2022.06.28
こんにちは! ロームの稲垣です。
第23回も少し趣を替えて、電磁両立性(EMC)の計算法・シミュレーションで、実際に用いた3次元(3D)プロットについての話をします。
回路解析や電磁界解析を実行して、最終的に電磁両立性(EMC)規格適合判定を行うためには、2次元プロットで規格限度値と計算予測値を比較する事になるかと思います。例えばEMC対策を行った際に、どの周波数帯が限度値に対して適合しているかは一目瞭然です。ところが、EMC対策でどの周波数帯が、どの程度効果があったか確認したい場合は、EMC対策前の2次元プロットと、EMC対策後の2次元プロットを見比べる必要があります。これらを1度に表示する方法が、3次元プロット(フェンス・プロット)です。GnuPlot(オープン・ソース)でプログラムしたものを、実際にお見せしましょう!
(a)
(b)
GnuPlotによる3次元(3D)プロット,CISPR32(旧22)規格3メートル法
これは、CISPR32(旧22)規格3メートル法の計算予測結果です。
(a)のプロット画面では、赤色が計算値、白色が測定値、奥2列がEMC対策前、手前2列がEMC対策後、緑色が規格限度値となります。必要なデータを1枚のプロットに全て表示できます。またマウス操作で画面を自由に回転させる事ができるので、所望の角度で検討する事が可能となります。
(b)のプロットは周波数軸と90度の角度から1度シフトして表示したものです。細い赤色(計算値)や白色(測定値)がEMC対策前、太い赤色(計算値)や白色(測定値)がEMC対策後となります。この例では、EMC対策が低周波側程効果がある事がわかります。
このように計算予測全体を俯瞰する事ができ、EMC対策の方向性を吟味するのに利用できます。電磁両立性(EMC)規格の各々の計算予測で、3次元(3D)プロットを自動表示します。
GnuPlotツールは、2次元(2D)グラフ・プロットで多用されていますが、3次元(3D)プロットのコマンドも標準装備しています。シェル・スクリプトでの記述は、非常に簡単で応用範囲も広いので以下に例を紹介します。
GnuPlotによる3次元(3D)プロット記述例
(画像クリックで拡大)
記述例の中のsetコマンドは、表示オプションの細かな設定を各々宣言しています。3次元(3D)プロットは、splotコマンドを使って実現します。行数が多いと感じるかもしれませんが、書式を理解すると各々は簡単なコマンドの集まりである事がわかるかと思います。これらを、シェル・スクリプト内に記述するだけで、意識することなく瞬時に表示が可能です。是非とも、お試し頂ければと思います。
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ローム主催セミナーの講義資料やDC-DCコンバータのセレクションガイドなど、ダウンロード資料をご用意いたしました。
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