DC-DCコンバータ|応用編

リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例 事例6 : モーター負荷による起動トラブル

2022.08.30

この記事のポイント

・モーターが負荷の場合、起動(始動)電流が、リニアレギュレータのフォールドバック電流制限を超えると起動できない場合がある。

・対策として、モーターの起動電流値よりも大きな電流を出力できる垂下型特性の過電流保護回路を搭載したリニアレギュレータを使用するか、モータードライバーICを使用する。

事例6:モーター負荷による起動トラブル

モーターが回り始めるときの起動(始動)電流は、定格回転時電流の数倍が流れます。図1は、フォールドバック電流制限回路を搭載したリニアレギュレータの電流フォールドバック特性に、モーター起動時の特性を重ねたグラフです。

このモーターの動作は(A)点から始まり、電圧上昇と共に起動電流も増加し、(B)点と(C)点を経て定格速度時動作の(D)点に至ります。この例では、モーターの起動電流(青の破線)が、フォールドバック電流制限(緑の実線)を超える(B)点で、モーターが必要とする電流を流せなくなるので、リニアレギュレータの出力電圧は0.35V以上に上昇できずラッチ状態になり、起動トラブルが発生します。

リニアレギュレータの電流フォールドバック特性にモーター起動時の特性を重ねたグラフ
図1. リニアレギュレータの電流フォールドバック特性にモーター起動時の特性を重ねたグラフ

実際には、この程度の電流差では起動できてしまうことが多いのですが、モーターに負荷がかかっている場合、起動電流のピーク値である(C)点がさらに大きくなり、グラフの右側へ移動するので、起動できなくなる可能性が大きくなります。

対策として、モーターの起動電流値よりも大きな電流を出力できる、垂下型特性の過電流保護回路を搭載したリニアレギュレータを使用するか、モータードライバーICを使用します。

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