熱設計|

電子機器における半導体部品の熱設計 まとめ

2023.01.12

今回は最後のまとめになります。「電子機器における半導体部品の熱設計」では、熱設計がすでに新しい時代に入っており、回路設計から基板レイアウト、筐体設計にいたる全体で検討し設計に盛り込むものであること、そしてシミュレーションの活用について解説してきました。是非これをきっかけに熱設計のアプローチの見直しやシミュレーションの導入を検討してください。以下に、すべての記事へのリンクと各記事のキーポイントをまとめました。

<電子機器における半導体部品の熱設計>


熱設計とは

この記事のキーポイント

・端的には半導体部品のTJを最大定格内TJMAXに納めるように設計するのが熱設計。

・設計段階でしっかりした熱設計を行わないと試作段階や量産手前で問題が発覚することがある。

・対策は工程が量産に近くなればなるほど時間とコストがかかり、製品出荷が遅れれば機会損失にもつながる。

・最悪の場合、市場で問題が起こりリコールや信用問題に発展しかねないので、熱設計は根本的に非常に重要。


技術トレンドの変化と熱設計

この記事のキーポイント

・近年の技術トレンドとして、「小型化」、「高性能化」、「デザイン性」がクローズアップされている。

・これらによって、発熱が増え、放熱はしにくくなるので、熱設計はむずかしくなる。

・既存の熱設計評価基準が現状の技術トレンドに対応するものかどうか検討することも重要。


熱設計の相互理解

この記事のキーポイント

・現代の要求を満たす熱設計と評価基準の確立に加えて熱設計の相互理解が熱設計の最適化に必要。

・加えて熱設計に「真剣に取り組む」ということが必須。

・設計品質を向上させることで、マンパワーとコストの削減が可能になる。


熱抵抗と放熱の基本:熱抵抗とは

この記事のキーポイント

・熱抵抗とは、熱の伝わりにくさを数値化したもの。

・記号としてはRthやθ(シータ)が用いられ、単位は℃/W(K/W)。

・熱抵抗は電気抵抗とほぼ同じように考えることができる。


熱抵抗と放熱の基本:伝熱と放熱経路

この記事のキーポイント

・熱が伝わるには、伝導、対流、放射(輻射)の3つの形態がある。

・プリント基板に実装されたICの例では、発熱源はICのチップで、その熱がパッケージ、リードフレーム、ダイアタッチ、プリント基板に伝導する。そして、その熱はプリント基板やICパッケージ表面から対流、放射により大気に伝わる。

・この経路の熱抵抗とICの損失電力がわかれば、熱のオームの法則でTAとTJの差が計算できる。

・熱設計とは、チップから大気までの放熱経路の熱抵抗を低減して行くこと。


熱抵抗と放熱の基本:伝導における熱抵抗

この記事のキーポイント

・伝導における熱抵抗は、導体のシート抵抗を同様に考えることができる。


熱抵抗と放熱の基本:対流における熱抵抗

この記事のキーポイント

・流体とは、気体、液体などの流れるもの。

・対流とは、熱を受け取った流体が移動することによって熱を運ぶ熱移動現象。

・自然対流とは、流体の温度差で生じる浮力によってのみ駆動される流れのこと。

・強制対流とは、ファンやポンプなどの外部的な要因によって駆動される流れのこと。

・対流における熱抵抗は、対流熱伝達率hmと発熱する物体の表面積Aの積の逆数。


熱抵抗と放熱の基本:放射における熱抵抗

この記事のキーポイント

・放射とは、電磁波による熱移動のことで、分子を介して熱移動する伝導と対流とはメカニズムが異なる。

・放射における熱抵抗は、放射熱伝達率と発熱体の表面積の積の逆数。


熱抵抗データ:JEDEC規格および熱抵抗測定環境と基板

この記事のキーポイント

・熱抵抗のデータは、標準規格に則って取得され、その準拠規格も明示されているのが一般的。

・JEDEC規格の中で、熱に関連する規格は主に以下の2つ。
-JESD51シリーズ: ICなどのパッケージの熱に関する規格のほとんどを含む。
-JESD15シリーズ: シミュレーション用の熱抵抗モデルを規格化したもの。

