DC-DCコンバータ|設計編
DC-DCコンバータの基板レイアウト ーまとめー
2017.03.28
DC-DCコンバータ設計編「DC-DCコンバータの基板レイアウト」では、以下の項目について説明してきました。今回はまとめとして、各項目のキーポイントをまとめます。
最初に、「PCBレイアウトのポイント」として、全体を通じた要点を示しました。これは、最も端的に要点をまとめてあるので、やはりここでも最初に示します。
PCB レイアウトのポイント(全体)
- ・入力コンデンサとダイオードをIC端子と同じ面に、可能な限りICの直近に配置する
- ・必要に応じてサーマルビアを配置する
- ・インダクタはスイッチングノードからの輻射ノイズを最小限にするため、入力コンデンサの要件程ではないがICの近くに配置する
- ・銅箔パターン面積を必要以上に広くしない
- ・出力コンデンサをインダクタの近くに配置する
- ・帰還経路は、インダクタやダイオードなどのノイズ源から離し配線する
- ・コーナー配線は丸める
この記事のポイント
・基板レイアウト(設計)をするにあたり、降圧コンバータの電流経路を理解することは重要。
・スイッチングレギュレータのスイッチング動作による電流の急激なオンオフは、適切なレイアウトによる対処がないと回路動作や他へ悪影響を及ぼす。
この記事のポイント
・実際のプリント基板には、回路図には示されない寄生容量やインダクタンスが存在する。
・寄生成分によって、リンギングなど問題の原因となる現象が発生する。
・基板レイアウトではこれらを念頭におき、最適なレイアウトを目指す。
この記事のポイント
・最初に入力コンデンサとダイオードの配置から開始するとよい。
・入力コンデンサとダイオードをIC端子と同じ面に、可能な限りICの直近に配置するのが鉄則。
・寄生インダクタンスはノイズの原因となるので、ビアの使用は十分に検討する。電流がスイッチする場所は要注意。
この記事のポイント
・サーマルビアは基板を貫通する通路(穴)により反対面にも熱を伝導させ放熱させる手法。
・サーマルビアは、発熱体の直下、または可能な限り近くに配置する。
この記事のポイント
・インダクタは、なるべくICの近くに配置する。
・銅箔面積を必要以上に広くしてはいけない。
・インダクタの直下にGND層を配置してはいけない。信号線の配置も極力避ける。
・インダクタ端子の配線を近付け過ぎない。
この記事のポイント
・出力コンデンサは、なるべくインダクタの近くに配置する。
・高周波ノイズの伝導を低減するため、CINのGNDとCOのGNDは1~2cm離して配置する。
この記事のポイント
・出力からの帰還信号ラインは、スイッチングノードから遠ざける。ノイズを拾うと誤差や誤動作が発生する。
・ビアを介して基板裏面に配線する方法もある。
▶グランド
この記事のポイント
・AGNDとPGNDは分離する必要があり、PGNDは分断することなくトップレイヤーにレイアウトすることが基本。
・PGNDを分断してビアを介して裏面で接続すると、ビアの抵抗やインダクタの影響で損失やノイズが悪化する。
・コモングランドや信号グランドとPGNDの接続は、スイッチングノイズが少ない出力コンデンサ付近のPGNDで行う。
この記事のポイント
・基板の基本構造を知っておく。
・銅箔の抵抗は電圧降下となって表れ、温度依存性がある。
・銅箔のインダクタンスは、場合によっては高電圧を発生させるので要注意。
・インダクタンスの低減には、配線を短くすることが有効
この記事のポイント
・コーナー配線は円弧を描くようにして配線インピーダンスの変化を低減してノイズを出さないようにする。
・音端子電圧(伝導性エミッション)の対策には、ノイズ周波数に合わせたビーズやπ型フィルタを使う。
・雑音電界強度(放射ノイズ)は入力コンデンサの配置の最適化とスイッチング波形の急峻さを調整する。
この記事のポイント
・スナバはスイッチングのリンギングを低減することができるが、効果と損失はトレードオフ。
・ブートストラップに抵抗を追加すると立ち上げのノイズを低減できるが、MOSFETのスイッチング損失が増える。
・ゲートに抵抗を入れると立ち上がり/下がり両方のノイズを低減できるが、MOSFETの損失が増加する。また、MOSFET内蔵タイプのICには抵抗を挿入できない。
これで「DC-DCコンバータの基板レイアウト」は終了となります。
【資料ダウンロード】 降圧DC-DCコンバータ 基板レイアウトの基礎と事例
DC-DCコンバータ
基礎編
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設計編
評価編
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損失の検討
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