熱設計|
熱抵抗データ:熱抵抗、熱特性パラメータの定義
2021.01.12
この記事のポイント
・熱抵抗、熱特性パラメータはJEDEC規格 JESD51により定義されている。
・各熱抵抗、熱特性パラメータには、基本的な用途が決まっており、計算には該当の熱抵抗、熱特性パラメータを使う。
今回は、前回示した実際の熱抵抗データのθJAとΨJTの定義についてです。
θJAとΨJTの定義
前回のおさらいになりますが、確認しておきます。
・θJA(℃/W):ジャンクション-周囲環境間熱抵抗
・ΨJT(℃/W):ジャンクション-パッケージ上面中心間熱特性パラメータ
具体的なイメージができるように、θJAとΨJTを模式化した図を示します。

θJAはジャンクションから周囲環境までの熱抵抗で、放熱には複数の熱経路が存在します。ΨJTはジャンクションからパッケージ上面中心までの熱特性パラメータです。
また、ジャンクションからパッケージ上面間の熱抵抗θJC-TOPと、ジャンクションからパッケージ下面間の熱抵抗θJC-BOTも定義されており、以下に図示します。θJC-TOPとΨJTに関しては、「パッケージ上面」か「パッケージ上面中心」という微妙な違いである点に留意してください。

これらはJEDEC規格 JESD51により定義されています。以下に、各定義と用途、計算式をまとめました。
| 記号 | 定義 | 用途 | 計算式 |
|---|---|---|---|
| θJA | ジャンクションと周囲環境間の熱抵抗。※1 | 形状が異なるパッケージ間での放熱性能の比較。 | θJA = (TJ ? TA) / P |
| ΨJT | デバイス全体の消費電力Pに対するジャンクションとパッケージ上面中心の温度差を表す熱特性パラメータ。 | 実セット(実際の放熱環境)でのジャンクション温度の推定。 | ΨJT = (TJ ? TT) / P |
| θJC-TOP | ジャンクションとパッケージ上面間の熱抵抗。放熱経路はパッケージ上面のみで、その他は断熱状態。 | 熱伝導、熱流体シミュレーションなどに用いる。 熱抵抗回路網法にも適用可能。 |
θJC-TOP = (TJ ? TC-TOP) / P |
| θJC-BOT | ジャンクションとパッケージ下面までの熱抵抗。放熱経路はパッケージ下面のみで、その他は断熱状態。 | 熱伝導、熱流体シミュレーションなどに用いる。 熱抵抗回路網法にも適用可能。 |
θJC-BOT = (TJ ? TC-BOT) / P |
※1:周囲温度(TA)は、測定対象部品から影響を受けない位置での雰囲気温度。発熱源の境界層の外側。
※2:θJAおよびΨJTはJEDECボード実装時のデータ。
※3:θJC-TOPおよびθJC-BOTはJESD51-14(TDI法)に準拠した測定。
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電子機器の設計では近年熱対策が注目され、熱設計が新たな課題になっています。熱は以前から重要検討事項ですが、近年は電子機器に対する要求が変化しており、従来の熱対策を見直す必要が出てきました。このハンドブックでは、基本的に電子機器で使われるICやトランジスタなどを前提にした熱設計に関して解説します。
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