スギケン先生のモーターライブラリー|用語集
用語集 モータ関連用語集 数字・英字
2020.07.16
目次
- ・120度通電 ⇒ 通電
- ・150度通電 ⇒ 通電
- ・1シャント ⇒ シャント抵抗
- ・2相変調
- ・2相モーター
- ・3シャント ⇒ シャント抵抗
- ・3相変調 ⇒ 2相変調
- ・3相モーター
- ・BEMF ⇒ 誘起電圧
- ・CW、CCW
- ・d軸、q軸 ⇒ ベクトル制御
- ・Duty
- ・dv/dt、di/dt
- ・EMC ⇒ イミュニティ、エミッション
- ・EMI ⇒ エミッション
- ・EMS ⇒ イミュニティ
- ・FG信号
- ・FOC ⇒ ベクトル制御
- ・HB型 ⇒ ステッピングモータ
- ・IPM(電子部品)
- ・IPMモーター
- ・I-T特性 ⇒ S-T特性
- ・Ld、Lq
- ・N-T特性 ⇒ S-T特性
- ・PAM制御
- ・PCB ⇒ プリント基板
- ・PID制御 ⇒ フィードバック制御
- ・PLL
- ・PM ⇒ 永久磁石
- ・PM型 ⇒ ステッピングモータ
- ・pps ⇒ ステッピングモータ
- ・P-Q特性 ⇒ 風量-静圧特性
- ・PWM制御
- ・PWM比較波
- ・RMS
- ・SOA
- ・SPMモーター
- ・S-T特性
- ・V/F制御
- ・VR型 ⇒ ステッピングモータ
- ・Z相 ⇒ エンコーダ
数字
2相変調
3相のモーターに関して、印加する電圧の変調方法を示す言葉の1つです。ある区間において、3つの相のうち1つの相をハイ(High)、またはロー(Low)に固定し他の2相の電圧をPWM制御(PWM変調)で印加する方法です。主に、正弦波通電の波形の説明に用いる用語です。
区別するために3つの相を全てPWM制御しているものは3相変調と呼ぶこともあります。
図は2相変調と3相変調の代表的な通電波形(元となる波形とそのPWM波形)です。それぞれ1相分だけを示しています。他の相は±120度位相が異なる波形となります。
図の【3相変調 例1】以外は、1相の電圧波形だけをみると正弦波にみえない波形もあるけど、線間(たとえばU相とV相の差)でみると全てきれいな正弦波になるんだよ(計算すると分かる!)。
このような波形にする利点としては、スイッチング損失の抑制や電圧利用率の向上などがあげられる。

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2相モーター
回路的に2つのコイル、4つの電圧で駆動されるモーターのことです。2つのコイルは電気角で90度に相当する角度差を持つようにします(実際のコイルは機械角に換算して配置します)。
単相モーターのコイルと回路が2つあるイメージで、単相モーターと異なり、2つのコイルによって回転磁界をつくることができます。

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3相モーター
回路的に3つのコイル、3つの電圧で駆動されるモーターのことです。一般に3つの電圧は120度ずつ位相が異なる通電波形(正弦波とは限りません)となっています。また、回路的には3つのコイルで表現できますが、実際のコイル(巻線)数は必ずしも3つとは限らず、3の倍数のコイル数を有します。
※6スロット以上の集中巻の場合、複数のティースに1相の導線を順に巻きます。よって、例えば図の各ステーターの青で示すコイルにはそれぞれ同じ電流が流れます(≈回路的に1つのコイル)
※図には極数を書いていますが、ローターの図は省略しています

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英字
CW、CCW
モーターの回転方向を示す言葉です。CW(Clockwise)は時計回り、CCW(Counterclockwise)は反時計回りです。
一般に回転方向とは、モーターの軸が出ている側からみて軸が回転している方向です。ただし、モーターには両方から軸が出ているものもあります。このような場合はそれぞれの軸に対して回転方向を示すこともあります。
家庭用の扇風機を組立てようとすると、プロペラファンを止める部品が左ネジだったりするね。通常は右に回すと閉まる右ネジだからおや?と思う。あれはファンの回転方向が右回りの場合に使われているよ。使用を続けるうちに、止める部品が緩まないようにそうしているんだ。なので、モーターの軸にネジ山があればその向きで回転方向が推定できることもあるよ。

