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2020.07.28 熱設計

技術トレンドの変化と熱設計

電子機器における半導体部品の熱設計

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前回、「熱設計とは」というタイトルで、熱設計の重要性について概略的な説明をしました。今回はもう少し具体的な説明をしたいと思います。

技術トレンドの変化と熱設計

近年の技術トレンドとして、「小型化」、「高性能化」、「デザイン性」がクローズアップされています。これらが、熱と熱設計にどのような影響を及ぼすか考えて行きます。

「小型化」

製品の小型化要求によって、IC、実装基板、その他コンデンサなどの部品も同様に小型化が進んでいます。半導体部品の小型化では、例えば従来TO-220のようなスルーホールで比較的大きなパッケージに入っていたICチップを、遥かに小さい表面実装パッケージに封入するケースは今ではめずらしくありません。

元来TO-220パッケージ品がQFNのような小型表面実装パッケージに小型化。

また、集積度を上げるアプローチも取られています。例えば、同じパッケージで搭載するICチップを2個にしてデュアル化する、もしくは2個分に該当するチップを入れることで集積度を上げて、機能対面積比を高めることが行われています。

このような部品の小型化と高集積化は、発熱を増加させることになります。以下に実例を示します。左側の熱画像はパッケージ小型化の例で、同じ電力を消費している20×20×20mmのパッケージと10×10×10mmのパッケージの比較例です。明らかに小さいパッケージのほうが高温を示す赤色が集中している、つまり、発熱が大きくなっています。右側は高集積化の例で、同じサイズのパッケージでチップが1個のものと2個のものを比較した場合で、温度の違いは違いも明らかです。

同サイズのパッケージで搭載するICチップの個数を増やすと発熱は大きくなる。

パッケージの小型化により損失電力が同じでも発熱は大きくなる。/同サイズのパッケージで搭載するICチップの個数を増やすと発熱は大きくなる。

さらに、小型化、高集積化した部品を、小型の基板に高密度かつ両面に実装し、筐体に基板をびっしり詰め込むといった高密度実装も行われます。

高密度実装により、基板全体の温度が上がり発熱の小さなデバイスの温度も上昇する。

高密度実装では、基板に放熱する表面実装部品の有効放熱範囲が減少し発熱が増えます。筐体内の雰囲気温度が高い場合も、放熱できる熱は減ります。結果として、従来は発熱部品周辺だけが高温になっていたのが、基板全体が高温になります。これによって、発熱が小さな部品の温度までが上昇します。

「高機能化」

機器の機能を向上させるためには、デバイスを増やしたり、より集積規模が大きく能力の高いICが使われたり、さらにデータの高速処理、信号の高周波化などが必要になります。これらは、消費電力をより多く必要とする傾向にあり、結果的に発熱が増加します。また、高周波を扱う場合ノイズの放射を抑えるためにシールドが必要になる場合が少なくありません。シールド内は熱がこもるので、シールド内のデバイスにとって温度条件は悪化します。さらには、機能向上を理由に機器のサイズを大きくすることはむずかしいので、前述の高密度状態になり筐体内温度は上昇することになります。

「デザイン性」

製品の差別化や美的アピールのために、デザイン重視、さらにはデザイン優先の製品が多くなっています。この弊害として、過渡の高密度実装や適切な排熱ができないなどで、筐体が高温になり問題になった例があります。平たく言えば、携帯機器が持つと熱いと感じるくらいになったということです。部品はデザイン性、つまり外形の自由度の高めるために、小型や低背といった対応をしているのは前述の通りですが、さらにデザインが優先するケースは少なくありません。

発熱が増え放熱はしにくくなることだけが問題ではない

ここまで説明してきたように、「小型化」、「高機能化」、「デザイン性」という技術トレンドの変化によって、発熱が増えているのに対して逆に放熱はしにくくなっています。したがって、熱設計には厳しい条件と要求が課せられています。確かにこれは大きな問題ですが、もう1つ検討すべきことがあります。

多くの場合、会社としての機器設計における熱設計の評価基準が設けられていると思います。もし、その評価基準が古くからあり、昨今の技術トレンドを加味した見直しなどがされていない場合、その評価基準自体が問題です。こういった検討もなく、現状が考慮されていない評価基準に従った場合には、大きな問題が発生する可能があると考える必要があります。

技術トレンドの変化に対応するには、熱設計の評価基準の見直しも必要になります。

キーポイント:

・近年の技術トレンドとして、「小型化」、「高性能化」、「デザイン性」がクローズアップされている。

・これらによって、発熱が増え、放熱はしにくくなるので、熱設計はむずかしくなる。

・既存の熱設計評価基準が現状の技術トレンドに対応するものかどうか検討することも重要。

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