様書)やモーターの仕様(極数など)の確認が必要です。

周波数パルス

指令としては、これらの他にデータ通信が使われることもあります。

制御機能

ここでは、コントローラーに搭載されているさまざまな制御や機能についていくつか簡単に説明していきます。

・回転数情報出力

モーターを搭載する機器には、モーターの回転数情報を使ってモーターを制御するものもあります。そのような機器のために、コントローラーは回転数情報としてFG(Frequency Generator)と呼ばれる信号を出力しています。

FG信号は、モーターの回転数に応じて周波数(周期)が変化する信号です。コントローラーは、ホール素子の信号(下図参照)の1つを用いた信号(例1)や、3つを合成した信号(例2)を出力するものが多く、どちらか選択できるものもあります。このようにしてつくられるFG信号は、モーター1回転あたりのパルス数がモーターの極数によって変わります。4極のモーターであれば、1回転あたりのパルス数は2パルスか6パルス、8極では4パルスか12パルスとなります。

回転数情報出力

モーターを搭載する機器が対応できるモーター1回転のパルス数が決まっている場合、それに合わない極数のモーターを使うにはFG信号の周波数を変える工夫が必要です。そのような信号の周波数の変換機能を搭載したコントローラーもあります。

・保護機能

コントローラーには、モータードライバーとモーターを保護する機能があります。下表に示すのは、保護機能の例です。保護すべき状態や異常を検知し、パワートランジスタのオフなどの動作をします。項目名は別の名称で呼ばれることもありますので、名称だけで判断するのではなく、内容も理解しておく必要があります。

項目 内容 主な動作
電流制限(抑制) トランジスタ及びコイルに流れる電流の制限(抑制) 出力電圧の調整
過電流 トランジスタ及びコイルに流れる最大電流を制限 パワートランジスタをオフ、時間やPWM周期で復帰
過熱 電子部品の温度を制限 パワートランジスタをオフ、コントローラーの一部の動作のリセット、温度低下で復帰
低電圧 回路が動く電圧以下となることを監視 コントローラーやゲートドライバーの動作をオフ、電圧上昇で復帰
過電圧 回路の使用範囲電圧以上となることを監視 パワートランジスタをオフ、電圧低下で復帰
拘束(ロック) モーターが回っていないことを監視 パワートランジスタをオフ
高速 モーターが規定回転数以上となることを監視 パワートランジスタをオフ、回転数低下で復帰
ホール異常 ホール信号に異常がないか監視 パワートランジスタをオフ
外部入力 外部(他の回路)からの動作停止信号を受付 コントローラーの動作をオフ、パワートランジスタをオフ

・回転方向切換

ローターの位置検出用のホール素子の配置は固定(変えない)のままで、モーターの回転方向を変える機能です。コントローラーに入力されるホール素子の情報(N極、S極)は同じであっても、回転方向の設定を切り換えるとコイルに発生させる電磁石の磁極が変わり、モーターに反対方向のトルクが発生するようにしています。ここではホール素子仕様の動作を例にしていますが、この機能はセンサレスのコントローラーにもあります。なお、実際のモーターが時計回り、反時計回りのどちらに回転するかは、コイルとモータードライバーをどのように接続するかとホール素子の配置位置で決まります。

回転方向切換

・進角制御

ブラシレスモーターは、ローターの位置に対して適切な角度に回転磁界(電磁石による磁界)を生成し続けることで、トルクを最大限に得られます。もしこの角度にずれがあると、同じ電磁石の大きさであっても得られるトルクが低下します。これは、入力電力に対する出力電力の低下を意味し、効率低下を招きます。そのため、コントローラーはローター位置を把握してコイルにかける電圧のタイミングを調整しています。

ただ、モーターを実際に回す場合には、電機子反作用やコイルのインダクタンスによる電流の遅れが発生します。この影響を補正する機能が進角制御です。初期の通電タイミングより位相を進める方向にタイミングを変化させるため、“進角”(角度を進める)と呼ばれています。

