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エンジニアコラム

第9回 評価回路・基板(3)
電磁干渉(EMI)と電磁感受性(EMS)

美しい基板レイアウトはEMC特性も良い(?)

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こんにちは! ロームの稲垣です。

第9回は、評価回路・基板の3回目です。今回は、半導体集積回路(LSIやIC)評価基板の作成方法や基板レイアウト等についての話です。

突然ですが、基板作成はお好きでしょうか?

私は結構好きな方です。基板レイアウトには、部品の配置と信号線の配線等のパズル的要素があって、どうすれば見た目綺麗なレイアウトになるかを考えるのが楽しいです。

工学分野でありながら「美しい」という感覚的な観点が以外かも知れませんが、全体を俯瞰した印象が基板の性能と関係があります。部品の配置は基板作成の全てを決める最初のポイントであり、非常に大事なポイントでもあります。部品と部品の配置が決まれば、その間の配線は自ずと決まります。部品の配置を決める際は、重要な信号線や配線が基板上でどの様に配線されるかを頭の中で想像しながら決めます。また部品の位置によって極端に長くなる配線がないか、迂回が必要になる配線が発生しないか注意するなど、想像力をフルに発揮して作って行きます。

基板配線が「美しい」というのは…

言い換えると、信号線や配線が整然としている事です。具体的には配線の長さが短く、変に曲がってなく、部品と部品の間を素直に配線されている事を意味しています。最近では、基板回路図を入力すると基板レイアウトを自動発生させるEDAツール(CADツール)もありますが、私は一度も使った事がありません。もしかしたら、ツール任せの方が完成度が高いかもしれませんが、楽しい作業ですので。

この基板レイアウトですが、実は電磁両立性(EMC)と密接な関係があるので非常に重要です。

電磁両立性(EMC)は、自ら電磁雑音を発生する電磁干渉(EMI、エミッション)と、外来の電磁雑音によって誤動作や破壊を起こす電磁感受性(EMS、イミュニティ)に大きく分類されます。更に各々に電磁雑音の伝達経路別に、伝導(Conducted)と放射(Radiated)に分類されます。基板作成では、この組み合わせの4種類すなわち、伝導エミッション(CE: Conducted Emission)、放射エミッション(RE: Radiated Emission)、伝導イミュニティ(CI: Conducted Immunity)、放射イミュニティ(RI: Radiated Immunity)を考慮しなければなりません。用語が立て込みましたので、以下を参照してください。

基板作成で最も注意しなければならないのが、基板の寄生インダクタンス(L)と寄生容量(C)です。これらによる高周波帯での直列共振周波数と並列共振周波数で、電磁両立性(EMC)特性が悪化する可能性が高いからです。

では基板レイアウトで電磁両立性(EMC)特性を良くするには、どうすれば良いでしょうか?

「EMC対策部品」というものが世の中では販売されているので、それを使うのも手ですが、それだけでは満足できない場合の対策の考え方があります。

電磁干渉(電磁雑音を出す方)では、基板配線が電磁雑音の「送信アンテナ」だと思って下さい。電磁感受性(電磁雑音で誤動作する方)では、基板配線が電磁雑音の「受信アンテナ」だと考えて下さい。そうすればどう配線すれば良いかが見えてきます。

最近では4層基板等の多層基板が一般にも使われるようになってきました。多層基板では基板表面層と基板裏面層を出来る限りのベタ接地面とする例が多く見受けられます。これは一種の基板の金属シールド化で、内層に信号配線や制御配線を作成します。

そして、基板寸法はできるだけ小さくします。基板が小さいと結果として配線長が短くなります。これは寄生インダクタンスや寄生容量の低減に繋がります。同様の観点から、部品寸法も出来るだけ小さい表面実装部品が理想的です。実は、「美しい」基板レイアウトは、これらの寄生成分を小さくしている事に他なりません。

御一読頂きまして、どうもありがとうございます。

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