スギケン先生のモーターライブラリー|用語集
用語集 モータ関連用語集 な・は・ま・や・ら・わ行
2020.07.16
目次
- ・軟磁性体 ⇒ 強磁性体
- ・ネオジ、ネオジム磁石 ⇒ 永久磁石
- ・ねじれ共振、ねじり共振
- ・熱電対
- ・のこぎり波 ⇒ PWM比較波
- ・配向
- ・バイポーラ駆動
- ・波形
- ・波高値 ⇒ 波形
- ・波長 ⇒ 波形
- ・ハーフステップ ⇒ マイクロステップ
- ・パルスレート ⇒ ステッピングモータ
- ・パワートランジスター
- ・パワートランジスター損失
- ・反磁性体 ⇒ 強磁性体
- ・ピエゾ素子
- ・比較波 ⇒ PWM比較波
- ・非磁性体 ⇒ 強磁性体
- ・ヒステリシス損 ⇒ 鉄損
- ・歪み率(ひずみりつ)
- ・非同期モータ ⇒ 同期モータ
- ・表面磁石型 ⇒ SPMモータ
- ・比例積分微分制御 ⇒ フィードバック制御
- ・ファン
- ・フィードバック制御
- ・フィードフォワード制御
- ・風量-静圧特性(P-Q特性)
- ・フェイルセーフ
- ・フェライト磁石 ⇒ 永久磁石
- ・ブートストラップ
- ・ブラシ付きモータ ⇒ 整流子
- ・ブラシレスモーター
- ・フラッター
- ・プリント基板
- ・フルステップ ⇒ マイクロステップ
- ・フレミングの法則
- ・分布係数 ⇒ 巻線係数
- ・閉ループ制御 ⇒ フィードバック制御
- ・ベクトル制御
- ・方形波 ⇒ 矩形波
- ・ホール素子、ホールIC
- ・マイクロステップ
- ・巻線
- ・巻線係数
- ・巻線仕様
- ・右ネジの法則、右手の法則
- ・誘起電圧
- ・誘導電動機
- ・ユニバーサルモーター
- ・ユニポーラ駆動
- ・ヨーク ⇒ スロット
- ・弱め界磁、弱め磁束
- ・ラダー抵抗、ラダー回路
- ・力行(りきこう、りっこう) ⇒ 回生
- ・リップル、リプル
- ・リラクタンストルク、リラクタンスモーター
- ・レアアース ⇒ 永久磁石
- ・レアショート、レイアーショート
- ・ロータ
- ・ロバスト性
- ・ローム
- ・ワウ ⇒ フラッター
- ・ワンパルス制御 ⇒ 過変調
な行
ねじれ共振、ねじり共振
共振現象のうち、ねじれ方向の固有振動数で振動が大きくなっている共振のことです。
図に示すような軸の先に負荷体がある場合、回転方向(ねじれ方向)に固有の振動が存在します。その周波数は、図中のパラメータを使って式で求められます。(回転方向でない方向、例えば縦方向にも固有振動は発生します。)
モーターはトルク脈動、回転数脈動が発生することがあるけど、これらは回転方向の脈動なのでその脈動の周波数がねじれ共振の周波数と合うと共振音が出てしまう。そのような場合はモーターの脈動を抑えることが重要だけど、軸の太さや長さを変えて共振特性を変えることも1つの解決手段として取り入れられているよ。

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熱電対
温度を測りたい箇所に金属の2本線を接触させて温度を測る温度計、もしくは2本線そのもののことを指していいます。
2本の種類の違う金属線をつないだものの両端(図中のAとB)に温度差があると図の位置に電位差が発生する現象を利用します(ゼーベック効果の応用)。金属の組み合わせによって様々な種類があり、たとえばK熱電対はニッケル、クロムなどの合金とニッケル、アルミニウムなどの合金の2種類の導線を使用しています。
図のA点とB点の温度差によって電圧が発生します。この電位差を測定し、B点の温度を基準にして測定対象のA点の温度を測定します。発生する電位差は金属の組み合わせにより変わるので、測定器で種類を設定します。
カメラなどを使って非接触で温度を測る機器もあるけど、見えていない部分の温度は測れないよね。なので、モーター内部にあって見えないICや巻線、電気製品に組み込まれて見えなくなったモーター、などの温度を測定するために熱電対を使うよ。線が通せるのが条件だね。

