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EMCコラム

回路設計とEMC設計の塩梅

第1回 半導体概要(1)
トランジスタ・ダイオード

トランジスタとダイオード。品種が多いのはなぜ?

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こんにちは! ロームの稲垣です。

第1回はトランジスタ・ダイオードについてです。初めにトランジスタ・ダイオードに、どの位種類があるのか弊社のホームページで早速調べてみました。個別半導体としては、3,463品種(内訳としてMOSFETが685品種、バイポーラ・トランジスタが1,099品種、ダイオードが1,679品種)、パワー・デバイスとしては、1,875品種(内訳としてパワー・トランジスタが552品種、パワー・ダイオードが990品種、SiCパワー・デバイスが164品種、IGBTが147品種、IPMが22品種)、合計5,338品種が現在量産されているトランジスタ・ダイオードです。物凄い種類ですね。これだけ多くの種類があるという事は、様々な使用条件に合わせた素子が用意されているという事になります。

この様に多くの種類があるトランジスタ・ダイオードですが、いったい何が異なるのでしょうか?一つはデバイス構造(MOSFET、バイポーラ・トランジスタ、パワー素子等)、もう一つは電気的特性(耐圧、最大電流、電力、周波数)です。前者は動作に直接関連します。MOSFETは主にデジタル的にON/OFFスイッチの役目を果たしますし、バイポーラ・トランジスタはアナログ的に電流増幅を主とします。パワー素子は、SiC(炭化珪素、シリコン・カーバイド)やIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)に代表される様に高動作電圧(例えば1,200V)・大出力電流(例えば600A)を特徴とします。後者はトランジスタ・ダイオードそのものの特性です。最近の傾向では、最大出力電流が年々大きくなってきていますし、動作周波数も高速化の傾向にあります。

現在これらの中から、最適な製品を簡単に選択できるようになっています。所望の製品を選択する際は、Webサイトで検索が可能ですので、必要とする特性を入力すれば候補となる製品一覧が瞬時に表示されます。詳細はデータシートのPDFファイルをダウンロードして確認すれば良いです。便利な時代になりましたね!それでも所望の製品が見つからない場合は、Webサイトでの問い合わせや営業担当者に直接聞くなど、何らかの情報は得られるかと思います。

ここで個別半導体(ディスクリート部品)としてのトランジスタ・ダイオードと、半導体集積回路(IC)としてのトランジスタ・ダイオードの違いについて述べておきましょう。どちらも樹脂封止品(モールド・パッケージ)に入っていますが、大きな違いがあります。まず個数について、個別半導体では基本的にはトランジスタ1個が内蔵されていますが、半導体集積回路では、多いものでトランジスタ5億個から10億個が内蔵されています。また動作電圧も個別半導体の方が高電圧(前述の1,200V等)で、半導体集積回路では1V以下の製品もあります。出力電流もトランジスタ1個で比較すると、個別半導体は大電流(前述の600A等)ですが、半導体集積回路では10µA(10×10-6A)程度となっています。これらの違いは、トランジスタの物理寸法の違いによります。イメージとしては、個別半導体では巨大なトランジスタが1個、半導体集積回路では微細なトランジスタが多数個、内蔵されていると考えれば良いでしょう。動作周波数も個別半導体に比べて、半導体集積回路の方が圧倒的に高速で(例えば3 [GHz]等で)動作します。同じトランジスタやダイオードでも、個別半導体と半導体集積回路では全くの別物です。

 最後に、この連載のテーマであり私の担当業務である電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)について少し。電磁両立性(EMC)とは、機器自体が電磁雑音によって他の機器や人体へ影響を与える事(電磁干渉EMI:Electromagnetic Interference, Emission)と、外部から電磁的な影響を受けて機器が誤動作する事(電磁感受性EMS:Electromagnetic Susceptibility, Immunity)の2種類が主で、双方で障害が発生しないように両立させる必要がある事から、この様に呼ばれています。
いきなり電磁両立性(EMC)!?と言われても困惑すると思いますので、今回はここまでにしておいて、次回から徐々に説明していきたいと思います。

御一読頂きまして、どうもありがとうございます。

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