進角制御

この電機子反作用やインダクタンスによる電流の遅れは、電磁石の磁力の大きさやモーターの回転数によって変化するので、通電タイミングの進め具合もそれらに合わせて調整する必要があります。調整の仕様にはいくつかの方法があります。1つは、進角値の指令をコントローラーが外部から受け取る方法です(直接指令)。他に、コントローラーが回転数や電圧指令、電流の大きさなどの物理量をつかって、進角値を決める方法もあります(比例調整)。モーターによって物理量に対する最適進角値が異なるので、比例定数を設定できるようにしてあることもあります。また、比例の形は単純な1次比例以外にも、ある値から比例定数を変えたり、2次で比例させたりすることもあります。これらのような手間がなく、自動で進角調整をするものもあります(自動調整)。この方法を実施するには電流位相の検出が必要です。

進角制御

・速度制御

ここまで、主にモータードライバー(コントローラー)は出力電圧の指令を受け取って、モーターのコイルに所定の電圧を印加していると説明してきました。また、FG信号(回転数情報信号)を出力することで、モーターを搭載する機器が回転数の調整をできるようにしているとも書きましたが、モータードライバーのコントローラーには、この回転数の調整機能を内蔵しているものもあります。

このようなコントローラーでは、回転数指令を受け取り、モーターの回転数情報と比較して出力電圧を自動で調整しています。指令の回転数には上限や下限値があることもあるので注意が必要です。

速度制御

・スタンバイ

コントローラーは、モーターを動かしていないときも、指令を受け取って制御動作を開始できるように回路を動かしています。このとき、回路には電流が流れおり、電力を消費しています。この待機中の消費電力を削減するため、一部の回路動作を止める機能を持つコントローラーがあります。この機能はスタンバイ機能や待機電力削減モード、パワーセーブ機能などと呼ばれています。

・ソフトスタート

モータードライバーの動作及びモーターが停止している状態から、高い電圧指令(100%の出力電圧指令など)を受け取った場合、高い電圧がコイルに印加されると急激に電流が流れ出します。この電流の増加により大きなトルクが発生すると、騒音や大きな振動が発生することがあります。このような挙動を防ぐのがソフトスタートです。ソフトスタートは、モーター回転開始時に急激に電流が大きくなるのを抑え、徐々に大きくしていく機能です。

・ショートブレーキ

ショートブレーキとは、モーター回転中にコイルを短絡(電気的につなげる)し、負のトルクを発生させる電流を流す状態のことです。この機能では、上側のパワートランジスタのすべて、若しくは下側のパワートランジスタをすべてオンさせることでコイルを短絡します。一般に、パワートランジスタをすべてオフしてモーターの駆動を止めるより、ショートブレーキの方が早くモーターの回転が止まります。

下図は、ローターが図の位置にある瞬間のコイルに流れる電流と電磁石、発生トルクの方向を示しています。下側のパワートランジスタをすべてオンさせると、通常駆動中とは反対向きの電流が流れ、電磁石の極性も逆となるので負のトルク(ローターの回転を止める方向のトルク)が発生します。

ショートブレーキ

なお、ショートブレーキについては、前述の「モーター関連用語集」の「ショートブレーキ」の項目でも説明していますので参考にしてください。

ここまでコントローラーに関わる仕様や機能について説明してきました。実際のコントローラーはこれらの仕様や機能のいくつかが搭載されています。モーターを回す場合には、それらのコントローラーの中から目的に合ったものを選ぶようにします。

パワートランジスタ

モーターにおいてパワートランジスタは、コイルに電圧をかけて電流を流すために使用されます。そのため、かけられる電圧、流せる電流、電流を流したときの損失、オン/オフのスイッチングの早さ(SW速度)が指標となります。

下図は、モーターで主に使用されるパワートランジスタの種類と特徴です。バイポーラ(バイポーラジャンクショントランジスタ)はベースに電流を流すことでオン状態となる電流駆動型のトランジスタです。オン状態中の損失はVCE(コレクタ-エミッタ間電圧)にコレクタ電流をかけた電力と、ベース電流の電力です。歴史が長く基本となるトランジスタですが、スイッチングが高速に行えないのでPWM制御に向いておらず、最近ではそのようなモーター用途としてはあまり用いられていません。MOSFETはゲートに電圧を印加することでオンする電圧駆動型のトランジスタです。損失としてオン抵抗(RON)にドレイン電流の2乗をかけた電力が消費されます。ゲートに電流を流し続ける必要がないことと、スイッチングが早いことが利点ですが、ドレイン電流が大きくなってくると2乗で損失が増える点が課題です。IGBTはバイポーラとMOSFETの良いところを持たせたトランジスタです。電圧駆動なのでゲート電流をあまり消費せず、損失は電流の1乗に比例するに留(とど)まります。ただし、スイッチングは中速です。

