DC-DCコンバータ|応用編
汎用電源ICで電源シーケンスを実現する回路
2021.02.22
この記事のポイント
・複数の電源を必要とするICや電子機器の電源には、投入・遮断の順番=シーケンスの制御が必要な場合がある。
・この記事では、シーケンス制御ICやシーケンスサポート機能を持つ電源ICは使わずに、汎用電源と外部回路によってシーケンス制御を実現する例を示す。
基礎知識DC-DC「応用編」の第一弾として、「汎用電源ICで電源シーケンスを実現する回路」を開始します。
FPGAやDSPなど複雑な機能を持ち複数の電源を必要とするICや、複数系統の電源を必要とする電子機器では、電源の投入や遮断の順番が仕様として決められている場合があります。これを守らないと正常に起動しないばかりではなく、場合によってはデバイスを損傷させてしまうことがあります。
複数の電源を投入や遮断するときの順番のことを電源シーケンスと言います。以下は、3系統の電源に関するシーケンス制御のイメージです。

電源シーケンスを制御するには、電源シーケンス専用ICを使う方法があります。また、電源ICにもシーケンス機能を搭載したものやシーケンス制御をサポート可能なパワーグッド出力などを持つタイプがあり、これらを利用することで比較的簡単にシーケンス回路を設計することができますが、この記事では、専用の電源シーケンスIC、また、シーケンス機能をサポートする機能を備えた電源ICも使わず、出力のオンオフ(イネーブル)機能を持つだけの汎用電源ICと外部回路によって電源シーケンスを実現する回路例を示します。
例として2種類のシーケンス仕様を用意しています。各仕様に対して制御ブロック図の構成、回路例、動作例を示して解説して行く予定です。
DC-DCコンバータ
基礎編
- 電源回路の代表的な7方式: 低雑音型から昇圧型まで!
- 昇圧型DC-DCコンバータのシャットダウン時の動作
- 昇圧電源の出力でのスイッチングノイズの低減 -はじめに-
- 昇圧型DC-DCコンバータの出力リップル電圧 -はじめに-
- 昇圧電源の負荷短絡によるトラブルと保護回路 -はじめに-
- 昇圧型DC-DCコンバータの最大出力電流 -はじめに-
- リニアレギュレータの基礎
- スイッチングレギュレータの基礎
- DC-DCの基礎 ーまとめー
- DC/DCコンバータとは?
設計編
評価編
-
損失の検討
- 同期整流降圧コンバータの制御IC消費電力損失
- 同期整流降圧コンバータのデッドタイム損失
- 同期整流降圧コンバータのゲートチャージ損失
- インダクタのDCRによる導通損失
- 電源ICの電力損失計算例
- 定義と発熱
- 同期整流降圧コンバータの損失
- 同期整流降圧コンバータの導通損失
- 同期整流降圧コンバータのスイッチング損失
- 損失の簡易的計算方法
- パッケージ選定時の熱計算例 1
- パッケージ選定時の熱計算例 2
- 損失要因
- スイッチング周波数を高めて小型化を検討するときの注意
- 高入力電圧アプリケーションを検討するときの注意
- 出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その1
- 出力電流が大きいアプリケーションを検討するときの注意 その2
- 損失の検討 ーまとめー
- スイッチングレギュレータの特性と評価方法の概要
- 電源ICのデータシートの読み方:表紙、ブロック図、絶対最大定格と推奨動作条件
- スイッチングレギュレータの評価:出力電圧
応用編
- リニアレギュレータを使った電源設計のポイント
- LDOリニアレギュレータの並列接続とは
- リニアレギュレータの簡易的な安定性最適化方法
- 汎用電源ICで電源シーケンスを実現する回路
- リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例1:手はんだによるICおよび周辺部品の破損
- フローティング動作のリニアレギュレータを使った電源設計のポイント
製品紹介
FAQ