2020.07.14
「LDOリニアレギュレータの並列接続」は今回で最後になります。一連の記事では、LDOを並列に接続することで、電源回路としての出力電流を増やしたり、個々のLDOの許容損失超過を回避したりする方法について説明してきました。
「LDOリニアレギュレータの並列接続とは」で説明したように、LDOの並列接続は手法としてはかなり昔からあるもので、原理的かつ理想的には、例えば1AのLDOを2個並列にすると倍の2Aを得られ、損失を分担する観点からは2個並列で個々の損失は半分になるというものです。
しかしながら、単純にLDOの出力同士を直接接続すると、LDO間の出力電圧の差があるために負荷(出力)電流を分担しません。一般的にLDOの出力電圧の許容差は公称電圧の±数%で規定されており、現実的に並列接続するLDOの出力電圧が同じであることはまずないので、LDOの並列接続には出力電流を分担するための回路の工夫が必要になります。
出力電流を分担させる並列接続方法として、ダイオードを使う方法とバラスト抵抗を使う方法を示しました。いずれも、並列接続するLDO間の出力電圧の差を緩和することで出力電流を分担させるものですが、一長一短があります。また、完全に原理通りに「倍・半分」を実現するのは難しく、出力電圧精度やロードレギュレーションなど電源特性として妥協せざる得ない点もあることを理解した上で応用する必要があります。
以下に、それぞれの並列接続方法の回路、原理を示す式、ポイントをまとめました。
ダイオードによる並列接続 | バラスト抵抗による並列接続 |
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![]() |
![]() |
出力電圧が釣り合う関係 | |
VOUT1-V(F1(IOUT1))=VOUT2-V(F(IOUT2))
VOUT1:LDO1の出力電圧 |
VOUT1-IOUT1×RBALLAST=VOUT2-IOUT2×RBALLAST
VOUT1:LDO1の出力電圧 |
ポイント | |
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リニアレギュレータの基礎として、動作原理、分類、回路構成による特徴、長所・短所を理解するためのハンドブックです。加えて、リニアレギュレータの代表的な仕様(規格値)と、効率と熱計算に関しても解説しています。
リニアレギュレータの基礎として、動作原理、分類、回路構成による特徴、長所・短所を理解するためのハンドブックです。加えて、リニアレギュレータの代表的な仕様(規格値)と、効率と熱計算に関しても解説しています。