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は行
配向
ここでは、磁性材料の結晶方向を揃えることです。
磁性材料の結晶は磁化されやすい方向があります。着磁する際の外部磁界の方向が、この磁化容易方向と同方向かそうでないかで着磁後の特性に違いが出ます。
この特性を考慮して、磁石を成形する際に外部磁場をかけて磁石の粉末の向きを揃えることを磁場配向といい、そのようにして成形された磁石を異方性磁石と呼びます。配向の向きによってラジアル異方、極異方などの種類があります。また、結晶の方向がバラバラであるものは等方性磁石と言います。
これらは特性や生産性、用途などによって使い分けられています。
磁化容易方向や着磁の説明の図はイメージだね。実際はもっと複雑な特性や粒子の構成で成り立っているよ。
モーターでは、極異方磁石がローターを正弦波着磁とする方法のひとつとなっているね。

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バイポーラ駆動
主にステッピングモーターの駆動方式、駆動回路構成の種類を示す用語で、図のような回路構成で巻線(コイル)に双方向に電流を流す駆動のことです。
ステッピングモーターの巻線の電磁石極性(N極、S極)を切り替える場合に、スイッチ(図はMOSFET)を4つ使って巻線に流す電流の向きを変える方式です。
この駆動方式以外にユニポーラ駆動があります。バイポーラ駆動はユニポーラ駆動に比べて巻線の活用の割合は高いですが、スイッチの数は2倍必要となります。
バイポーラとユニポーラと聞くと、半導体に関わっている人ならトランジスタのことが思い浮ぶよね。バイポーラは双極性、ユニポーラは単極性という意味なので、トランジスタならキャリア(正孔、電子)が2つ関与するか1つかということになる。モーターでは、巻線に流れる電流の向きが双方向か一方向か、ということだね。

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波形
電気信号の変化や物理量の分布などを形にして表したもののことです。
オシロスコープで観測した信号(通電、誘起電圧、電流、端子電圧など)の形や、ICの出力信号の仕様を描いたもの、磁石の磁力の分布をプロットしたものなどで、特に形に着目する場合に波形と呼ばれることが多いです。着目する形には、大きさ(波高)や周期(波長)も含まれます。
波形を見慣れてくると、想像する理想の波形に対して「きれいな波形」、「波形がきれいじゃない」などといった表現ができるようになるよ。理想に対して乱れている波形は、ノイズが多かったり、正弦波のはずなのに歪んでいたり、波高値や形状に周期ごとのばらつきがあったり、といった感じかな。

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パワートランジスター
電力を供給する役割で使われるトランジスターのことです。許容損失が1W以上のトランジスターと定義されることもあります。略してパワトラ、パワTrとも言います。
トランジスターは小さな電流で信号の増幅やHi/Loの電圧信号を出力するために使用する場合もあり、区別して呼びます。
ブラシレスモーターの駆動回路にはパワートランジスターが必須と言えるね。その種類としてはバイポーラトランジスターやMOS-FET、IGBTなどがあり、それぞれに特徴がある。パワートランジスターの性能や動作は回路損失や発生ノイズ(信頼性)などにも影響するので特徴や制御方法を理解して使うことが重要だ。

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パワートランジスター損失
回路の電力損失の1つです。パワートランジスターには比較的大きな電流が流れるため損失量が注目されます。
損失は、流れる電流値やその時にトランジスターにかかっている電圧値で概ね決まります。たとえばMOS-FETであれば、オンしている時のドレインーソース間電圧Vdsとドレイン電流Idで計算されるオン抵抗損失(オンロス)と、オン/オフの切替り時にVds、Idが遷移する過程で発生するスイッチング損失(スイッチングロス)、電流がダイオードを流れた時のダイオード損失が主な損失となります。
パワートランジスターでの損失は単にモーターの効率(省エネ)に関係するから重要というだけでなく、損失による発熱の観点からも注目される特性だよ。電子部品には使用温度範囲というのがあるけど、発熱が大きいとその使用温度範囲を超えてしまう。そういう場合は流す電流値を抑制する、オン抵抗の低いパワートランジスターに置き換える、スイッチング損を減らすように遷移の傾きを調整する、などの対策をする必要があるよ。

