DC-DCコンバータ|評価編
同期式と非同期式の違い
2014.07.30
この記事のポイント
・同期整流式は高い効率が得られるが、非同期式より多少部品点数が増え回路が複雑になる。
・非同期式は同期式より効率は劣るが、回路は比較的シンプル。
スイッチングレギュレータの種類と動作原理に続いて、DC-DCコンバータの変換方式である同期整流式と非同期整流式の違いについて説明します。それぞれにメリット/デメリットがあるので、電源の要求仕様によって使い分けることがポイントです。
回路構成上の違いは、下の図の通り、スイッチ2がダイオードなのかトランジスタなのかという点になります。
非同期整流はダイオード整流とも呼ばれ、上側トランジスタのON/OFFによって、ダイオードが導通/遮断、つまり電流が流れたり流れなかったりします。これは動作原理のところで説明した通りです。非同期式はシンプルで堅牢なことから、産業機器などでは高い実績をもつ方式です。
一方、同期整流の方は、基本的な動作は同じですが、下側スイッチのON/OFFも制御回路が行います。両方が同時にONすると、VinからGNDに直接的に電流が流れてトランジスタが破壊する可能性があるので、必ず両方がOFFになるデットタイムと呼ぶタイミングを作るなど、複雑な制御が必要になります。しかしながら、同期整流式は非同期式に比べ高い効率が得られることから、パッテリ駆動機器の動作時間延長に大きく貢献した経緯があります。
- S1がONの時S2をOFFにする
- S1がOFFの時S2をONにする
- 電流経路は非同期型と同じだが、S2のON/OFFは制御回路が行う
- 下段の回路は実際の回路でS1、S2ともにトランジスタが使われる

- S1がON時にはD1に電流は流れない(遮断)
- S1がOFF時にはD1に順方向電流が流れる(導通)
- 下段の回路は実際の回路でS1はトランジスタに、
D1にはショットキーダイオードが使われる
- 高効率
- 非同期式よりも回路が複雑
- 同期式より効率は劣る
- 回路は比較的シンプル
同期整流式が効率が高いのは、非同期整流式のダイオードをトランジスタに置き換えたことで、出力段スイッチの損失を低く抑えることができるからです。ご存じのとおり、ダイオードのVFは電流によって変わりますが、VFが低いショットキーでも 0.3~0.5V あります。それに対して、例えばNch-MOSFETのオン抵抗は、50mΩと非常に低く、電圧降下を計算すると、ダイオードのVFよりは、はるかに低くなります。
本題である「スイッチングレギュレータの特性と評価方法」に関連しては、DC-DC変換の方式による動作の違いや特徴を理解しているが大事です。
【資料ダウンロード】 スイッチングレギュレータの特性と評価方法
このハンドブックは、スイッチングレギュレータの基本を確認し、スイッチングレギュレータ用ICのデータシートを読み解くことも併せて、設計の最適化に必要なスイッチングレギュレータの特性の理解と評価の方法を解説しています。
DC-DCコンバータ
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- 昇圧型DC-DCコンバータの出力リップル電圧 -はじめに-
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- 昇圧型DC-DCコンバータの最大出力電流 -はじめに-
- リニアレギュレータの基礎
- スイッチングレギュレータの基礎
- DC-DCの基礎 ーまとめー
- DC/DCコンバータとは?
設計編
評価編
-
損失の検討
- 同期整流降圧コンバータの制御IC消費電力損失
- 同期整流降圧コンバータのデッドタイム損失
- 同期整流降圧コンバータのゲートチャージ損失
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- 電源ICの電力損失計算例
- 定義と発熱
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- 同期整流降圧コンバータの導通損失
- 同期整流降圧コンバータのスイッチング損失
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- パッケージ選定時の熱計算例 2
- 損失要因
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