最近は、RON×電流とVCEの大小関係を境として、主に小電流ではMOSFET、大電流ではIGBTが用いられることが多いです。

パワートランジスタの種類と特徴

続いて、MOSFETを例にモーターにおけるパワートランジスタの構成を説明していきます。MOSFETには、Nチャネル(N型)とPチャネル(P型)と呼ばれる2つの仕様があります。この2つの原理面での違いは、電流を電子で流すか、正孔(ホール)で流すか、の違いといえます。この違いにより、NチャネルMOSFETは、ソース端子(S)に対してしきい値以上に高い電圧をゲート端子(G)に印加してMOSFETをオンさせる仕様となり、PチャネルMOSFETは、ソース端子に対してしきい値以上に低い電圧をゲート端子に印加してオンさせる仕様となります。なお、N型とP型に同じ大きさの電流を流せる特性を持たせようとした場合、一般に、N型の方がP型より小型化できます。これも、電子を使うか、正孔を使うかが影響しています。

パワートランジスタ

ブラシレスモーターのモータードライバーでは、下側のMOSFETはN型を使います。理由は、下側MOSFETのソース電位はGnd(グランド、グラウンド)電位であり、ゲート指令の電圧をつくることが比較的容易である点と、上記したP型に対して小型である点です。上側のMOSFETは、N型を使う場合とP型を使う場合があります。どちらも使うことがある理由としては、N型を使えば下側MOSFETと特性を合わせられます(小型化もできる)が、オンを維持するにはパワートランジスタがつながる電源(V)以上の電圧が必要となり、P型を使えば電源(V)以上の電圧は必要ないが、N型に対して大型化する(若しくは特性が変わる)からです。モータードライバーの回路に外部から供給される電源は、パワートランジスタがつながる電源の電圧が最も高いのが一般的です。そのため、その電圧以上が必要かどうかは重要な選択の1つとなります。

パワートランジスタ

なお、モーターのコイルに印加する電圧及び電流は、モーターを搭載する機器やモーターの特性によって異なります。パワートランジスタは、モーターで必要となる電圧と電流に対応できる仕様のものを選ぶ必要があります。

ゲートドライバー

ゲートドライバーは、コントローラーからの指令信号をパワートランジスタに伝える電子部品です。

下図は、上側下側共にNチャネルMOSFETの場合の信号の例です。コントローラーからは、Lowが0V、Highが5Vの指令信号が出力されています。この信号ではそのまま上下のMOSFETをオン/オフさせることはできません。前述したとおり、NチャネルMOSFETはソースに対してしきい値以上の電圧をかける必要があり、上側MOSFETのソース電圧は電源電圧(下図中のVM)となることもあるからです。下図では、ゲートドライバーが下側指令信号の振幅をVCCにしています。このVCCはMOSFETのしきい値を十分に超える電圧とします。さらに、上側MOSFETをオンさせる電圧はVMVCCとしています。一般にゲートドライバーの出力能力は、コントローラーの出力能力よりも供給及び吸収できる電流量を大きくしています。これは、MOSFETのオン/オフにはある程度の電流が必要となるからです(この電流量が不足すると、MOSFETのスイッチングスピードが制限されることがあります)。

これらのことからゲートドライバーの役割は、指令信号の振幅の調整、電源電圧(VM)に合わせた電位の調整、電流量の最大値のアップとなります。また、上側がPチャネルMOSFETの場合には極性の変更も行います。

ゲートドライバー

上記の動作をする回路の構成イメージを下に示します。Nチャネル-Nチャネル型(N-N)の下側の指令信号は、バッファ回路を通して出力されます(ここでのバッファ回路は、信号の大きさ(振幅)、電流供給能力を調整するものとします)。上側は信号伝達回路を通って信号レベルを調整した指令信号がバッファ回路を通って出力されます。その際の電圧はVMより高い電圧も使われます。