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ピエゾ素子
加えられた力(圧力)を電圧に変える、もしくは電圧を力に変える素子のことです。前者を圧電効果、後者を逆圧電効果と呼び、この素子は圧電素子( Piezoelectric Element , Piezoelectric Device)とも言われます。
モーター分野では、素子を振動させてローターを回す超音波モーターに利用されています。
ピエゾ素子は、磁界を発生させずに力学エネルギーを得られることや、回路から見た負荷特性が容量性であることが特徴です(モーターのコイルは誘導性)。
超音波モーターは振動の周波数が超音波(20kHz以上)の領域であるためそのように呼ばれているよ。ステータのたわみの固有振動周波数がその辺りにあるからその周波数で駆動しているんだ。

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歪み率(ひずみりつ)
波形がどれぐらい歪んでいるかを表す指標です。基準となるのは正弦波です(これを1次とします)。歪率と書くこともあり、その場合は「ひずみりつ」もしくは「わいりつ」と読みます。
対象の波形が含む全ての高次高調波の比率を合算し歪み率とします。合算は各含有率を2乗して加算し、平方根をとります。
モーターにおいて、通電波形や誘起電圧、巻線電流の歪みはトルク脈動となり振動騒音の要因となるため、歪みに関する指標を把握する必要があります。
3相ブラシレスモーターでは、3次の高調波は消えるものとして考えられているよ。これは各相の位相が120度ずつずれているので、たとえばU-V間の電圧などを考えると足し引きでゼロになるからだね。
これを活用して、図のように3次の波形を重畳する正弦波通電もあるよ。頭が抑えられるような形状になるので、1次のみの波形より電圧の利用率向上が期待できるね。

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ファン
風(空気)を送る装置のことです。
羽根の形状により図に示すような様々なタイプがあり、風が流れる方向や風量、静圧が異なります。特殊なものを除き、ぞれぞれのファンは回転させる方向が決まっています。反対に回すと所望の特性は得られないので注意が必要です。
<特徴>
軸流ファン:風量は多いが静圧は低い
横流ファン:静圧低め、軸方向に長くできる
遠心ファン:風量は少ないが静圧は高い
回転方向による特性の変化もあるけど、ファンは周りのガイドの有無でも特性が変わるよ。ファンの回転数に対するモーター入力の測定や、騒音を確認する場合にはなるべく通常の状態にして測定をしたほうがいいね。


フィードバック制御
主に指令とその対象の状態を把握、比較して誤差をゼロに近づける制御のことです。帰還制御、閉ループ制御、クローズドループ制御などとも言われます。モーター分野では、回転数(速度)制御、位置制御、電流位相調整制御などに用いられます。
図は制御の例です。誤差に比例、積分、微分の各ゲインを掛け、積分、微分をして加算したものを電圧指令としています。個々を比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御と言い、それぞれに特徴があります。実際のフィードバック制御ではこれらすべてを用いる必要はなく、例えば比例と積分のみのPI制御も広く使われています。
積分制御を使用する場合には、積分値のオーバーシュートによる制御性の変化(悪化)がないかに注意する必要がある。そのため、状況によって積分制御を停止するような方式(アンチワインドアップ制御)も考案されているよ。

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フィードフォワード制御
指令に対してあらかじめ決められた値や計算などを使って出力を生成する制御のことです。開ループ制御、オープンループ制御などとも呼ばれます。モーター分野では、Duty指令や回転数指令によって進角値を決める制御はフィードフォワード制御と言えます。また、回転数(速度)制御、位置制御などにフィードバック制御と併用して用いることもあります。その場合、フィードバック制御のみの制御よりも応答性の向上が期待できます。
フィードバック制御は、指令の変化や外乱に対して制御対象になんらかの変化が起こった後に調整を行うことになるけど、フィードフォワード制御は、指令の変化や外乱(検知が必要)があった時点で制御対応できるのが違う点だね。この場合、次に起こる変化の推測の精度が重要になるかな。