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Duty
モーター分野では、図のようなパルス信号のHi(オン)の比率を指す言葉で、デューティーと読みます。Duty比とも言います。また、PWM制御において印加電圧指令値を%(パーセント)で表現する場合に使うこともあります。その場合、印加電圧が矩形波の場合は指令値≒出力パルスのDutyとなりますが、正弦波の場合の指令値は正弦波の最大振幅(波高値)の出力パルスのDutyを表すことになります(図参照)。
Dutyは、作業機械などが作動している時間比率を示す場合に使うこともあります。
モータードライバーICには、印加電圧指令をPWMパルスとしてDuty比で受け取るもののほかに、アナログの電圧値で受け取るものもある。また、指令入力のDutyに対して出力するPWMパルスのDutyは上限と下限を抑制したものなどもあるので、モータードライバーICをつかう時には指令入力と出力Dutyの関係をチェックしよう。

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dv/dt、di/dt
電圧および電流の変化スピードを時間単位の変化量として示すものです。4kV/us、3A/usなど、変化量と時間で表します。スルーレートと呼ぶこともあります。
モーター分野では、パワートランジスターの動作の仕様を示すものとしてdv/dt、di/dtを用います。オンやオフの遷移の速度がパワートランジスターの損失やノイズ発生に影響するため注目される特性です。
変化の速度が一定でない場合は、表す数値が平均値なのか最大値なのかなどの確認が必要です。
図の電圧と電流が共にゼロでない部分でスイッチング損失が発生するので、このスイッチングの時間を短くすれば損失を減らすことができるよね。でも、スイッチングが速すぎると発生するノイズが大きくなったりするし、MOS-FETのスイッチング速度の耐量を超えてもいけない。よって、dv/dtやdi/dtはトランジスターの仕様や信頼性も含めて最適な値となるように設計されているよ(しないといけないよ)。

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FG信号
モーター分野では、回転数情報信号のことです(Frequency Generator)。一般に図のようなパルス信号で、モーターの回転数に応じて周期(周波数)が変化します。モーターの回転数を制御する回路は、モーターからこの信号を受け取って回転数に換算するなどして使用します。
モーターの実際の回転数とFG信号の周波数の関係は様々な仕様があります。モータードライバーICを使った3相ブラシレスモーターでは電気角1周期に1パルスもしくは3パルスを出力するものが多く、その場合モーター1回転でのパルス数はローターの極数によって変わります。
ホール素子を使用する3相ブラシレスモーターでは、ホール素子のHi/Loの信号をそのままFG信号とすることが多いよ。1つのホール信号を使えば1周期に1パルスの信号だね。3相のホール信号を合成すれば1周期3パルスの信号が作られる。それ以外のパルス数にする場合にはロジック回路などでの生成が必要だ。

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IPM(電子部品)
MOS-FETなどのパワートランジスタと、その駆動回路(主にゲートドライバー)、保護回路が1パッケージとなった半導体部品(Intelligent Power Module)のことです。
図のモーター駆動回路図の破線部分を1つのICとしたものが多いですが、コントローラも入れたものをIPMということもあります。
図に示す部分の電子部品を1つにすることで部品点数の削減や実装面積を小さくできる利点があるほか、ゲート用抵抗やコンデンサの定数が最適化されているのも便利だ。
まれに「定数を変えたい」って時には困るけどね。たとえばスイッチング損失は多少増えてもいいからノイズ発生を抑えたいって時に定数を変えたい、とかね。

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IPMモーター
埋込磁石型(Interior Permanent Magnet)のモーターのことです。ここでの埋込磁石型とは図のようにロータコア内部に磁石を配置した構造で、特に磁気突極性を持つものを指すことが多いです。
突極性があるため、IPMモーターは磁石トルクとリラクタンストルクの両方を得られます。
磁石トルクとリラクタンストルクは最大となる電流位相(≒巻線磁界角度)が異なります。また、リラクタンストルク、リラクタンスモータは電流の2乗に比例します(図中の式)。よってIPMモーターの高効率位相制御はSPMモーターより複雑になります。
トルクTの式から分かるように、IPMモーターはインダクタンスLdとLqに差を持たせることが重要だね。そのために埋め込む磁石の配置や形状を検討するけど、それによって式中のΦが小さくなりすぎたら意味がない。IPMロータの設計はその辺りも難しいね。
ちなみに表面磁石モーターのLdとLqは同じであるとして扱うから、式中の右の項を考えなくてよくなる。トルクはIqだけの式になるからq軸方向の電流だけになるように制御するんだよ。