・熱抵抗を測定する環境は、JESD51-2Aで定められている。

・熱抵抗を測定する基板は、JESD51-3/5/7で定められている。


熱抵抗データ:実際のデータ例

この記事のキーポイント

・ICのデータシートなどには、一般に熱抵抗データが提示されているが、ICの種類やメーカーによって内容に違いがある場合がある。

・熱抵抗は実装基板条件によってかなり異なるので、測定条件は必ず確認する。


熱抵抗データ:熱抵抗、熱特性パラメータの定義

この記事のキーポイント

・熱抵抗、熱特性パラメータはJEDEC規格 JESD51により定義されている。

・各熱抵抗、熱特性パラメータには、基本的な用途が決まっており、計算には該当の熱抵抗、熱特性パラメータを使う。


熱抵抗データ:TJの見積もりにおけるθJAとΨJT -その1-

この記事のキーポイント

・近年の機器の実装条件からは、θJAでの熱設計の検討は難しいと考えられている。

・TAの定義は近年において一律に定義することは難しく、個々に定義が求められる。

・実測密度の高い機器におけるTAの実測は非常に困難な状況にある。

・近年は、比較的実測しやすいTTとΨJTによるTJの見積もりが主流となっている。


熱抵抗データ:TJの見積もりにおけるθJAとΨJT -その2-

この記事のキーポイント

・実機に実装された状態で、θJAによるTJ見積もりは基本的にできない。

・ΨJTは実装条件によって変化するが、使用する基板や実機の状態を把握していれば実使用時のTJ見積もりに使うことが可能。


TJの見積もり:基本計算式

この記事のキーポイント

・TJの見積もりは、TAとθJAから、もしくはTTとΨJTからの2通りに求め方がある。

・どちらの計算にも、ICの消費電力Pが必要になる。


TJの見積もり:θJAを使った計算例

この記事のキーポイント

・熱抵抗θJAによるTJの見積もりは、消費電力PとTAの値が必要になる。

・計算式からTJを求め、TJMAX以内であることを確認する。


TJの見積もり:ΨJTを使った計算例

この記事のキーポイント

・熱抵抗ΨJTによるTJの見積もりは、消費電力Pと実使用状態でのICのパッケージ上面中心温度TTの値が必要になる。

・TTは実測が必要。

・計算式からTJを求め、TJMAX以内であることを確認する。


TJの見積もり:過渡熱抵抗を使った計算例

この記事のキーポイント

・過渡的な消費電力の上昇が見込まれる場合は、過渡状態でのピークTJを求める。

・過渡状態での温度上昇を求める際の熱抵抗は、過渡熱抵抗用いる。

・過渡状態でのピークTJがTJ MAXを超えていないかを確認する。


表面実装における放熱面積の見積もりと注意点

この記事のキーポイント

・発熱するICを密に実装すると、熱的な干渉が起きて温度上昇を招く。

・許容する最大のTJから必要なθJAを求め、それに必要な放熱面積を見積もる。


表面温度測定:熱電対の種類

この記事のキーポイント

・実装された半導体部品の表面温度を測定する際には熱電対を使うことが現実的なことがおおい。

・当記事では、K型の熱電対のクラス1、AWG38の素線を使う。


表面温度測定:熱電対の固定方法

この記事のキーポイント

・熱電対の先端(接合部)をICなどのパッケージに固定する方法は、①ポリイミド(PI)テープなどを使用、②エポキシ接着剤を使用する方法がある。

・JEDECではエポキシ接着剤を使用する方法を推奨している。

・熱電対先端の貼り付け方法以外に、素線の取り回しも測定結果に影響を及ぼすので、素線自体を発熱源にはわせる。


表面温度測定:熱電対の取り付け位置

この記事のキーポイント

・正確なTTを測るためには熱電対の取り付け位置も重要。

・ミリメートル単位のズレでも温度差が発生する。


表面温度測定:熱電対の先端の処理

この記事のキーポイント

・熱電対の先端をねじって使用してはいけない。

・熱電対による放熱を最小限にするには、接合部は溶接する。


表面温度測定:熱電対の影響

この記事のキーポイント

・熱電対の放熱による影響は、表面温度を測定する部品のパッケージが小さいほど大きく出るので注意が必要。


熱設計ワンポイント集


手はんだ実装に注意

この記事のキーポイント

・評価基板への表面実装品の手はんだ実装では、熱抵抗が高くなっている可能性がある。

・熱に関する評価が必要な場合の基板への実装は、表面実装品はリフロー実装することが基本。


銅箔厚の影響

この記事のキーポイント

・熱抵抗は多層基板になるほど銅箔厚の影響を大きく受ける。


基板層数と熱抵抗

この記事のキーポイント

・基板層数と熱抵抗の関係においては、層数の多い方が熱抵抗は低くなる。

・viaによる熱抵抗低減効果は高く、基板の層数を増やすよりviaを設ける方が効果的。


Viaは発熱源に近づける

この記事のキーポイント

・viaは発熱源になるべく近い位置に設置するのが最も効果的。

・viaを直下ではなく周囲に設置すると放熱ルートに横(水平)の経路が追加され熱抵抗が上がる。


実装位置の影響

この記事のキーポイント

・熱抵抗は基板層数が同じでもICの実装位置によって違いがでる。

・基板端に実装した場合は、実質的に有効な放熱領域が少なくなる。


基板向きの影響

この記事のキーポイント

・自然空冷環境では基板が水平なのか垂直なのかで熱抵抗は変わる。

・基板を垂直置きすると、対流熱伝達が上がり熱抵抗は下がる。


これからの熱シミュレーション

この記事のキーポイント

・設計から量産に至るまでの工数削減のために、熱設計のフロントローディング化が進んでいる。

・フロントローディング化を推進するには、精度の高い熱シミュレーションが鍵となる。

【資料ダウンロード】 電⼦機器における半導体部品の熱設計

電子機器の設計では近年熱対策が注目され、熱設計が新たな課題になっています。熱は以前から重要検討事項ですが、近年は電子機器に対する要求が変化しており、従来の熱対策を見直す必要が出てきました。このハンドブックでは、基本的に電子機器で使われるICやトランジスタなどを前提にした熱設計に関して解説します。