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風量-静圧特性(P-Q特性)
ファンやブロアーの性能を表す特性です。
風量は単位時間あたりに動く空気の量(体積)です。静圧は空気が静止した状態で回りを押す力を示しています。
風量-静圧特性(P-Q特性)は図のような特性を示します(形状は例です。ファンの種類によって変わります)。この特性について、窓のある部屋に空気を送る送風機を例に説明します。窓が閉まっていると、空気が入ることで静圧があがりますが、あるところでそれ以上空気が入らなくなります(①点)。窓が半開きのときは、その空き具合にあった風量で空気が送られ続け、静圧も中間となります(②点)。十分に風が通る全開では、静圧は大気圧とほぼ同じとなり、風量は最大となります(③点)。ファンやブロアーの性能はこのように示されます。
風が吹くと物が飛んだり、向かい風で歩くのが大変だったりと風が強いときは圧力があるイメージだよね。それはグラフにある静圧ではなく動圧と呼ばれる特性だ。ちなみに動圧は風速(流速)の2乗に比例して大きくなるよ。

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フェイルセーフ
安全設計の考え方の一つです。システムにおいて誤操作や故障、なんらかの不具合が発生した場合でも、安全側に動作するようにすることです。
モーターでは、指令信号が断線した場合にモーターが止まる指令になる(最大出力指令側にしない)ように設計する、などがフェイルセーフの考えで設けられる処置と言えます。
他分野では、電源が落ちたら扉の電子ロックを解除する、反対に踏切は閉める、などがあり何が安全かを考慮して設計されます。
図にあるように、異常時にモーターを止める設計をする場合もあれば、止めない設計をする場合もあるよ。空気循環を担うファンを止めないことも考えられるのは循環を止めることが危険となるからだね。また、このような用途のファンは人が触れる場所にないこともあるので、それも判断の材料になるかな。

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ブートストラップ回路
昇圧回路の方式のひとつです。モーター分野では、図のような回路構成のものを言います。
図の回路では上側のNチャネルMOS-FETをオンさせるために必要となる電圧を生成しています。
下側MOS-FETがオンするとVS電圧がGnd電位近くとなり、D1を介してC1にVCC電圧がチャージされます。VSに対してVCC電圧を保った電圧をVBとし、上側MOS-FETのオン指令電圧として使用します(実際はダイオードD1、下側MOS-FET、シャント抵抗での電圧降下あり) 。
モーター分野でのこのような上側ゲート信号(HO)の電源の生成方法はブートストラップ回路の他にチャージポンプ回路が有名です。
ブートストラップ(Bootstrap)はもともとはブーツのつまみのことらしいね。ブーツを履くときにそれをひっぱり上げることがいろいろ転じて「助けを借りずに自分自身で行うこと」を表現するようになったんだとか。同じ目的で使われるチャージポンプ回路と違い、元からある回路の動作を使って電源を作るところからそう名付けられたのかな。持ち上げるってところも似ているし。

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ブラシレスモーター
ブラシ構造を持つ直流モーターのブラシ部分を電気回路に置き換えたモーターのことです。
ブラシレスモーターの主な構成要素は、永久磁石でできたロータ(回転子)、巻線で構成されるステータ(固定子)、電気回路です。電気回路で巻線に電流を流して電磁石化し、永久磁石を引っ張り(押し)ます。ロータが回転し続けるように電磁石の極性を変えていく動作を電気回路が行います。
ブラシ構造を持たないモーター全般をブラシレスモーターと呼ぶわけではなくブラシ構造の役割を電気回路に置き換えたモーターを特にブラシレスモーターと呼ぶんだ。もともとブラシ構造を持たない誘導電動機やステッピングモーター、リラクタンスモーターをブラシレスモーターとは呼ばない。

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フラッター
モーター分野では回転速度のムラのことです。録音再生機器の回転部分の速度ムラによる音の周波数の変化を示すワウフラッター(wow and flutter)からきています。コピー機などで使用するモーターの特性評価にも使用されます(紙の送り速度やドラムへの照射にムラがあると画像が歪むため)。ワウは長い周期、フラッターは短い周期のムラを指し、%で数値化されます。
ゆらぎを示す用語としてはジッターというのもあるね。こちらは主に電気信号のゆらぎを表す時に使われるよ。たとえばクロック信号の立上りから次の立上りまでの時間(クロック周期)の変動を示すのがジッターだね。

