熱設計|
表面実装における放熱面積の見積もりと注意点
2021.12.21
この記事のポイント
・発熱するICを密に実装すると、熱的な干渉が起きて温度上昇を招く。
・許容する最大のTJから必要なθJAを求め、それに必要な放熱面積を見積もる。
ここまで熱抵抗や熱特性パラメータを使ってTJを見積もる方法を説明してきました。今回は表面実装においてTJ maxをキープするための放熱面積を見積もる方法とともに、熱に関連する部品レイアウトの注意点を説明します。
部品配置と熱の干渉
近年の小型化要求に関連して、回路基板も可能な限り小さくする必要があり、部品の実装密度が高くなる傾向にあります。しかしながら、発熱する部品、ここではICですが、実装基板を放熱器として利用する必要があり、そのためにある面積を必要とします。この面積が確保されないと、熱抵抗が高くなり発熱が大きくなります。また、発熱するICが近接して実装されていると、相互に発熱が干渉し温度上昇を招きます。
下図は表面実装されたICの放熱経路と、発熱するICが密集している場合の放熱のイメージです。

ICの発熱は横方向(面積)と縦方向(基板厚さ)に伝導し放熱されます。しかしながら、ICが密に実装されている場合、特に横方向への放熱が干渉し合い熱の逃げ場がなくなってしまいます。したがって、温度の上昇を招きます。
放熱に必要な基板面積の見積もり
表面実装においてICがTJ maxをキープできる熱抵抗を得るには、それに見合う放熱面積が必要です。加えて熱的な干渉を起こさないようにすることも重要です。下図は、熱干渉を起こさないために必要な間隔のイメージです。これを最低限満足したうえで、θJAと銅箔面積の関係グラフから必要な放熱面積を見積もります。

図のようにICの端から基板面に対する45°の直線が干渉しない間隔を最低限とします。次に使用条件において必要なθJAを求めます。
条件例:ICの電力消費=1W、最大周囲温度TA(HT)=85℃、許容するTJの最大値=140℃

右のグラフからθJAを55℃/Wとするには、500mm2以上の銅箔面積が必要なことがわかります。


このように、熱干渉を避けられる間隔と必要な放熱面積を確保して、最終的なICの配置を検討します。
【資料ダウンロード】 電⼦機器における半導体部品の熱設計
電子機器の設計では近年熱対策が注目され、熱設計が新たな課題になっています。熱は以前から重要検討事項ですが、近年は電子機器に対する要求が変化しており、従来の熱対策を見直す必要が出てきました。このハンドブックでは、基本的に電子機器で使われるICやトランジスタなどを前提にした熱設計に関して解説します。
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