DC-DCコンバータ|応用編

リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例 事例5 : 正負電源でどちらか一方が起動しない

2022.08.16

この記事のポイント

・正と負のリニアレギュレータによる正負電源では、正と負の電源立ち上がりスピードが異なる場合、立ち上がりが遅い方に逆電圧が生じ起動トラブルが発生する。

・対策としては、各出力間をつなぐ経路を遮断する、ダイオードを付加し逆電圧を低減する、過電流保護回路に垂下型の特性を持ったリニアレギュレータICを使用するなどがあるが、いずれも実機での検証が必要。

事例5:正負電源でどちらか一方が起動しない

図1のような正負電源では、正と負の電源立ち上がりスピードが異なる場合が少なくありません。その場合、正負間にRL3のような負荷や、複数の回路により形成された意図しない電流経路があると、先に立ち上がった電源がRL3を通じてもう一方の電源の出力から電流を吸い込むため(破線の経路)、正電圧レギュレータの出力に逆電圧がかかります。そのため「事例2:定電流負荷による起動トラブル」と同じように起動トラブルが発生します。

正負電源回路で負電源が先に起動した場合の電流経路
図1. 正負電源回路で負電源が先に起動した場合の電流経路

このような原因で起動に問題が生じる場合は、以下の対策が考えられます。

  • ・RL3の経路を遮断する。
  • ・逆電圧値を小さくし、出力電圧が立ち上がらなくなることを軽減するためにVFが低いショットキーバリアダイオードを出力とグラウンド間に接続する(図2のD1、D2)。 ※この対策では、逆電流の値よりも起動時にICから供給できる電流値が大きい製品を選ぶ必要がありますが、ばらつきなどにより100%正常に立ち上がる保証はありません。
  • ・過電流保護回路に垂下型の特性を持ったリニアレギュレータICを使用する。 ※この場合、ICの出力ピンとグラウンド間にある静電破壊保護ダイオードや寄生ダイオードに電流が流れると劣化や破壊が生じる可能性があるので、防止のために出力ピンとグラウンド間にショットキーバリアダイオードを挿入します(図2のD1、D2)。

正負電源回路で起動のトラブルがある場合の対策例
図2. 正負電源回路で起動のトラブルがある場合の対策例

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