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コラム

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モータに最大の電流が流れる条件とは

モータを使ったアプリケーションで、モータドライバICの能力や電源の仕様を決める場合に、モータに流れる最大電流がどのくらいになるかということを知っておく必要があります。指定の定常条件での最大電流などはモータの仕様書から知ることができますが、実際の使用においては定常的な正転や反転に加えて、始動や停止(ブレーキ)など過渡的な動作条件が存在します。今回は、モータに最大の電流が流れる条件について話します。

ブラシ付きDCモータに最大の電流が流れる条件とは

ブラシ付きDCモータの動作において、どんな条件、状態の時にモータ電流が最大になるのでしょうか?

モータの動作の中で最大の電流が流れるのは、ある方向に負荷が無く最大回転数で回している状態から、瞬時に逆転動作させた直後になります。ブラシ付きDCモータの等価回路を図1に、また、ブラシ付きDCモータが最大回転数で回転している時に、電源の極性を反転させる直前と直後の等価回路を図2に示します。

ブラシ付きDCモータの等価回路

ブラシ付きDCモータの最大回転数で電源の向きを入れ替えた時の等価回路

ブラシ付きDCモータは、等価的に抵抗とインダクタンスとモータ発電電圧の直列接続回路として表すことができます。ある方向に回転していて無負荷で回転数が最大である時はモータの発電電圧も最大になり、この値をEcmaxとします(図2-(a)参照)。この状態からその方向とは逆の方向に回転(逆転)させるために、電源の極性を逆にモータに接続します(図-(b)参照)。

この時、電源電圧と発電電圧が加算され、モータの抵抗とインダクタンスの直列回路に印加されることになります。そのためモータ動作の中で最も大きな電流が流れることになります。この時の電流の変化は図3の青線のようになります。

ブラシ付きDCモータを最大回転数時に逆転させた場合の電流と角速度の過渡波形の例

縦の黒色破線が電源を逆にしたタイミングで、急激にモータ電流が上昇しています。最大電流をIpkとすると(青色破線)DC的には、Ipk=(Ea+Ecmax)/Rの電流が流れるはずですが、インダクタンスにより電流の立ち上がりに時定数が生じ、急峻ながらも傾斜を持って電流が上昇するため、実際のピーク電流は式が示す最大値にまではなりません。

モータの電源を逆にすると逆方向の電流が流れ、今までの方向の回転に対して逆回転させるトルクが働くため回転数が下っていきます。モータの発電電圧は回転数に比例するため、発電電圧も下がりモータに流れる電流も減っていきます(角速度がゼロクロスする赤色破線で区切られた正転領域)。

このように、ブラシ付きモータの最大電流は最大回転時に逆回転に切り替えた瞬間から若干の時間(時定数)後になります。