エンジニアコラム
5人のエンジニアがミドルパワーデバイス新製品を語る:第1回 xEV向けインバータ回路のゲート駆動向けバイポーラトランジスタを開発
2020.11.24
みなさん、はじめまして!ロームでバイポーラトランジスタの新製品開発を担当しています田中と申します。
今回から5回連載で、パワートランジスタ・パワーダイオードの新製品をそれぞれの開発担当が直接解説するコラムを始めます。新製品プレスリリースなどとは違ったエンジニア目線の記事にしていくつもりですので、よろしくお願いします。
バイポーラトランジスタ…とあらためて言われると、逆に少し考えてしまうかもしれませんが、ご存じの通り電子部品の基本中の基本の部品です。バイポーラトランジスタはトランジスタの一種で、一般には単にトランジスタと呼ばれることが多いと思います。
バイポーラトランジスタは、N型とP型の半導体を接合した半導体素子です。P-N-PもしくはN-P-Nの構造をとり、正孔と電子の両方、つまり双極で動作することから「バイポーラ」と呼ばれます。一般にはコレクタ、ベース、エミッタの3つの端子があり、電流増幅や回路をオン・オフするスイッチとして利用されます。
ちなみに、バイポーラトランジスタの対となるトランジスタとしてユニポーラトランジスタが存在します。最近あまり聞かない用語ですが、電界効果トランジスタ(FET)が該当します。さて、うんちくはこのくらいにして本題に入ります。
バイポーラトランジスタは、比較的安価で様々な用途で主流のトランジスタでしたが、近年の省エネ要求から高効率化のためにMOSFETやIGBTが使用されるケースが多くなっています。しかしながら、バイポーラトランジスタを使用するほうが優位となるケースも多々あり、そういったアプリケーションのために今回新たにバイポーラトランジスタの開発を行いました。
今回開発したのは、インバータ回路などのゲート駆動向けに高いコレクタ電流(パルス):Icpを保証した、2SAR642PHZG(PNP型)と2SCR642PHZG(NPN型)になります。
近年、環境問題や燃料問題から自動車の電動化が加速しています。従来のガソリン車に代わりハイブリッド車や電気自動車の需要が増加し、ガソリン車には存在しなかった様々な機器が搭載されるようになっています。
特に高電圧のバッテリーが搭載されることから、その制御に高耐圧スイッチングデバイスの需要が高まっています。高耐圧スイッチングデバイスを駆動するにはゲートドライバーICが必要となりますが、デバイスの動作条件は機器や開発者の意向によって多岐にわたります。
そのため、ゲートドライバーICの汎用性を高めるため、ゲートドライバーICと高耐圧スイッチングデバイスの間にバイポーラトランジスタによるバッファを備えるケースが増加しています。
例として、ゲートドライバーICとスイッチング素子(MOSFETやIGBT)、そしてバイポーラトランジスタで構成されたインバータ回路を示します。

この回路例では、スイッチング素子を駆動するために、スイッチング素子のゲート容量を短時間で十分にドライブできるゲートドライバーが必要なります。使用するスイッチング素子に対してゲートドライバーICの駆動能力が足りない場合は、バッファとしてバイポーラトランジスタを利用することで対処可能です。
xEVをターゲットに需要が伸びているインバータ回路では、スイッチング素子の電流容量は増加傾向にあり、バッファとして使うバイポーラトランジスタにも高い電流駆動能力が求められています。そのため、今回開発した新製品の2SAR642PHZGと2SCR642PHZGは、この市場ニーズ意識した仕様になっており、1msで10Aのコレクタ電流(パルス)ICPを保証しています。以下に主要な仕様を示します。

このように、バイポーラトランジスタが有用なアプリケーションや市場に向けて新製品を開発していきますので、今後も注目をお願いします。
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回路設計とEMC設計の塩梅:はじめに
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- 第7回 評価回路・基板(1) 評価基板の使い方
- 第8回 評価回路・基板(2) 接地線(GND・グランド)の取り扱い
- 第9回 評価回路・基板(3) 電磁干渉(EMI)と電磁感受性(EMS)
- 第10回 Webサイト(1) 最新情報・主力製品紹介・製品仕様書
- 第11回 Webサイト(2) アプリケーションノートとデザインモデル
- 第12回 Webサイト(3) 設計サポートツール
- 第13回 EMC概要(1) 電磁両立性(EMC)とは何か?
- 第14回 EMC概要(2) 電磁両立性(EMC)とは何か?
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- 第20回 EMC計算法・EMCシミュレーション(5) 伝導イミュニティ(CI)の計算試行
- 第21回 EMC計算法・EMCシミュレーション(6) 放射イミュニティ(RI)の計算試行
- 第22回 EMC計算法・EMCシミュレーション(7) グラフィカル・ユーザ・インターフェイス(GUI)
- 第23回 EMC計算法・EMCシミュレーション(8) 3次元(3D)プロット
- 第24回 EMC計算法・EMCシミュレーション(9) 計算法で用いるGNUツール
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