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プリント基板
電気回路を構成する各電子部品をつなぐ導線(銅箔)がプリントされた絶縁体の板のことです。電子部品はパッドやランドと呼ばれる導線部分に半田づけされます。部品の載っていないプリント配線板(生基板(なまきばん))、部品の載っているプリント回路板の総称です。
プリント基板は配線が施される箇所(面)によって、片側、両面、多層などの種類があり、また、基板にある穴は用途によってスルーホール、ノンスルーホール、ビアホール(バイアホール)などと区別されます。
複数のスルーホールランドが列をつくるように配置されたものもプリント基板の一種で、ユニバーサル基板とも呼ばれます。この基板は配線がプリントされたものと異なり自由に部品を置けますが、導線などで配線する必要があります。
ブラシレスモーターに内蔵されるプリント基板は、真ん中にシャフトを通すための穴が必要だったり、巻線端子との接続位置やホール素子が必要ならそれを配置する場所が決まっていたり、高電圧がかかる配線との距離に規格があったりと設計時にいろいろ制約や決まりがあって大変だよ。

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フレミングの法則
磁界と電流と力、若しくは磁界と移動(運動、力)と起電力の関係を示す法則のことです。前者をフレミングの左手の法則、後者をフレミングの右手の法則と呼びます。
左手の法則は、磁界と電流の向きが分かっている場合に発生する力の向きを示します。右手の法則は、磁界中を運動する導体の動く向きが分かっている場合に発生する起電力(電流)の向きを示します。この法則はモーターの回転原理の説明などに使用されます。

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ベクトル制御
モーターの巻線磁界の制御方法の一つです。FOC(Field Oriented Control)とも言います。磁界を作る巻線電流をトルク発生に寄与する成分(トルク電流、q軸電流)と界磁磁束に影響する成分(励磁電流、d軸電流)に分けて個別に制御することでトルク制御を容易に行えるのが特徴です。各成分に分ける際、回転軸(d軸、q軸)を用いることで交流電流を直流値として制御します。
巻線電流を検出し、d-q軸電流に変換したのち、指令値との誤差を補正するようにフィードバック制御を行うのが一般的です。
モーターのトルクを制御することで、速度制御や位置制御の精度を上げることができるため産業機器などで活用されてきた制御だね。最近はIPM(埋込磁石型)モーターの高効率制御用としても重宝されているよ。

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ホール素子、ホールIC
ホール(Hall)効果を用いた磁気検出素子のことです。ホール効果とは、電流が流れている物体に対しその電流に垂直に磁場をかけるとローレンツ力によって電子が移動し、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象です。材料として、インジウムアンチモン、インジウムヒ素、ガリウムヒ素、シリコンなどが使われます。
モーター分野ではホール素子を使って永久磁石(ロータ)の位置を検出します。
発生する電圧は電流の大きさと磁束密度に概ね比例します。したがって、永久磁石ロータの磁束を検出した信号はロータの磁束分布の波形と同じ形になります。その波形を図のように矩形波として出力する回路を内蔵したホールICと呼ばれるものも広く普及しています。
ブラシレスモーターではロータの位置を把握するのにこのホール素子、ホールICをよく用いるよ。ちなみにこれらの位置検出器を使わずにブラシレスモーターを制御する方式をセンサレス制御と呼んでいる。

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ま行
マイクロステップ
ステッピングモーターのステップ角度を細かく調整する駆動方法(制御方法)のことです。
マイクロステップではない、フルステップおよびハーフステップと呼ばれる駆動方法では、巻線に一定の電流を流して巻線磁界を作ります。そのため、磁界の方向、ステップ角度が限られます(図を参照)。
マイクロステップでは巻線に印加する電圧の大きさ、流れる電流の大きさを調整することで巻線磁界の向きを細かく制御し、ステップ角度を細分化します。
一般にステッピングモーターはロータ回転時の振動が大きいけど、マイクロステップ制御をすることで振動も抑えられるんだ。
磁界生成の角度を細分化する考え方は3相同期モーターの正弦波通電と似ているね。

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巻線
モーター分野では電磁石を作るコイルに関連した様々なことに用いられる言葉です。
巻線(マグネットワイヤ)は、導線を指します。
巻線(コイル)は、導線が巻かれたものを指します。1つ1つの巻かれたものを言うこともあれば、集合体を意味する場合もあります。
巻線する、は導線を巻くことを言います。
巻線にはいろいろな意味があるから、「直径0.3mmの巻線を使った100回巻きの巻線を作るためにフライヤー方式で巻線する。」なんて言い方もできるね。これは「直径0.3mmの導線を使った100回巻きのコイルを作るためにフライヤー方式で巻く。」ということだよ。