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Ld、Lq
d軸およびq軸の方向として定義されたインダクタンスのことです。
3相ブラシレスモーターのU、V、Wのインダクタンスは、ローターに磁気的な突極性があるとローターと巻線の相対角度によって磁気経路が変化し、値が変わります。そこで図のような回転座標軸(d-q軸)に変換して考えるのがLd、Lqです。d-q軸に変換すると各インダクタンスは一定となります。
図のようなIPMモーターの場合、d軸方向は磁束が通りにくいためLdは小さくなり、LqはLdより大きくなります。
モーター分野でd軸q軸と言えばベクトル制御(FOC)を思い浮かべるね。ベクトル制御で行う計算の中にはこのLdとLqをパラメーターとして使用する式がある。精度の高いベクトル制御を行うには、これらのパラメーターにも高い精度が求められるよ。

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PAM制御
モーター分野において巻線に印加する電圧の大きさを変える場合に、電圧の振幅を調整する制御のことです(パム:Pulse Amplitude Modulation)。
たとえば図のように120度矩形波通電の振幅を変えることで巻線に流す電流を調整します。
一般に、モーター駆動回路に印加する電源電圧を調整する制御を指します(その電圧を巻線印加電圧に利用します)。
PAM(制御)はPWM(制御)とよく比較されるね。どちらもモーターへの供給電圧を調節するために用いられている。PAMはモーターの巻線とつながるパワートランジスタ部分で高周波のスイッチングをしなくて済むのでその部分でのスイッチング損失が少なくなるよ。

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PLL
入力信号と出力信号の位相を同期させる動作、もしくはその回路のことです(Phase Locked Loop)。位相同期ループ、位相同期回路とも呼ばれます。
この回路は、たとえば出力信号を分周して入力信号と比較することで、入力信号より高い周波数の信号を生成することができます。
モーター分野では、指令信号とモーターのFG信号(回転数情報パルス)を比較して行う速度制御をPLLと呼ぶことがあります。
2つの信号の位相を同期させるということは、それらの信号の周波数(周期)も同じにしないといけないってことだね。それが違うと、ある周期での位相が合っていても次の周期ではずれてしまうからね。

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PWM制御
PWM制御でPWMパルスを生成する際に使用する信号波形です。指令値と大小比較をして0~100%のPWMパルスを生成します。
比較波の周期がPWMパルスの周期になります。比較波の波高値は指令値との整合を取って設計されます。
比較波には大きく2種類の形状があり、三角波、のこぎり波、などと呼びます(図参照)。
図はアナログ回路の波形イメージですが、デジタル回路でもカウンタを使ってそれぞれの波形を生成することが可能です。
デジタル回路で比較波を作る場合には、分解能(ここでは1周期中の比較波の変化数)が気になるね。特に三角波を単純に作ると、同PWM周波数ののこぎり波に比べてPWMパルスの分解能が下がることがあるから注意が必要だ。
ちなみに、ここではPWM比較波の説明をしているけど、PWMパルスを作る方法は別の方式もあるよ。

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PWM比較波
モーター分野において巻線に印加する電圧の大きさを変える場合に、電圧をパルス状にしてそのパルス幅を調整する制御のことです(ピーダブルエム:Pulse Width Modulation)。
たとえば図のように120度矩形波通電なら印加電圧をパルス化して平均電圧を変えて流す電流を調整します。
電圧のスイッチング動作が、電流の変動や電磁ノイズ、スイッチング音の発生要因となると言われています。
PWM(制御)はPAM(制御)とよく比較されるね。どちらもモーターへの供給電圧を調整するために用いられている。
3相ブラシレスモーターの各相に印加する電圧を個別にパルス化できるので正弦波通電も可能になる。

