【第3話】突如登場!一ノ瀬学にライバル現る!?

2022.12.07

前回までは、モーターの回転原理やブラシレスモーターの構造などについて解説してきました。今回からは、ブラシレスモーターを駆動するためのモータードライバーの回路構成と動作についての説明に入ります。

ブラシレスモーター駆動の基礎

ブラシレスモーターを駆動するには、モーターの巻線に電流を流すための回路構成を理解し、そしてその電流を流すタイミングを示すタイミングチャートと呼ばれる波形図の意味を理解することが重要です。タイミングチャートは、モータードライバーによるモーターの駆動制御における重要な仕様説明図にあたり、ロータの位置と通電波形の関係を示すものなのでしっかりと理解する必要があります。

ブラシレスモーター駆動の基礎として、以下の3つについて解説して行きます。

第3話目次

ブラシレスモーターの駆動回路構成

先に説明した「ブラシレスモーターの構造例」では、ブラシレスモーターは電気スイッチであるトランジスタとそのスイッチ動作を制御するコントローラを備え持っていると説明しました。ブラシレスモーターを駆動するための実際の回路はその他に、回路動作を補助する部品が必要になることがあります。ここでは一般に用いられる下図のような回路構成を用いて、それぞれの役割や動作について説明します。

■コントロールIC(コントローラ)

  • ・ロータの位置信号を受け取ってパワートランジスタのスイッチ信号を生成する回路。
  • ・外部からの指令を受け取って、巻線に印加する電圧の大きさなども制御。
  • ・モーターの回転数制御など高度な制御をするものもある。

■レベルシフト(ゲートドライバー)

  • ・コントローラからの信号を、パワートランジスタを動作させる信号に変換する回路(電圧レベルや極性を調整)。

■パワートランジスタ(パワーTr)

  • ・電力をモーターの巻線に印加する回路を構成する。
  • ・3相ブラシレスモーターでは6個使用。電源のプラスに接続されている側を上側(Hi側/ハイ側/ハイサイド)、マイナス(GND、グラウンド)と接続している側を下側(Lo側/ロー側/ローサイド)と呼ぶ。例:「上側トランジスタ3つすべてをOFF」など。

■位置検出器(ホール素子)

  • ・ロータの位置を検出。ここではホール素子を記載。ホール素子の他にエンコーダやレゾルバといった位置検出器がある。
  • ・位置検出器を使わず、巻線の電圧や電流の大きさなどからロータ位置を推定するセンサレス駆動という技術もある。

実際のモーター基板には、例えばコントロールICとレベルシフトが統合されたICや、複数のパワートランジスタが1つのパッケージになったものなどが搭載されます。また、ホール素子は永久磁石の磁束を検出しやすい位置に配置され、その他、抵抗やコンデンサなど各ICの外付け部品として必要となる部品なども搭載されます。ただし、概略的な回路図の場合は上図の「回路構成」のように簡略化されることもあります(※IC個別の仕様書に掲載されている応用回路例などでは、基本的に周辺部品を含めた回路図が示されています)。

次回は、ブラシレスモーターがどのように回転していくかについて、駆動回路が出力する電気信号や、巻線が電磁石となって作る磁界を示しながら説明します。

この記事のポイント

・ブラシレスモーターを駆動するには、モータードライバーの回路構成およびタイミングチャートの理解が必要。

・タイミングチャートはモーターの駆動制御における重要な仕様説明図なので、しっかりと理解する。

・ブラシレスモーターの駆動回路は基本的に、コントロールIC、レベルシフト(ゲートドライバー)、パワートランジスタ、位置検出器を備える。

・位置検出器にはホール素子以外に、エンコーダやレゾルバなどがある。

・位置検出器を使わず、巻線の電圧や電流などから位置を推定するセンサレス駆動という技術もある。

・実際のモーター基板には、コントロールICとレベルシフトが統合されたICや、複数のパワートランジスタが1つのパッケージになったものなどが搭載される場合が多い。

次のページ:ブラシレスモーター駆動回路のタイミングチャート

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