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2021.01.12 DC/DC

ステップ応答法

リニアレギュレータの簡易的な安定性最適化方法

この記事のキーポイント

・リニアレギュレータには出力コンデンサにMLCCなどの低ESRコンデンサを使用すると発振するものがある。

・その場合、出力コンデンサと直列に抵抗を挿入し見かけ上のESRを大きくして位相進みを作ることで発振を回避することができる。

・直列に挿入する抵抗値を決めるには、その回路におけるリニアレギュレータの位相マージンを確認するのが一般的なアプローチ。

・位相マージンの測定ができない場合の対処の1つとして、ステップ応答法を用いて簡易的にリニアレギュレータの安定性を確認することが可能。

大容量積層セラミックコンデンサ(以下MLCC)が一般的ではなかった時代に開発されたリニアレギュレータは、出力にMLCCなどの低ESRコンデンサを接続すると帰還ループに位相遅れが生じ発振を起こす場合があります。その場合、出力コンデンサと直列に抵抗を挿入し、見かけ上のESRを大きくして位相進みを作ることで発振を回避することができます。

直列に挿入する抵抗値を決めるには、その回路におけるリニアレギュレータの実際の位相マージンを、周波数特性分析器(FRA:Frequency Response Analyzer)を使って確認するのが順当なアプローチです。しかしながら、FRAを利用できない場合や、FRAを利用できても出力電圧固定型リニアレギュレータは帰還ループがIC内部にありアクセスできないので、FRAでの位相マージン測定はできません。その対処の1つとして、ステップ応答法を用いて簡易的にリニアレギュレータの安定性を確認し、最適化を図ることが可能です。

ステップ応答法とは

ステップ応答法は出力負荷(出力電流)を急峻に変化(ステップ)させて、その際の出力電圧の変動、つまり負荷過渡応答特性をオシロスコープで確認しながら、適正な応答に調整する方法です。この方法では厳密な位相や利得の測定はできませんが、FRAを使ったとしても最終的には実際のステップ応答を観察して確認することが必須となります。そういった意味では、実験ベースにはなりますがステップ応答からのアプローチに根拠がないわけではありません。

以下にステップ応答を測定する回路例を示します。セットアップは比較的簡単です。リニアレギュレータの出力に電子負荷装置を接続し負荷電流を急峻に変化させて、オシロスコープで出力電圧と負荷電流をモニターします。

電子負荷装置がない場合は、トランジスタスイッチを利用した回路でも測定できます。N-ch MOSFETのゲートにファンクションジェネレータを接続しトランジスタを高速にオン・オフします。トランジスタがオフ時は電流が0A、オン時にはVO÷RLの電流が流れます。

左:リニアレギュレータのステップ応答測定回路例/右:トランジスタスイッチを使用した負荷装置

負荷電流は、例えば0Aからそのリニアレギュレータの最大出力電流まで、1A/µsといったスルーレートで急峻に変化させます。この急峻かつ大きな電流ステップにより、出力電圧は基本的に変動し、ある時間をともなって安定します。その変動の大きさや収束までの時間を、該当の部品定数(この場合は回路図のRESR)を調整して最適化していきます。

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