DC-DCコンバータ|応用編

リニアレギュレータを使った電源設計のポイント リニアレギュレータICの過電流保護・加熱保護

2023.12.15

BDxxIC0シリーズは、過電流保護(OCP)と過熱保護(TSD)を備えています。今回は過電流保護、次回に過熱保護について説明します。

リニアレギュレータICの過電流保護(OCP)

リニアレギュレータICの出力がGNDに短絡したときに流れる過電流から、ICの破壊を防止するために過電流保護(OCP:over current protection)回路が搭載されています。この保護機能はICの破壊を防止するためのもので、給電先のICや応用機器を保護するためのものではありません。機器の保護を目的とする場合は、ヒューズや別の電流制限デバイスを搭載することが必要になります。

BDxxIC0シリーズの過電流保護の特性は下図のようになり、その形からフの字特性やフォールドバック(foldback)と呼ばれています。図中のA点は過電流保護が作動する電流値で、参考値は約2Aです。過電流検出値には多少のばらつきがありますが、下限値はデータシートに示されている推奨出力電流の最大値(BDxxIC0シリーズは1A)を下回ることはありません。当然ですが、出力電流の最大値以下で電流制限がかかると、製品仕様を満足しないことになります。

図が示すように、過電流を検出すると(A点)電流フォールドバック回路が作動し、出力電圧が低下して行きます。出力電圧の低下とともに電流を制限する動作を繰り返しB点へ到達します。B点の電流は出力短絡電流になります。B点での電力損失は小さく発熱も小さくなるため、ICを破壊から保護することが可能になります。この状態は、過電流の原因が取り除かれるまで続きます。過電流状態が解消されると出力電圧は自動復帰します。

リニアレギュレータを使った電源設計のポイント:リニアレギュレータIC:BDxxIC0シリーズの過電流保護特性。

出力電流が推奨出力電流の最大値を超えて過電流保護検出値に至るまでの間は、リニアレギュレータとして動作しますが、推奨出力電流の最大値を超えているため電気的特性は保証外となります。また、許容損失を超えて動作し続けると、過熱保護回路が動作し出力をオフします。

リニアレギュレータICの過熱保護(TSD)

過熱保護(TSD:thermal shut down)は、レギュレータICの出力短絡や電力損失の増大によりICチップの温度(ジャンクション温度)が最大定格を超えて、ICが過剰な熱により破壊することから保護するための機能です。過電流保護同様に、給電先のICや応用機器を過熱から保護することを意図した機能ではありません。

BDxxIC0シリーズの過熱保護回路は、チップ温度が約175℃(参考値)を超えるとリニアレギュレータの出力をオフにし、出力電流を遮断してチップの発熱を止めて温度を下げます(下図参照)。過熱状態を検出する温度は多少ばらつきますが、ジャンクション温度の最大定格(BDxxIC0シリーズは150℃)を下回ることはありません。

リニアレギュレータを使った電源設計のポイント:リニアレギュレータIC:BDxxIC0シリーズの過熱保護特性。

チップの温度が約160°Cに低下すると再び出力をオンにし出力電流の供給を開始します。チップが温度上昇した原因が取り除かれるまで、出力オン、オフの動作が繰り返されます。この状態が続いてもICがすぐに破壊することはありませんが、長時間連続すると劣化や破壊につながるので回避する手立てを講じてください。

リニアレギュレータICの入出力等価回路

最後の項目になるリニアレギュレータの入出力等価回路についての説明です。

以下にBDxxIC0シリーズの可変出力型及び固定出力型の入力及び出力の等価回路を示します。等価回路からは、各端子間の内部での接続や、出力段回路、入力段回路の基本構成などのおおよその構成がわかります。もちろん実際の回路は更に複雑ですが、等価回路が特性や振る舞いの理解に役立つことがあります。

可変出力型と固定出力型の違いとして、可変出力型では外付けとなる出力電圧設定抵抗が固定出力型では内蔵されていることが見て取れます(R1R2)。内蔵の抵抗値は可変型の外付け抵抗の値と基本的に同じです。

リニアレギュレータを使った電源設計のポイント:BDxxIC0シリーズ可変出力型の等価回路

リニアレギュレータを使った電源設計のポイント:BDxxIC0シリーズ固定出力型の等価回路

等価回路は必須の検討事項ではありませんが、理解を深める資料として利用できます。

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