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RMS
広くは2乗平均平方根(Root Mean Square。値を2乗したものを平均化、さらにルートした値)のことです。
電気分野では実効値と言われます。実効値とは、交流と直流のそれぞれの消費電力が等価になるように定義(算出)する値です。
たとえば、図のように抵抗100Ωに直流100Vなら100Wですが、交流の場合、振幅が100Vだと電力は70.7Wとなり等価となりません。実効値表現では、交流100Vは振幅141Vで、その場合、図の回路の消費電力は100Wとなります。
AC100Vをダイオード整流すると約DC140Vになるのは実効値表示だからだね。
家電製品で使用される3相ブラシレスモーターは、家庭用のAC電源(100V)から作られる電圧で使用されるということでDC140Vに対応したものも多いよ。

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SOA
トランジスターの安全動作領域(Safe Operating Area)のことです。ASOということもあります。
トランジスターには定格電圧、定格電流があります。ただ、それらを個別に満足していれば問題ないというわけではなく、電圧及び電流が共に大きい領域(スイッチングの過渡期に発生)ではそれらは制限されます。その制限領域を示したのがSOAです。主に発熱(電力定格)や2次降伏により制限されます。
SOAは、パルスか連続(直流)であるから、パルスの幅などで変化します。
モーター分野では通電波形のPWM制御化に伴ってトランジスターをスイッチングする機会が増えた。回路を組む際には使用するトランジスターの実動作(VDSとIDの変化)の確認を行って、そのトランジスターのデータシートなどに記載されているSOAデータと比較して安全確認をするよ。

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SPMモーター
表面磁石型(Surface Permanent Magnet)のモーターのことです。ここでの表面磁石型とは図のようにロータ表面に磁石が配置された構造のものを指します。
一般に磁気突極性はなく、磁石トルクのみを利用します。
磁石より内側のコアの部分は、磁石の支えやヨーク(バックヨーク)の働きも担っている。ヨークとは、磁路を形成する鉄製部分の総称で、このヨークの機能が適切でないとせっかくの永久磁石の磁力を有効に使えないこともあるんだ。
図の中に鉄製のコアがないものもあるけど、そういうロータもちゃんと磁石内で磁路が作られる設計になっているんだよ。

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S-T特性
モーターの出力特性を示すグラフです。回転数-トルク特性、N-T特性とも言われます。S-T特性以外にも電流の特性を示すグラフもあります。
ブラシレスモーターでは、ある1つの電源電圧値で駆動した場合の特性グラフを1つの線で示します。電源電圧値やDutyを変えるとグラフは変化します。インダクションモータでは、ある1つの電源電圧値および周波数で駆動した場合の特性グラフを1つの線で示します。電源電圧、Duty、周波数を変えるとグラフは変化します。
S-T特性上の負荷曲線との交点が示す回転数とトルクでモーターは回ります。その時の電流値を読み、出力と入力、効率を計算できます。
ブラシレスモーターでは、電圧を変えるとS-T特性の線が平行移動する。電圧を高くすると図の右上側に、低くすると左下(ゼロ点の方)側に変化していくんだ。だから、たとえば最大電圧でのS-T特性が分かると、そのブラシレスモーターはそれより右上側の回転数とトルクでは回せないってことが分かる。ブラシレスモーターの選定にも役立つグラフだね。

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V/F制御
誘導電動機の制御方法の1つです。Vは電圧、Fは周波数を意味します。V/F一定制御、VVVF(可変電圧可変周波数:Variable Voltage Variable Frequency)制御とも言われます(VVVF制御の1つにV/F制御があるとも言われます)。
誘導電動機のトルクを図のようにほぼ一定に保つには周波数と電圧の比を一定にする必要があり、それをするのがV/F制御です。
周波数に合わせて電圧を調整する理由をもう少し説明するよ。前提として、トルクは図の最大値付近で十分な用途だとする。
たとえば電圧を変えない場合、周波数が低いところでは巻線のインピーダンスが低下するので電流が大きくなるよね。そうすると、トルクは必要以上に出せることになるけど、すべりで調整されて必要なトルクが出力される。ただ、電流は大きいままなので銅損が大きくなってしまうんだ。また、磁気飽和が起こってしまうことも懸念される。だから周波数に合わせて電圧を変えて適切な電流値に調整するんだね。

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