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巻線係数
モーターの特性指標の1つです。巻線係数は短節係数と分布係数の掛け算で算出されます。
たとえば集中巻のブラシレスモーターの場合、短節係数は磁石の幅とティース先端の幅を角度に換算して計算します。また、分布係数は、各相のコイル(12スロットなら各相4つずつ)が対面する磁石との角度の差(≒それぞれに発生する誘起電圧の位相差)から計算されます。差がなければ1(cos0°=1)となります。
巻線係数が1に近い方が、効率が高くなる傾向にあります。
計算の内容から分かるとおり、この係数は永久磁石をどれぐらい有効に使えているかの指標になっていると言えるかな。有効活用しているから効率が高くなるんだね。
ちなみに、8極12スロットから10極12スロットにすると、コギングトルクの脈動数が24から60となるのでコギングトルクの低減も期待できるよ。

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巻線仕様
モーター分野ではコイルを形成する導線の径や巻数、抵抗値などを巻線仕様と呼んで示します。導線の径は、抵抗値や巻き易さに関わります。巻数はターン数とも言われ、電磁石の強さ、誘起電圧の大きさ、抵抗値に関わります。
これらを変えることでモーター特性を調整できます。
ここでのモーター特性とはS-T特性やI-T特性のことだよ。図に示すように、例えば元の①の状態では使用範囲外であった回転数やトルクも、巻線仕様を変えることで回すことができるようになる。ただし、巻数を変えるとトルクに対する電流値も変わるよ(巻数半分なら電流2倍)。

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右ネジの法則、右手の法則
導体を流れる電流と発生する磁界の関係を示す法則のことです。アンペールの法則、アンペアの法則とも呼ばれます。
この法則は、コイル状の導体に電流が流れた時に発生する磁界の向き、および直線の導体に電流が流れた時に発生する磁界の方向(円形)を示します。この時の電流と磁界の向きの関係を右ネジや右手で表すことができるため、上記のような呼び名となっています。
モーターにおいては、巻線(コイル)に流れる電流の向きと電磁石の磁極性の関係を検討する際に、この法則を用います。
この法則は学校で習ったことを覚えている人も多いんじゃないかな。モーターや電気に関わっていると三角関数や微分積分など学校で習って「将来何に使うんだ」って言われることを使う場面が案外あるね。

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や行
誘起電圧
モーター分野では、電磁誘導現象によってコイル両端に発生する電圧のことです。
電磁誘導とは、コイル内を通る磁束量に変化が起こった場合に、その変化に反発する磁界を発生させる向きにコイル電流が流れ、電圧が発生する現象です。
式にすると右に示す式のようになります。モーターの誘起電圧は、巻数に比例します。また、磁束量の微分であるため、同モーターで回転数が上がると誘起電圧も大きくなります。
誘起電圧の他に、逆起電力、逆起電圧、BEMF(Back Electromotive Force)とも言われます。
誘起電圧はブラシレスモーターの特性に様々な影響を与えるので、ブラシレスモーターを制御したいなら誘起電圧についてもよく知るようにしよう。

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誘導電動機
交流電動機の1つです。固定子が作る回転磁界によって回転子の伝導体に誘導電流を流してトルクを発生させます。そのため、ブラシや永久磁石を使用しないのが特徴です。インダクションモーターとも呼ばれます。
図はかご形誘導電動機の構造例です。ローターの伝導体がかごの形をしています。トルク発生の電流を流すにはローターを外部磁界が横切る必要があります。そのため、モーター特性は図に示すようなグラフとなっており、回転磁界とローターの回転数(周波数)に差が生じています。この現象をすべりと言い、そのすべりの量は比率sや、すべり周波数で表されます。
単相の誘導電動機は家庭で使われる商用電源(住宅のコンセント)につなぐだけで回すことができるので家庭用の電気製品などでもよく使われているね。交流電源(正弦波)で回るので比較的静かであるのも特徴だ。
ちなみに図のかご型のローターは中身が分かりやすいように半透明にしてある図もあるけど、実際はもちろん半透明じゃないよ。

