【第5話】熱意!一ノ瀬が感じた二宮の想いとは?

2023.03.30

ブラシレスモーター駆動の実際の信号波形」で示した、タイミングチャートには書かれない振る舞いの1つ目、「巻線電流と誘起電圧」は少しボリュームがありましたが理解できたでしょうか? 続いて2つ目の「パルス状の印加電圧」について説明します。

ブラシレスモーター駆動の実際の信号波形

  • ①U電流はなぜこのような波形になるのか
    巻線電流と誘起電圧
  • ②UH、ULの信号と波形は分かるが、拡大してみるとUHはパルス状(ON/OFFの繰り返し)になっている。
    ▶パルス状の印加電圧
  • ③U電圧(U相巻線端子電圧)は、UHがパルス状の部分ではUHに合わせてパルス状となり、ULがONしている部分ではGND電位となるのは分かるが、UHとULがOFFの間の斜めの波形は何なのか?
    巻線端子OFF区間の波形
    還流ダイオード
  • ④電源電流とは何を表しているのか? この電流もパルス状になっている。
    電源電流

ブラシレスモーター:パルス状の印加電圧

現象や波形などに関して、「ブラシレスモーター駆動の実際の信号波形」を参照して、今一度確認してから読み進んでください。

ブラシレスモーター:パルス状の印加電圧

オシロスコープでモーターの各電気信号を観察すると、パワートランジスタのON/OFFを制御する指令信号がパルス状になっていることがあります(下図のゲート信号UH)。これも、モーターを制御するうえで重要なポイントになります。

パワートランジスタのON/OFFを制御する指令信号がパルス状になっているのは、PWM制御のため。

指令信号のパルス化の説明の前に、モーターに求められる機能について少し考えてみます。多くのセット機器はモーターの回転数やトルクを変化させて使います。扇風機やエアコンのファンは回転数を変えて風の量を調整しますし、電車や電気自動車のモーターも速度やトルクを変えます。このモーターの回転数やトルクの制御は、印加する電圧の大きさ調整して行います。例えばファンを回すモーターであれば、印加する電圧を大きくすると回転数とトルクが上がります。このような理由で、モーターおよびモーターの制御には印加電圧の大きさの調整する機能が求められます。

その印加電圧の調整には、主に2つの方法があります。1つは、電源電圧を変える方法です。PAM(パム:Pulse Amplitude Modulation)制御と呼ばれる方法で、印加電圧の大きさ(振幅/高さ)を変えます。

もう1つは印加電圧をパルス化して平均値を変える方法で、PWM(ピーダブルエム:Pulse Width Modulation)制御と呼ばれています。このPWM制御では、基準となる周期(下図のT)の中でHiとLoの期間を作り、その比率を調整することで平均印加電圧を制御するのが一般的です。この周期をPWM周期、または周波数に変換した値にしてPWM周波数と呼びます。

モーター駆動電圧制御方法。PAM(パム:Pulse Amplitude Modulation)とPWM(ピーダブルエム:Pulse Width Modulation)の比較。

PAM制御には電源電圧を調整する回路が必要となりますが、PWM制御はパワートランジスタをON/OFFさせる機能を活用すればよいこともあり、最近ではPWM制御での印加電圧調整が主流になっています。また、この制御を用いれば120度通電のように均一な電圧印加ではなく、部分的に電圧の大きさを調整できるようになるため制御の幅が広がります(例:正弦波通電)。

PWM制御での電圧の調整割合はDuty(デューティ)で表します。例えば、電源電圧が100Vで印加電圧を30Vに調整する場合、「Dutyを30%にする」といったような表現を使います。

最初の図で示したオシロスコープのUHの波形がパルス状なのは、この制御IC(モータードライバー、コントローラ)がPWM制御の120度通電であることを示しています。ちなみに、Dutyは制御指令として主に外部(セットのコントローラなど)から入力されるので、モータードライバーにはその指令を受ける入力端子が備わっています。

次回は、③の「巻線端子OFF区間の波形」について説明します。

この記事のポイント

・パワートランジスタのON/OFFを制御する指令信号がパルス状になっているのは、制御ICがPWMによる制御をしていることを示している。

・モーターを使う機器では速度やトルクの変更が求められ、それはモーターに印加する電圧の大きさで調整する。

・印加電圧の調整には主に、PAM(パム:Pulse Amplitude Modulation)制御と、PWM(ピーダブルエム:Pulse Width Modulation)制御が用いられる。

・PAMは、印加電圧の大きさ(振幅/高さ)を変える方法。

・PWMは、印加電圧をパルス化して平均値を変える方法で、近年ではPWMが主流。

次のページ:ブラシレスモーター:
巻線端子OFF区間の波形、還流ダイオードと電源電流

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