熱設計|
熱抵抗と放熱の基本:伝熱と放熱経路
2020.09.29
この記事のポイント
・熱が伝わるには、伝導、対流、放射(輻射)の3つの形態がある。
・プリント基板に実装されたICの例では、発熱源はICのチップで、その熱がパッケージ、リードフレーム、ダイアタッチ、プリント基板に伝導する。そして、その熱はプリント基板やICパッケージ表面から対流、放射により大気に伝わる。
・この経路の熱抵抗とICの損失電力がわかれば、熱のオームの法則でTAとTJの差が計算できる。
・熱設計とは、チップから大気までの放熱経路の熱抵抗を低減して行くこと。
熱は、物体や空間を伝わります。伝わるということは、熱の発生源から熱が移動することを意味します。
伝熱の3形態
熱が伝わるには、伝導、対流、放射(輻射)の3つの形態があります。
・伝導:熱エネルギーによる分子の運動が、隣接する分子に伝播されて行くこと。
・対流:空気や水などの流体による熱移動
・放射(輻射):電磁波による熱エネルギーの放出



放熱経路
発生した熱は、伝導、対流、放射により、様々な経路を経て外気に逃げて行きます。ここでは、「半導体部品の熱設計」がテーマですので、プリント基板に実装されたICを例に説明します。

発熱源はICのチップです。その熱がパッケージ、リードフレーム、ダイアタッチパッド、プリント基板に伝導します。その熱はプリント基板やICパッケージ表面から対流、放射により大気に伝わります。これを熱抵抗を用いて表すと以下のようになります。

上図右上のIC断面図の各部の色は、回路網の円の色、例えばチップは赤のように一致しています。チップの温度TJは回路網に示した熱抵抗を通って周囲環境温度TAに至ります。
赤の破線で囲んだ経路は、プリント基板(PCB)に表面実装した場合のメインの放熱経路になります。具体的には、チップからダイボンド(チップと裏面露出フレームの接着剤)を介して裏面露出フレーム(パッド)に伝導し、そしてプリント基板ランド上のはんだを介してプリント基板に伝導します。さらに、その熱はプリント基板からの対流と放射により大気(TA)に伝わります。
他の経路としては、チップからボンディングワイヤを通じでリードフレーム、そしてプリント基板に伝わり対流、放射する経路と、チップからパッケージを通じて対流、放射する経路があります。
この経路の熱抵抗とICの損失電力がわかれば、前回示した熱のオームの法則で温度差、この場合はTAとTJの差が計算できます。
熱設計とは、ここで示したようなそれぞれの熱抵抗を低減する、つまり、チップから大気までの放熱経路の熱抵抗を低減して行くことです。それにより、TJは低下し信頼性が向上します。
【資料ダウンロード】 電⼦機器における半導体部品の熱設計
電子機器の設計では近年熱対策が注目され、熱設計が新たな課題になっています。熱は以前から重要検討事項ですが、近年は電子機器に対する要求が変化しており、従来の熱対策を見直す必要が出てきました。このハンドブックでは、基本的に電子機器で使われるICやトランジスタなどを前提にした熱設計に関して解説します。
熱設計
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- 技術トレンドの変化と熱設計
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