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ユニバーサルモーター
直流電源でも交流電源でも回るモーターのことです。
代表的なユニバーサルモーターは直巻整流子モーターです。整流子部とステータ巻線が直列につながっているため、直流電源だけでなく交流電源でも回り続けます。ステーターの磁界が永久磁石で作られていると交流電源では回転しません。
分巻整流子モーターでも回りますが、ロータとステーターのそれぞれの巻線のインピーダンスが異なると位相差が発生する課題があります。
コイル(巻線)に交流電源をつなぐと電圧の向きに合わせて電磁石の磁極も変化するよね。なので、図の磁石型のようにステーター側の磁極が固定だと、意図した方向のトルクが出ないタイミングがあって回らない。だけど、ステーターとローターの両方が同じように磁石の極性が変わるなら、一定方向のトルクが得られるということだね。

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ユニポーラ駆動
主にステッピングモーターの駆動方式、駆動回路構成の種類を示す用語で、図のような回路構成で巻線(コイル)に決まった方向(一方向)の電流を流す駆動のことです。
ステッピングモーターの巻線の電磁石極性(N極、S極)を切り替える場合に、スイッチ(図はMOSFET)を2つ使って電流を流す巻線を選択する方式です。
この駆動方式以外にバイポーラ駆動があります。ユニポーラ駆動はバイポーラ駆動に比べてスイッチの数は少ないですが、巻線の活用の割合は半分になります。
巻線の活用の割合とは、磁界をつくるときにどれぐらいの巻線が使われているかということだね。例えば、見た目に同じぐらいの量の導線が巻かれたバイポーラモーターとユニポーラモーターでは、同じ電流を流したときに磁束量が倍違う。ユニポーラでは巻線の半分には電流が流れていないからね。これはモーター特性に大きく影響するよ。

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弱め界磁、弱め磁束
永久磁石を用いるモーターにおいては、電機子が作る磁界(磁束)で界磁磁界(磁束)を意図的に弱める制御のことです。界磁磁束と同じ極性の磁束を対面させることで弱めることができます(対面角度を調整し弱め度合いを制御します)。ベクトル制御ではd軸電流の制御、進角制御では進角量を制御する(過進角)ことで実現できます。
界磁磁束を弱めることでモーター特性(S-T特性)を変えることができます。一般に、弱め界磁をすることで、通常のS-T特性以上の回転数で回すことができるようになります。ただし、効率に影響する制御であるため使用時には確認が必要です。
永久磁石の磁力が強い(大きい)と低速で高いトルクを得られるようになる半面、高速(低トルク)側が制限される。この課題を弱め界磁制御することで解決するんだ。
低速で高トルク、高速で低トルクと言うと、たとえば洗濯機(縦型)の洗いと脱水の両立が思いつくね。

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ら行
ラダー抵抗、ラダー回路
抵抗を直列に接続したものや、はしご状に組んだもののことです。
直列に接続した抵抗は主に両端に掛かった電圧を分圧して出力することに使用します。
はしご状に組んだ回路は、抵抗値を図のようにする(任意の抵抗値Rとその2倍の抵抗値2R)ことで、DAC回路となります。IN1からIN5に電圧1または0を5ビットデータとして印加するとOUTに1の分圧として出力されます。
(図の例:IN5~IN1に1、0、1、0、0を印加するとOUT=20/32=0.625。ただしCOMが0場合。)
IN1などに入力する電圧を5Vにしたら出力は5×OUTになるということだね。図のように10100のデータなら3.125Vが出力される。
Rと2Rが混在しているので、実験のために回路を手作りする場合には抵抗値と配線を間違えないように気をつけよう。

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リップル、リプル
脈動成分のことです。整流回路の出力電圧やモーターの出力トルクなどに含まれる脈動を指して使います。
本来一定であるもの(あってほしいもの)が脈動している場合に用いられます。よって、交流電圧は脈動しているといえますが、リップルがあるとは表現しません。
また、図に示すような電流波形は歪んでいますがリップルがあるとはあまり言いません。ただ、波高値リップルの図にあるように、波高値が複数の周期でみて波打っているような場合はリップルがあるということもあります。
モーターにおいてトルクリップルは騒音の要因となるよ。そのトルクリップルの要因となるものはいくつかあって、例えばブラシレスモーターでは、巻線磁界と永久磁石の作用により発生するトルクの変化と、コギングトルクがあるね。前者だけをトルクリップルと呼ぶこともあるようだけど、どちらにしてもこれらのトルクの脈動を小さくすることが静音性の向上につながるよ。