Pチャネル-Nチャネル型(P-N)の下側はN-Nと同様です。上側は例えば図のような構成で、オンの指令はバッファ回路後のトランジスタをオンさせます。この動作により、上側MOSFETのゲート電圧が低下し、オンします。このように、パワートランジスタがN-NかP-Nかで、ゲートドライバーの回路構成が変わります。

回路構成イメージ

N-Nの回路ではVM(パワートランジスタの上側の電源)より高い電圧が必要です。この電圧は、一般にモータードライバー内の昇圧回路で生成されます。この昇圧回路には主に下記の2種類があります。

1つはチャージポンプと呼ばれる回路です。VCP1端子の電圧を、0とVM電圧を交互に繰り返すように動作させて、コンデンサC2に電圧をチャージします。この動作で、VCP端子の電圧はVMVCC(ダイオードによる電圧降下を除く)となり、昇圧電圧として使用できます。

もう1つはブートストラップ回路です。下側パワートランジスタがオンしてVS端子がほぼ0電圧(Gnd電位)となった際に、コンデンサC1に電圧がチャージされます。この動作により、VB端子はVSに対してVCCの電位差を保持するので、昇圧電圧として使用できます。

この2つの回路の動作と特徴については、この記事がある「スギケン先生のモーターライブラリー」内の別記事、「スギケン先生のモータードライバー道場」の「第12話 電気回路の深い知識 <昇圧回路>」に掲載していますので参考にしてください。

ゲートドライバー

用途と特徴

ブラシレスモーターは機器に搭載されてさまざまな用途に使われます。例えば、家電民生機器の一部を例にとっても、モーターは送風ファンやコンプレッサー、洗濯機の洗濯槽、コピー機のポリゴンミラーや紙送り、パソコンのドライブ(ハードディスク、光学)、掃除機の吸引用などに使われています。

これらのものを回す場合、それぞれに特徴や要求(制約)事項(若しくは要求されない事項)があります。例えば、ファンは一定速度で回ることが求められますが、回転ムラや回転数精度には厳密ではありません。回転ムラや回転数精度が求められるのはポリゴンミラーや紙送り、ドライブなど機器の性能に直結するものを回すモーターです。コンプレッサーはセンサレスが求められ、掃除機は高回転数が必要とされます。

家電民生機器のモーター用途の例

さまざまな特徴や要求(制約)事項があるモーターを、1つのモータードライバーで対応しようとすると性能が過剰となったり、相反する機能を持たせたりすることにもなります。そのためモータードライバーには、ファン用やポリゴンミラー用などそれぞれの特徴に合わせた性能を持つものがあります。

また、モーターに入力されるパワー電源(パワートランジスタがつながる電源)には、主に商用電源(AC100V、AC200V)を整流してDC化した電圧のものと、それよりも低圧にしたものがあります。前者はDC140VやDC280Vで高圧(高電圧)、後者はDC24VやDC12V、DC5Vなどとなり低圧(低電圧)、などと言われることもあります。これらの電圧帯に対応していることを示すために、高電圧ドライバーや低電圧ドライバーなど、モータードライバーの定格電圧帯を示す名称で呼ぶこともあります。

モータードライバーの例

ここでは、ロームの製品情報のページにあるいくつかのモータードライバーICの仕様、特徴、主な用途を紹介していきます。

・3ホール低電圧120度矩形波

BD63006MUVは、推奨電圧が8~24Vの全搭載のモータードライバーICで、1.5Aの電流を流せます。ローター位置の検出はホール素子を3つ使用し、通電波形は120度矩形波です。Dutyパルス指令を印加して、出力電圧の調整ができます。内蔵するパワートランジスタはN-N型で、チャージポンプで電圧を生成します。

パワーセーブ回路や回転方向切換、ショートブレーキ機能、各種保護機能も搭載しています。主な用途はOA機器、一般の民生機器に搭載されるモーターです。

BD63006MUV

1ホール低電圧正弦波

BD63251MUVは、推奨電圧が5.5~15VのプリドライバーIC(コントローラー+ゲートドライバー)で、P-N構成のパワートランジスタと組み合わせて使用します。ローター位置の検出はホール素子を1つ使用し、通電波形は正弦波です。アナログ電圧での指令、及びDutyパルス指令のどちらかを選択して印加して、出力電圧指令(パワートランジスタへの信号)の調整ができます。P-N型用であるため、昇圧回路はありません。

