DC-DCコンバータ|基礎編
スイッチング周波数の考慮点
2014.05.27
この記事のポイント
・効率、サイズ、ノイズは多くの場合でトレードオフにより最適化が必要。
・スイッチングレギュレータの使いこなしにおいて、スイッチングノイズ(放射/伝導)をどう処理するかは非常に重要。
・スイッチング周波数に関連したノイズの処理には、スイッチング周波数を調整できるICが有用な場合がある。
スイッチングレギュレータICが使用するスイッチング周波数は、数十kHz から数メガHz、最近ではさらに高い周波数で動作するものもあるようです。設計に際してどの周波数を選ぶかは、いくつかの条件を基にすることになります。
一つは、効率を重視するのかサイズを重視するのかという点です。スイッチング周波数を高くすると、外付けのインダクタとコンデンサは小さな値のものが使えるようになり、必然的にサイズも小さくなります。これによって実装面積と高さを含むフォームファクタは小さくなり、省スペースに寄与します。しかしながら、高速スイッチングによってスイッチングロスが増えるので、数パーセントの効率低下が起こります。特に小型の携帯機器だと、トレードオフしたくない2項目ですが、バランスをとった最適化が必要になります。

図62:スイッチングレギュレータのスイッチング周波数と、
効率、サイズのトレードオフ
図63の表は、一般的な検討事項とスイッチング周波数の関係を示しています。部品サイズと効率以外の項目では、高いスイッチング周波数の方が有利の様に見えます。おおよそはそうなのですが、アプリケーションによっては「嫌な周波数」というものがあると思います。よくある例は、AMラジオの周波数帯で、400kHz~1.8MHzくらいです。単純には、この範囲のスイッチング周波数の電源を使うと感度とS/Nが劣化します。これを回避するには、この周波数帯以外のスイッチング周波数を選択する事が有効になります。

図63:スイッチング周波数と各特性との関係
このように、かならずトレードオフが必要となり、アプリケーションや使用環境を十分考慮したうえで設計に入る必要があります。スイッチング周波数を変更可能なタイプのICは多々ありますが、変更には周波数だけではなくインダクタやコンデンサなど外付け部品の定数も見直さなければならないので注意が必要です。
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