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リラクタンストルク、リラクタンスモーター
磁気的な突極性によって発生するトルク、そのトルクを利用したモーターのことです。突極性とは、回転子の磁気抵抗(磁束の通り易さ)が円周方向に一定でないことを言います。突極性のイメージを図に示します。突極性がある形状だと、巻線磁界に引かれてロータが回ります。突極性がない形状では、磁界をかけてもロータは回りません。
このリラクタンストルクとマグネットトルク(巻線磁界と永久磁石で発生するトルク)の両方を利用するのが埋込磁石(IPM)型モーターだ。モーターの大きさにもよるけど、マグネットトルクだけの表面磁石(SPM)型モーターよりも効率を高くできる場合もあり、様々な形状のIPMロータが設計されているよ。

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レアショート、レイアーショート
モーターでは主に、コイルに使用されている導線が隣接する導線と意図しない導通をしてしまうことです。絶縁被膜の破損により絶縁抵抗が下がることで起こります。絶縁被膜は、巻線工程での機械的、物理的な損傷や、過熱による劣化などで絶縁抵抗が低下することがあります。
たとえば図のような位置でレアショートが起こると、回路上は巻数が変わったようになり、抵抗値も変化します。この場合、一般には抵抗値の減少による過熱が懸念されます。モーター分野ではモーターの特性が変化します。
図は1つコイルの中でのショートを示しているけど、隣のコイルや他の相の導線とショートすることもあるよ。そういう場合は、モーター特性の変化だけでなく、回らなくなることも想定されるね。

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ローター
モーターの構成要素のうち、回転する方のことです。回転子とも言います。
ローターには、巻線で構成されるもの、永久磁石で構成されるもの、伝導体で構成されるもの、鉄心のみで構成されるものなどがあります。
図のローターは左からブラシ付きモーターのローター、ブラシレスモーターのインナーローター、ブラシレスモーターのアウターローターのイメージだよ。また、ブラシレスモーターのインナーローターには表面磁石型と埋込磁石型の区分もあって、ローターと言っても構成材料や形がさまざまだね。

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ロバスト性
外乱に対する堅牢性のことです。モーター分野では、各種のパラメータの変化があっても必要な特性を維持する性能を指します。
ここでのパラメータの変化とは、製造ばらつき、温度変化での特性変化、外力などを含みます。
ノイズなどの外乱に対する耐量に関してはあまり使用されません(ノイズの定義にもよります)。
ここでの堅牢性とは、物理的な堅さとか電気的な耐量とかではなく、外乱を吸収して影響がないように振る舞えるシステムの性能といった感じかな。

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ローム
1954年に東洋電具製作所として創業し、1981年に現社名となった、京都に本社を置く電子部品メーカーです。抵抗、トランジスタ、ダイオード、LSIなどを製造し、モータードライバーIC(LSI)を多く商品化しています。
ロームの技術情報サイトであるTechWebには、ブラシレスモーターおよびモータードライバーの技術解説記事である「スギケン先生のモータードライバー道場」や、ステッピングモーターなどブラシレス以外のモーター、その他のデバイスの記事も掲載されています。
現社名のローム(ROHM)は、抵抗のRとその単位のオーム(ohm)を合わせたものだ。東洋電具製作所が炭素被膜固定抵抗の開発、販売からスタートし、R.ohmの商標を使っていたのが由来だよ。

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【資料ダウンロード】 モーター関連用語集
スギケン先生のモーターライブラリー
スギケン先生のモータードライバー道場
- 【第1話】見えちゃった!?モーターの妖精たち
- 【第2話】スギケン現る!スーパーエンジニアへの第一歩
- 【第3話】突如登場!一ノ瀬学にライバル現る!?
- 【第4話】急接近!?二人の新たな共通点
- 【第5話】熱意!一ノ瀬が感じた二宮の想いとは?
- 【第6話】テスト対決!一ノ瀬と二宮の真剣勝負!
- 【第7話】まだこれから!一ノ瀬たちのモータードライバー道場
- 【第8話】初打ち合わせ!リアルな場での教訓
- 【第9話】スーパーエンジニアへの近道!?ユーザーの目線を学ぶ日々
- 【第10話】疑問の先に!エンジニア一ノ瀬の学び
- 【第11話】学びと成長!モーターを回すだけではない仕事
- 【第12話】次のステージへ!スーパーエンジニアへの扉が開く時
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