2020.11.10
今回は、ブラシ付きDCモータを1個のMOSFETでPWM駆動する場合のモータ電流と回生電流についてです。モータのPWM駆動にはいくつかの方法がありますが、モータとグランド間にMOSFETを入れてスイッチングするシンプルな方法があります。この場合、モータと並列に接続しているダイオードに回生電流が流れますが、モータに流れるモータ電流と、この回生電流の関係を説明したいと思います。
最初に、ブラシ付きDCモータを1個のMOSFETでPWM駆動する場合の回路と電流経路を確認します。
左は、1個のMOSFET Q1でPWM駆動する場合の回路で、モータとグランド間にMOSFETが入りスイッチングすることでPWM駆動をします。
中央は、MOSFET Q1がオンの時、電源からモータ電流がMOSFET Q1を通じて流れる経路を示しています。
右は、MOSFET Q1がオフの時、回生電流がモータに並列に接続したダイオードを通じて流れる経路を示しています。
このPWM駆動でのモータ電流と回生電流の関係は、以下のようになります。
つまり、1個のMOSFETでPWM駆動する場合には、ダイオードに流れる回生電流の最大値はモータに流れる電流の最大値と等しくなります。以下の波形図を参照してください。
これらの点から、並列に接続するダイオードの順方向電流の絶対最大定格は、最大のモータ電流をカバーするものを選ぶ必要があるということがわかります。また、ダイオードに流れる回生電流とダイオードの順方向電圧(VF)で電力を消費するので、ダイオードのパッケージ許容損失がこの消費電力以上のものを選ぶ必要もあります。
ブラシ付きDCモータのPWM駆動回路、1スイッチ駆動回路、ハーフブリッジ駆動回路の説明です。