熱設計|
TJの見積もり:ΨJTを使った計算例
2021.10.12
この記事のポイント
・熱抵抗ΨJTによるTJの見積もりは、消費電力Pと実使用状態でのICのパッケージ上面中心温度TTの値が必要になる。
・TTは実測が必要。
・計算式からTJを求め、TJMAX以内であることを確認する。
前回、θJAを用いたTJの見積もり計算例を示しました。今回は、ΨJTを使ったTJの見積もり計算例を示します。例題のICは前回同様のLDOリニアレギュレータBD450M2EFJ-Cを用います。
ΨJTを使ったTJの見積もり計算例
ΨJTを使ってTJを求めるには、実装基板条件、そのICのデータシートなどに提示されているΨJTの値、ICの消費電力P、そして実使用状態でのICのパッケージ上面中心温度TTの値が必要になります。Pは前回説明したようにデータシートに提示されている消費電流値からの計算値、もしくは実測した消費電流値を使います。この例では前回求めた計算値のP=0.85Wを使います。TTは実測が必要になります。
まず、実装基板条件を前回と同様の以下として、グラフから銅箔面積1000mm2時のΨJT求めます。
| 層数 | :1層 |
| 基板材料 | :FR4 |
| 銅箔面積 | :20mm×50mm=1000mm2 |

グラフから読み取ったΨJTは6℃/W、TTの実測値は115℃とします。右にTTの測定イメージを示します。熱電対を使ってパッケージ上面中心の温度を測定しています。
以下、計算式と結果になります。


例としたICのTJMAXは150℃なので、この条件は許容内の使用条件であることを判断できます。
先に説明しましたが、ΨJT使ったTJの見積もりは、実測のTTを用いるためその動作条件におけるTJを見積もることができるのがメリットになります。
次回は過渡熱抵抗使ったTJの見積もり例を予定しています。
【資料ダウンロード】 電⼦機器における半導体部品の熱設計
電子機器の設計では近年熱対策が注目され、熱設計が新たな課題になっています。熱は以前から重要検討事項ですが、近年は電子機器に対する要求が変化しており、従来の熱対策を見直す必要が出てきました。このハンドブックでは、基本的に電子機器で使われるICやトランジスタなどを前提にした熱設計に関して解説します。
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