DC-DCコンバータ|設計編
銅箔の抵抗とインダクタンス
2016.10.11
この記事のポイント
・基板の基本構造を知っておく。
・銅箔の抵抗は電圧降下となって表れ、温度依存性がある。
・銅箔のインダクタンスは、場合によっては高電圧を発生させるので要注意。
・インダクタンスの低減には、配線を短くすることが有効
基板レイアウトは重要ですが、レイアウトだけではなく基板や銅箔自体についても知っておくべきことがあります。今回は、基板の構造や材料に関係した特性、そして銅箔の抵抗とインダクタンスについて説明します。
基板に関して
右の図は、基板の断面の模式図です。基本的な基板の構造と特性ですので覚えておいてください。以下にポイントを箇条書きにしました。
- 表面、裏面の銅箔は、内層と厚みが異なる場合が多い。
- コア材の銅箔の方が厚いことが多く、放熱性が高められている。
- コア材は汎用的な厚みで、プリプレグで厚みを調整する。
- コア材とプリプレグの種類によってはマイグレーションが起こる材質があり、高湿度試験に耐えられない場合がある。
銅箔の抵抗
当然のことながら、銅箔(配線)には抵抗があります。大きな電流が流れる条件では、導通損失、つまり電圧降下や発熱が発生します。したがって、大電流ラインに関しては、銅箔の抵抗値をレビューする必要があります。
銅箔の抵抗は、単位面積で考えていきます。Figure 10は銅箔の単位面積当たりの抵抗値を示しています。条件としては一般的な銅箔厚 35μm、幅 1mm、長さ 1mmのときの抵抗値です。
一般的な抵抗の計算は、以下の式で表すことができます。
Figure 10 から読み取った単位面積当たりの抵抗値 RP から計算すると、以下のようになります。

例えば、25℃のとき、幅 3mm、長さ 50mm の銅箔の抵抗値は、以下の計算から8.17mΩとなります。
![]()
この抵抗値から、3A の電流が流れる場合の電圧降下は 24.5mV になります。また、温度が100℃に上昇すると、グラフから抵抗値が29%増加することがわかります。したがって、電圧降下も 31.6mV に増加します。
この銅箔による電圧降下は、要件によっては大きな問題になることがありますので、電流と温度条件から、基本的には配線幅を検討することになります。
銅箔のインダクタンス
銅箔には、これも当然のことながらインダクタンスが存在します。抵抗、容量、インダクタンといった寄生成分は必ず存在すると考えてください。
銅箔のインダクタンスは次式で表すことができます。

この式から、インダクタンスは銅箔の厚みにはほとんど依存しないことがわかります。
Figure 11 に、銅箔のインダクタンスの計算値を示します。グラフからわかるように、線幅を2倍にしても思いのほかインダクタンスが下がらないことがわかります。
寄生インダクタンスの影響を抑えるには、配線長を短くすることが一番の解決策です。
インダクタンスL[H]のプリント配線を伝播する電流が、時間t[s]の間にi[A]変化したとすると、そのプリント配線の両端には以下の電圧が発生します。
![]()
例えば、寄生インダクタンスが6nHのプリント配線に、2Aの電流が10ns間流れると、以下の電圧が発生します。

寄生インダクタンスも、条件によっては大きな電圧を発生させ、動作に影響を与えるだけではなく、部品を破損させることもありますので注意が必要です。
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