DC-DCコンバータ|設計編
グラウンド
2020.11.10
この記事のポイント
・AGNDとPGNDは分離する必要がある。
・PGNDは分断することなくトップレイヤーにレイアウトすることが基本。
・PGNDを分断してビアを介して裏面で接続すると、ビアの抵抗やインダクタの影響で損失やノイズが悪化する。
・多層基板で内層や裏面にグランドプレーンを配置する場合は、高周波スイッチングノイズが多い入力やダイオードのPGNDとの接続に注意を払う必要がある。
・トップレイヤーのPGNDと内層PGNDプレーンの接続は、DC損失軽減のため多数のビアで行いインピーダンスを下げる。
・コモングランドや信号グランドとPGNDの接続は、高周波スイッチングノイズが少ない出力コンデンサ付近のPGNDで行い、ノイズが多い入力やダイオード付近のPGNで接続してはいけない。
今回は、グラウンドについてです。よく、グラウンドは重要、グラウンドの強化が必要などと言われますが、実際のところグラウンドに十分な考慮がない、基本ルールを逸脱したグラウンドはトラブルのもとです。以下の注意点は厳守する必要があると理解してください。また、これは昇圧DC-DCコンバータに限ったことではありません。
グラウンド
まず、アナログ小信号グラウンドとパワーグラウンドは分離しなければなりません。パワーグラウンドは、比較的配線抵抗が低く、放熱性の良いトップレイヤーに分離することなくレイアウトすることが基本です。
パワーグラウンドを分離してビアを介して裏面で接続すると、ビアの抵抗やインダクタの影響で損失やノイズの悪化を招きます。内層や裏面にグラウンドプレーンを設けることは、DC損失の軽減やシールド、放熱が目的で、あくまで補助的なグラウンドです。

下図は、今回の事例の基板レイアウトです。トッププレイヤーのパワーグラウンド(PGND、橙色部分)と、アナログ小信号グラウンド(AGND、水色部分)の基本的レイアウトの例です。

多層基板で内層や裏面にグラウンドプレーンを配置する場合は、高周波スイッチングノイズが多いパワーグラウンドに注意を払う必要があります。2層目にDC損失軽減のためのパワーグラウンドプレーンがある場合、トップレイヤーと2層目を多数のビアで接続し、パワーグラウンドのインピーダンスを小さくします。さらに、3層目にコモングラウンド、4層目に信号グラウンドがある場合、パワーグラウンドと3、4層目グラウンドの接続は、高周波スイッチングノイズが少ない出力コンデンサ付近のパワーグラウンドのみを接続します。決してノイズが多い入力やフリーホイールダイオードのパワーグラウンドを接続しないでください。以下の断面図イメージを参照してください。

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