自動進角制御や固定進角調整、ソフトスタート機能、回転方向切換え、各種保護機能も搭載しています。主な用途は、サーバーやパソコンに搭載されるファン用のモーターです。

BD63251MUV

センサレス中電圧正弦波

BD64070MUVは、推奨電圧が28~77VのプリドライバーICで、N-N構成のパワートランジスタと組み合わせて使用します。ローター位置は誘起電圧のゼロクロス点(電圧の極性が変わる点)で検出し、通電波形は正弦波です(誘起電圧検出のために正弦波波形の一部に通電オフ区間があります)。速度制御(フィードバック)回路を内蔵しているので、周波数パルス指令を印加することで回転数が任意の値に調整されます。N-N型用であるため、チャージポンプで電圧を生成します。

デッドタイム設定機能やパワーセーブ機能、回転方向切換、ショートブレーキ機能、各種保護機能も搭載しています。主な用途は、ファン用や一般の民生機器に搭載されるモーターです。

BD64070MUV

センサレス低電圧正弦波

BD63242EFVは、推奨電圧が5~16Vの全搭載のモータードライバーICで、1.0Aの電流を流せます。ローター位置は誘起電圧のゼロクロス点(電圧の極性が変わる点)で検出し、通電波形は正弦波です(誘起電圧検出のために正弦波波形の一部に通電オフ区間があります)。アナログ電圧での指令、及びDutyパルス指令のどちらかを選択して印加して、出力電圧の調整ができます。内蔵するパワートランジスタはP-N型で、昇圧回路はありません。

回転方向切換や各種保護機能も搭載しています。主な用途は、冷蔵庫内ファン用や一般の民生機器に搭載されるモーターです。

BD63242EFV

3ホール正弦波

BD62018BFSは、推奨電圧が10~18VのコントローラーICで、N-N型に対応したゲートドライバー及びパワートランジスタと組み合わせて使用します。推奨電圧はコントローラーICの電源の電圧なので、ゲートドライバー及びパワートランジスタの電圧を制限するものではありません。ローター位置の検出はホール素子を3つ使用し、通電波形は正弦波です。アナログ電圧での指令で出力電圧の調整ができます。コントローラーICが出力するパワートランジスタのオン/オフ指令信号は、N-N構成を想定した極性となっています。

進角調整機能や回転方向切換、各種保護機能も搭載しています。主な用途は、ファン用やポンプ用、家電製品に搭載されるモーターです。

BD62018BFS

高電圧ゲートドライバーとパワートランジスタ(IPM)

BM6242FSは、推奨電圧が400V以下のIPM(インテリジェントパワーモジュール)で、1.5Aの電流を流すことができ、コントローラーICと組み合わせて使用します。内蔵するパワートランジスタはN-N型で、ブートストラップで電圧を生成します。

各種保護機能と保護動作中を示す信号出力機能も搭載しています。主な用途は、ファン用やポンプ用、家電製品に搭載されるモーターです。

BM6242FS

3ホール高電圧正弦波

BM6249FSは、推奨電圧が400V以下の全搭載のモータードライバーICで、2.5Aの電流を流せます。ローター位置の検出はホール素子を3つ使用し、通電波形は正弦波です。アナログ電圧での指令で出力電圧の調整ができます。内蔵するパワートランジスタはN-N型で、ブートストラップで電圧を生成します。

進角調整機能や回転方向切換え、各種保護機能と保護動作中を示す信号出力機能も搭載しています。主な用途は、ファン用やポンプ用、家電製品に搭載されるモーターです。

BM6249FS

最後に

以上で、「ブラシレスモータードライバーとは」の説明を終わります。

ブラシレスモータードライバーは、定格電圧や定格電流などの一般的な仕様の種類だけでなく、ローター位置の検出方法や通電波形、制御機能にもさまざまな種類があります。モータードライバーを選ぶ際には、それらの中から目的や用途にあったものを探す必要があり、それには搭載されるモーター及び機器の知識と、モータードライバーの知識を持っていることが重要となります。

この「ブラシレスモータードライバーとは」の内容が、読んでいただいた方の今後のモータードライバー選定の一助となれば幸いです。

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