エンジニアコラム

Motor Notes EV(電気自動車)で重要なー「高効率モーター駆動」-基本

2022.11.10

EV(電気自動車)の重要パーツであるモーターについて、以下の内容を説明していきます。

・EV用モーター駆動の基本 内容:回転磁界と駆動回路について
・EV用モーターの種類 内容:誘導モーター、同期モーターと巻き線界磁モーターについて
・回生ブレーキとは 内容:逆起電力とエネルギーの回生方法について
・高効率駆動 内容:モーターの高効率駆動技術について

EV(電気自動車)で重要な「高効率モーター駆動」の基本

世界各社のEV(電気自動車)が、今年2022年にでそろったと言ってよいでしょう。また、2030年をマイルストーンとして各社は、販売台数目標も明記するようになりました。
 2030年:「世界で50%以上をEVに」 VW社目標
 2035年:「新車販売電動車*100%」 日本政府目標
*電動車とは、電気(EV)、プラグインハイブリッド(PHV)、ハイブリッド(HEV)燃料電池自動車(FCV)
問題点とされてきた航続距離についても, 80kWh級の電池を搭載し、WLTCモード(世界統一試験サイクル)で500km以上と、ガソリン車と比較しても遜色ない距離まで伸ばしてきています。
充電インフラ・充電時間についても、2030年までに、急速充電器3万基を含む公共用充電スタンド15万基を目標とした国の充電インフラ補助金もつけられており、徐々に解決されていきます。
残るは、販売価格の問題ですが、補助金や、維持費(ガソリン代と電気代の差)を考えると、これもガソリン車との差は埋まってきています。
新型の軽のEVも発売が始まり、2022年は、正にEV元年と言ってよいでしょう。

実は、ガソリン車に比べて、EV(電気自動車)は、車としての良い性能を多く有しています。それは、エンジンの代わりにモーターを使用することで、電気的制御性が良くなり、駆動性能、特に停止からの加速性能が良いのが特徴と言えます。これはモーター特有のトルク性能が寄与しています。
このEVで使用する重要部品のモーターについて基本を説明します。

EV用モーター駆動の基本

EV(電気自動車)で重要パーツであるモーターについて、以下の内容を説明していきます。

・EV用モーター駆動の基本 内容:回転磁界と駆動回路について
・EV用モーターの種類 内容:誘導モーター、同期モーターと巻き線界磁モーターについて
・回生ブレーキとは 内容:逆起電力とエネルギーの回生方法について
・高効率駆動 内容:モーターの高効率駆動技術について

今回は、モーターが回る原理について基本的なことを説明します。

モーターが回る基本原理(磁界から磁力を作る)

図1に示すように、モーターの基本は、回転軸を持つ永久磁石の周りで磁石を回すと、発生する磁力(N極とS極が引き合う力)によって回転軸を持つ磁石が回ります。

EV用モーター駆動の基本:永久磁石を使ったモーターの回転原理

では、どのように周りの磁石を回すかというと、磁界を(磁力)を回転させて、同様のことを行います。
*ここで磁界とは、磁気が働く空間の状態を「磁界」と言います。
永久磁石の周りには、図2のようにこの磁界を備えていますが、この磁界(磁力線)は、導線に電流を流して発生させる事ができます(図3a)。
*この磁力線の向きは、ネジの進む方向を電流、ネジを回す方向を磁力線となるので、右ねじの法則と言われています。また磁力線とは、磁界をわかりやすく表記するための線であると理解してください。
この磁界の強さ(磁束密度)を表す正式な単位が [T](テスラ)であり、有名なEVのメーカーの社名となっています。

EV用モーター駆動の基本:磁界

EV用モーター駆動の基本:磁力線

その導線をループ(コイル)状に巻いていくと、それぞれの磁力線が合成され、大きな磁力線が束(高い磁束密度)となり、N極とS極を発生することができます(図3b)。
さらに磁力を高めたい場合は、⓵巻き数を増やす、②大きな電流を流す、③コイルの中心に鉄の棒(鉄心)を入れる方法があります。③の方法は、鉄が空気より磁束(磁界の束)を通しやすいためです。この磁束の通りやすさを示すのが透磁率です。
また、図3bで電流の向きを変えると、N極とS極が入れ替わることも理解できると思います。

発生した磁界を制御しモーターを回すための回転磁界を生成

モーターの基本構造である3相モーターを使って、回転磁界を説明します。3相モーターには、図3bに示したコイルが3個(U相、V相、W相)あります。それを図4のように接続します。この接続方法をY結線と呼びます。図4に示しているように、電流の流れる方向は6種類あることがわかります。

EV用モーター駆動の基本:Y結線された3相モーター

この①のようにU相からW相に電流を流し、次に②のV相からW相に電流を流します。これを①~⑥にそして⑥~①に流すことで、回転磁界が発生させます。
図5にコイル電流による磁界(N極とS極の発生)と磁石の位置関係を示します。コイル電流を①~⑥に切り替えることで、回転磁界が発生し、永久磁石が回ることが、わかると思います。

EV用モーター駆動の基本:コイル電流による磁界と磁石の位置関係

図5で着目して欲しい一つとして、磁界と磁石の位置が90度ずれている事です。図1で示したN極の前にS極が無い位置関係になっています。これが、モーターの高効率駆動の要ですが、これは後程詳しく説明します。

次回は回転磁界をつくるEVの駆動回路構成について説明します。

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